中小企業診断士になったワケ
――さきごろ、『「失敗率0%」の営業術』を出版され、各方面から注目の吉成さんですが、まずは吉成さんの経歴からご紹介いただけますか。
吉成:大学卒業後、まずはSEになり4年半勤めました。ただ、システムは動いていれば何も言われないけど、止まると文句を言われるということで、若いなりにも、SEという仕事にやりがいを見いだせなかったんです。そこで、お客さんを"元気にする"仕事はないかなと思い、コンサルタントという仕事に注目しました。
――それで、中小企業診断士に興味を持ったんですね。
吉成:そうなんです。挑戦しようか迷っているときに、会社の先輩も勉強していることを知り、すぐに資格学校へ申し込みに行きました。2006年、26歳のときです。その時点では、将来独立については考えていなかったんですが、独立して仕事することの良し悪しを話してくれる先生がいまして。この方の話はずいぶん参考になりました。そこで、33歳までに独立しようと計画をしたんです。
まずは、一度コンサル会社に勤めて、経験を積み基礎を学んでから独立しようと思い、たまたま見つけたコンサルタントの募集広告の年令制限が、26歳までだったのですぐ応募しました。それで、2007年9月に転職しました。
――相手を元気にする仕事(=コンサル)を目指したこと。独立している先生に出会ったこと。これらが転機になっていったんですね。そこで、勤めながらまた勉強を続けていたんですか?
吉成:勉強はしていたので、激務でしたね。就職した会社での仕事は、大きく3つあって、研修・セミナー講師、営業マン、コンサルタントでした。ひとりで全部やれるようになるというのが、会社の方針でした。
――いろいろやらせてもらえるって、独立を考えている人にはいい会社ですね。
吉成:でも、営業はやりたくなかったんですよ(笑)。実際、入社初年度は成績最下位、2社しか取れなかったんです。でも、翌年はトップセールスになれたんです。
――それはすごい! なにか転機が?
吉成:2年めには「将来独立をするんだ!」ともういちど腹をくくったので、もういちど頑張ってダメだったら独立もやめようと考えていました。それに、いかに楽して成果を上げるかを考えたんです。それが【営業先の紹介をもらうこと】だったんです。
――周囲でも紹介から営業を進めていった人はいたんですか?
吉成:いないですね。「もらうといいよ」とは聞いていたんですが。
――「紹介」は最初から戦略としてやっていたんですか?
吉成:たまたまでしたが、その後続いていきました。会社に来る引き合いは平等に回りますが、これは確実にこなして、紹介で得た案件を成績に上乗せしていったんです。
――そのとき資格のほうは?
吉成:まだとってないです。2009年8月に一次を通過して、その10月には大学院の中小企業診断士の養成課程に行くことを決めました。
結構大変だったのですが、周囲のサポートもあり、サラリーマンをやりながら、養成課程に通うことにしました。
*中小企業診断士の試験は、養成課程を経ることで2次試験免除になる。だが、通常のサラリーマンは昼間通えないので、このコースを選択する人は少ない。
そのままサラリーマンと並行して、2010年4月に法政大学大学院の養成課程(=MBA過程)へ。朝早く会社に行きメールチェックして、それから大学院に行くというような生活でした。そして、昼は講義がない時間は働き、夜も働くなどしていましたが、10月には退社して独立となり、いまに至るというところです。
――でも独立してすぐに仕事がある、というわけにはいかないですよね。
吉成:独立したばかりの段階では、もちろん顧客はゼロでした。2011年4月には、中小企業診断士登録をして、東京都中小企業診断士協会に所属しました。それからは、無報酬、ボランティア的な仕事もして、とにかく人脈を作ることを第一にしてきました。会合・懇親会とかは、気が進まなくても予定合わせて全部出席しましたね。意識して種まきをした時期でした。仕事になるかならないかというより、ともかくつながりを作るということを意識していました。そして、診断士協会に所属していることや公的機関での仕事は、信用力につながっていきましたね。