平成21年1次試験 - 経営法務

第1問
 簡易吸収合併(会社法第796条第3項)における吸収合併消滅株式会社、吸収合併
存続株式会社がとるべき手続について、以下の①から④の点について、会社法の規
定を比較した。この比較結果を記載した下記の表のうち、誤った内容が含まれてい
るものを下記の解答群から選べ。



① 株主総会決議による合併契約の承認が必要か否か。
② 自社の株主に対する通知・公告を要するか否か。
③ 自社の債権者に対する通知・公告を要するか否か。
④ 自社の新株予約権者に対する通知・公告を要するか否か。




[解答群]
 ア ①
 イ ②
 ウ ③
 エ ④




第2問
 A株式会社(以下「A社」という。)は、100パーセント子会社であるB株式会社に
対し、A社の事業の一部を分割し、吸収させることを検討している。A社の貸借対
照表及び分割を検討している資産等の状況は下記のとおりである。これを前提とし
た簡易吸収分割(会社法第784条第3項)に関する説明のうち、最も適切なものを下
記の解答群から選べ。







[解答群]
 ア 分割対象となる資産合計額から負債合計額を控除した額は1億3,000万円
  で、A社の総資産額の5分の1を下回っているが、20分の1を超えるので、
  簡易吸収分割の規定が適用とならず、A社では、吸収分割契約を承認する株主
  総会を開催する必要がある。
 イ 分割対象となる資産合計額から負債合計額を控除した額は1億3,000万円
  で、A社の純資産額の5分の1を下回っているので、簡易吸収分割の規定が適
  用となり、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がな
  い。
 ウ 分割対象となる資産額合計は2億3,000万円で、A社の純資産額の5分の1
  を下回っているが、20分の1を超えるので、簡易吸収分割の規定は適用とな
  らず、A社では、吸収分割契約を承認する株主総会を開催する必要がある。
 エ 分割対象となる資産額合計は2億3,000万円で、A社の総資産額の5分の1
  を下回っているので、簡易吸収分割の規定が適用となり、A社では、吸収分割
  契約を承認する株主総会を開催する必要がない。




第3問
 個人で雑貨の輸入業を営んでいる甲氏とあなたとの間の以下の会話を読んで、会
話中の空欄に入る説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。



甲 氏:「先日、ひょんなことから同業者の乙という方と知り合って、会社組織に
    して、一緒に仕事をしようということになったんです。ただ、乙さんも
    私も、ノウハウや在庫はあっても、現金はあまり持っておらず、資本金
    200万円くらいにしかなりません。これで会社は設立できるのですか。」
あなた:「今は、資本金200万円でも株式会社を設立することはできますよ。」
甲 氏:「そうなんですか。でも、資本金200万円だと、取引先の信用が得られな
    いような気もするんですよね......。うーん......。」
あなた:「それでしたら、甲さんや乙さんが持っている在庫などを現物出資して、
    資本金に組み入れることを検討してはいかがですか。」
甲 氏:「へえ、そういったことができるのですか。私が保有している在庫などは
    たぶん400万円分くらいありますから、乙さんのもあわせると資本金は
    1,000万円くらいになるかもしれませんね。それなら、取引先からも十分
    に信用を得られそうですね。」
あなた:「( )」



[解答群]
 ア 800万円を現物出資の金額とすると、裁判所が選任する検査役の調査が必要
  になりますが、例外として、弁護士や税理士などの証明書があれば、検査役の
  調査は不要になります。
 イ 現金による出資金と現物出資の金額が併せて500万円を超えると、裁判所が
  選任する検査役の調査が必要となりますから、現物出資の金額は280万円くら
  いにした方がよいでしょう。
 ウ 現物出資の金額が300万円を超えた場合、裁判所が選任する検査役の調査が
  必要になります。そうすると、費用も時間もかかることになりますから、ご注
  意ください。
 エ そうですね、資本金1,000万円程度であれば、現物出資をするうえで何の問
  題もありませんから、すぐに現物出資して会社を設立しましょう。




第4問
 法的倒産手続には、破産、民事再生、会社更生などの手続があるが、設問1~3
のグラフA~Cは、平成元年(1989年)から平成19年(2007年)までの全国の裁判所
における法的倒産手続(①~⑥)の新受件数(新たに事件として受け付けられた件数)
を示したグラフである。これを前提として下記の設問に答えよ。



(設問1)
 次のグラフAで示されている法的倒産手続①として最も適切なものを下記の
解答群から選べ



[解答群]
 ア 会社更生
 イ 特別清算
 ウ 破 産
 エ 民事再生




(設問2)
 次のグラフBで示されている法的倒産手続②として最も適切なものを下記の
解答群から選べ。



[解答群]
 ア 会社更生
 イ 特別清算
 ウ 破 産
 エ 民事再生




(設問3)
 次のグラフCで示されている法的倒産手続③~⑥の説明として、最も不適切
なものを下記の解答群から選べ。



[解答群]
 ア ③の手続は、平成13年以降には全く利用されていないが、これは手続の
  根拠となる法律が廃止され、この手続自体が利用できなくなったからであ
  る。
 イ ④の手続は、裁判所に対する申立てが必要なく、迅速に処理が可能となる
  うえ、税務上のメリットがあることから、赤字子会社を迅速に整理したいと
  きに用いられている。
 ウ ⑤の手続は、他の法的倒産手続に比べ、大型倒産事件と呼ばれる事件のと
  きに用いられることが多いとされている。
 エ ⑥の手続は、平成19年には全く利用されていないが、これは、平成18年
  に商法が改正され、会社法が施行された際に、この手続が廃止されたからで
  ある。




第5問
 中小企業診断士であるあなたは、顧客であるA株式会社(以下「A社」という。)の
代表取締役X氏と話をしていた際、以下のアドバイスを行った。そのアドバイス
に対応するX氏の話の内容として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。な
お、A社は、取締役会設置会社であり、株主は30名である。



【あなたのアドバイス】
  「これから作成しようとしている契約書の内容は、会社法に定める自己取引(利
 益相反取引)に該当しますから、取締役会の承認が必要だと思いますよ。」



[解答群]
 ア 会社のトラックを1台買い替えることになって、中古車でかなり状態がいい
  のが見つかったんだけど、20万円だけ予算オーバーしててね。それで、私
  が会社に、無利息・無担保で、返済は資金繰りに余裕ができたときという内容
  で20万円を貸すことになって、今、その契約書を作っているんだ。
 イ 会社本社の土地は、私名義の土地で会社に貸していたんだけど、借地料は何
  十年も据え置きにしていたんだ。でも、その間に、固定資産税額が上がって、
  借地料だけでは足りなくなったんだ。だから、今回、借地料を固定資産税額の
  3倍の金額にすることになって、新しい契約書を作っているんだよ。
 ウ 当社支店の土地は、地主から借りていて、その土地に会社で建物を建てて
  使っていたんだけど、先日、地主からその土地を買ってくれないかと言われた
  んだ。ただ、会社の資金繰りだと難しいので、私個人でお金を出して私名義で
  買うということになったから、今、売買契約書を作ってもらっているんだ。
 エ 私が代表取締役を兼務しているB社は、A社の100パーセント子会社で、
  C社から機械をリースしていたんだけど、今度、C社から承諾をもらって、A
  社でB社からリースを受けることにしたんだ。今、A社とB社の契約書を
  作っているんだけど、リース料やリース期間なども含め、B社とC社のリー
  ス契約と全く同じ内容にすることになったんだ。




第6問
 特許法における発明(特許法第1条、第2条)と実用新案法における考案(実用新
案法第1条、第2条)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。



 ア 実用新案法における考案には、方法の考案も対象となっている。
 イ 特許法における発明及び実用新案法における考案には、ニュートンの万有引力
  の法則のような発見や自然法則を利用していない人為的な取り決めは該当しな
  い。
 ウ 特許法における発明には、物の発明ばかりではなく、方法の発明も対象とな
  る。
 エ 特許法における発明は技術的思想の創作のうち高度のものをさしているが、実
  用新案法における考案については高度という限定はなく、技術的思想の創作の程
  度のいかんを問わない。




第7問
 A社の代表取締役社長からの次の質問に対する回答として最も適切なものを下記
の解答群から選べ。



 【A社の代表取締役社長からの質問】
  「当社は、平成16年(2004年)7月に設立され、設立時から苛性ソーダの製
  造・販売を主な事業としていますが、このたびB社から『貴社の苛性ソーダの
  製造方法について弊社の保有する苛性ソーダの製造方法に関する特許権に抵触
  するので直ちに製造・販売を中止し、現在市場に出回っている苛性ソーダを回
  収するように。』との警告を受け取りました。当社内で調べたところ、この警
  告書に記載されたB社の保有する特許権の番号から特許出願がなされたのは
  平成17年(2005年)5月であることが分かりました。この警告書に対してどの
  ように対処すればよいでしょうか。」



[解答群]
 ア B社の特許権に係る特許出願の時点で、すでに御社がB社の特許と同一の
  方法により苛性ソーダの製造を行っていたことを立証できれば、B社の特許権
  が存続していても将来にわたり苛性ソーダの製造方法を実施する権利がありま
  す。
 イ B社の特許権は、平成17年(2005年)5月に出願されており、まだ特許出願
  日から20年を経過していないため、現在でも有効に存続していることから、
  すぐに製造・販売を中止し、市場に出回っている御社の苛性ソーダを回収しま
  しょう。
 ウ 御社が用いている苛性ソーダの製造方法が、B社の保有する特許権に係る特
  許発明の技術的範囲に属するか否かの判定を特許庁に請求するのがよいと思い
  ます。
 エ 御社は、B社の特許権に係る特許出願前から苛性ソーダの製造方法を実施し
  ていたので、B社の特許権に係る特許発明は特許出願前に公然実施された発明
  に該当するとして特許無効の審判を裁判所に請求して、B社とのライセンス交
  渉を行うことがよいと思います。




第8問
 X社の代表取締役社長からの次の質問に対する回答として、最も不適切なものを
下記の解答群から選べ。



 【X社の代表取締役社長からの質問】
  「当社は、以前からその製造・販売に係る特殊な構造を有するシャープペンシ
   ルについて実用新案権を保有していますが、競争会社Y社が最近同一の構造
   を有すると思われるシャープペンシルを製造・販売するようになりました。こ
   の製造・販売を止めさせたいと思いますが、どのようにすればよいでしょう
   か。」



[解答群]
 ア 御社の実用新案権に係る登録実用新案と競争会社Y社の製造・販売に係る
  シャープペンシルの構造が同一であるか調べる必要があります。
 イ 実用新案権の存続期間は、特許権の存続期間より短く、実用新案登録出願の
  日から10年で終了するので、実用新案登録出願の日がいつだったかを確認す
  ることが必要です。
 ウ 実用新案権は、特許権と同様に排他的独占権の性質を有しているので、特許
  庁の審査官が作成した実用新案技術評価書を提示しなくても、競争会社Y社
  の製造・販売の中止を求めることはできます。
 エ 当初3年間分の登録料は、実用新案登録出願時に一時に納付されています
  が、実用新案権は、第4年分以降の各年分の登録料を特許庁に納付しないと消
  滅しますから、確認が必要です。




第9問
 C社の代表取締役社長からの次の質問に対する回答として最も適切なものを下記
の解答群から選べ。
 なお、C社の商標○○とD社の登録商標○○は、同一商標とし、商品「みそ」と
「菓子(クッキーを含む)」とは非類似の商品とする。



 【C社の代表取締役社長からの質問】
  「当社は、平成20年(2008年)1月に、平成16年(2004年)11月頃から製造・
   販売していた商品区分第30類クッキーについて商標○○を商標登録出願しま
   したところ、最近特許庁からD社名義の登録商標○○(商品区分第30類:み
   そ、菓子){出願日:平成15年(2003年)6月30日、登録日:平成16年(2004
   年)12月1日}を引用されて拒絶理由通知書が来ました。当社内で調べました
   ところ、D社は、登録商標○○を指定商品中「みそ」については使用している
   ことが判明しました。あと数日中に意見書を特許庁に提出しないといけないよ
   うですが、どのように対処すればよいのでしょうか。」



[解答群]
 ア 御社の商標○○とD社名義の登録商標○○とは、同一の商標であり、御社
  の商標登録出願に係る指定商品「クッキー」とD社名義の商標登録に係る指定
  商品「みそ、菓子」とは同一若しくは類似の関係にあるため、意見書を提出して
  も仕方がないと思います。
 イ 御社の商標○○に関しては意見書を提出しても商標登録を受けることはでき
  ないと思いますが、御社の商標○○が、その出願前から製造・販売していた商
  品「クッキー」について使用された結果、何人かの商品であることを需要者の間
  で広く認識することができるに至っている場合であれば、D社の登録商標の
  存在にもかかわらず、その使用を継続することができると思います。
 ウ 御社の商標○○は、その出願前から製造・販売していた商品「クッキー」につ
  いて使用された結果、何人かの商品であることを需要者の間で広く認識するこ
  とができるに至っている場合であれば、D社の商標登録に対して登録無効の
  審判を請求して、当該登録無効の審判の審決が確定するまで審査の中止を審査
  官に求める旨を記載した意見書を提出するのがよいと思います。
 エ 御社の商標○○をその製造・販売に係る「クッキー」について商標登録を受け
  るためには、指定商品「菓子」についてのD社の商標登録を取り消すことが必
  要です。D社の登録商標○○は指定商品「菓子」について使用されていないよ
  うですので、D社の指定商品「菓子」についての商標登録に対して不使用を理
  由とする取消審判を請求して、当該取消審判の審決が確定するまで審査の中止
  を審査官に求める旨を記載した意見書を提出するのがよいと思います。




第10問
 A株式会社とB株式会社は、それぞれが保有する専門技術を生かして新規のシス
テムを共同開発することを模索し、まずは秘密保持契約を締結して相互に技術情報
を相手方に開示しようと合意した。この秘密保持契約に関する記述として最も適切
なものはどれか。



 ア 秘密保持契約において相互に開示したデータや情報について、契約終了後、開
  示した当事者の請求に基づいてそれらを破棄または返却するなどの条項を設けな
  くとも、開示した当事者は受領した当事者に対し、所有権に基づきデータ・情報
  の破棄又は消去を請求できる。
 イ 秘密保持契約は、共同開発が本格化した場合に締結される共同開発契約等の本
  契約とは別個に締結されるものであるから、本契約とは別途、秘密保持の対象と
  なるべき情報が授受される期間や当該情報の秘密を保持すべき期間などの条項を
  定めることができる。
 ウ 秘密保持契約は、秘密を保持すべき義務を課すものであるが、故意又は過失に
  より秘密を開示されたことによって生ずる損害が明確に立証できないためにいわ
  ゆる紳士協定であるともいわれ、相手方が万一契約違反をした場合であっても、
  他の法令に違反しない限りは相手方に対し何ら権利を主張できない。
 エ 平成17年(2005年)に改正された新不正競争防止法により、共同開発を目的と
  して開示された情報について、情報を受領した当事者に対し5年間秘密保持義務
  が課されたので、あえて秘密保持契約を締結する必要はない。




第11問
 C株式会社(以下「C社」という。)が、次のような状況にあることを前提として、
賃貸借契約に関し、最も適切なものを下記の解答群から選べ。



 C社はX氏の所有する倉庫を、倉庫兼事務所として使用するために平成2年
(1990年)4月1日から5年ごとに都度合意して賃貸借契約を更新し、賃借してい
る。しかし、賃料が近隣の相場より高く、C社の経営状態を圧迫しているために、
よりコスト負担の少なくなる方策を検討している。なお、本件賃貸借契約におい
て、C社は賃料6カ月分相当額を「保証金」との名目でX氏に預けている。また、
来年(平成22年(2010年))3月末には、更新の時期を迎える。



[解答群]
 ア C社は、X氏の了承を得て倉庫に備えつけた汎用的な建具を残して引越費用
  を削減したいとしても、C社とX氏間の賃貸借契約に特段の定めがない場
  合、X氏から「残しても良い」旨の同意がない限り、C社は入室した当初と同様
  の状態にするためのコストを負担しなければならない。
 イ 現在のC社近隣の賃料相場と比べてC社の賃料が著しく高くなっている場
  合、C社が支払っている現在の賃料を下げる方法には、X氏と交渉することの
  ほか、法律に基づき、C社はX氏に対し裁判を起こして賃料を下げるように
  請求することもできる。
 ウ 引越しするには、次の賃貸借契約締結の際に保証金を引越先のオーナーへ支
  払うこととなっているが、C社は、建物明渡後に返還される保証金から未払い
  賃料を相殺するようにX氏に請求することができるので、期間満了時まで賃
  料の支払いを止めて、引越先の保証金を準備することができる。
 エ 本件賃貸借契約の契約書には、更新について「更新料を支払った場合に更新
  できる」と規定があるだけで、特段の記載がない場合、C社が更新時期の2カ
  月以上前にX氏に対して更新をしない旨を通知しないときは、自動的に5年
  間契約が更新される。




第12問
 D株式会社(以下「D社」という。)は、E株式会社(以下「E社」という。)から、E社
がその著作権および著作者隣接権を保有する音楽コンテンツ(以下「本コンテンツ」
という。)の管理・運用を依頼され、これをオンライン上で配信してユーザーに課金
するサービスを提供することを約した。本コンテンツの管理・運用に関するD社
の著作権法上の義務に関する記述として最も適切なものはどれか。



 ア 本コンテンツについて、E社の請求があるときは、原則として、E社に対し配
  信した実績を証明する資料を開示する義務がある。
 イ 本コンテンツについて、原則として、その著作者である第三者やE社の指示
  にしたがい、著作者名を表示し、あるいは、表示しない義務がある。
 ウ 本コンテンツについて、自社の提供するサービスを通じて音楽コンテンツを取
  得したユーザーが、取得したデータを不正に利用しないように、データに技術的
  な保護手段を講じて管理する義務がある。
 エ 本コンテンツについて、ユーザーが不正使用したことが発覚した場合、E社の
  請求があるときは、原則として、配信したユーザーに関する情報をE社に開示
  する義務がある。




第13問
 X社は商品の物流を担っている株式会社であるが、ソフトウェアの開発を専門と
する株式会社であるY社に対して、事業に使用するシステムに組み込むソフト
ウェアの開発をしてほしいと考えている。
 そこで、X社は、自社の事業所内の一部を作業場所として提供し、Y社の従業員
でソフトウェア技術者であるZ氏に、その作業場所を利用して、システム開発お
よびその保守の作業にあたらせることを予定している。
 次は中小企業診断士のあなたとX社の総務担当部長の会話であるが、会話中の
空欄A~Cに入る用語の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選
べ。
部 長:「Z氏を推薦してきたY社に『早急に新しいシステムがほしいので、来月
    から始めたいね』と言ったら、すぐに(A)書を持ってきたよ。でも
    ね、すべて先方の責任として、だけれども当社の指示はきちんと守るよう
    に、うちの社員と同様に使えるよう、交渉したいなぁと思うのだけど。」
あなた:「それは、(B)書ではないのですか。」
部 長:「ちがうね。何かまずいの。」
あなた:「Y社は派遣業者として届出や許可がある業者なのですか。」
部 長:「うーん、わからないねー。」
あなた:「Y社に届出や許可がないのであれば、Y社との契約は(C)などで
    あることが必要ですから、相手方に一定の裁量を与えなければダメです
    よ。」
部 長:「どうして。」
あなた:「(B)は法律で労働者を保護するためにさまざまな規制がありま
    す。これを脱法するために(C)書にして対処しようとする企業があ
    ります。この契約書のタイトルは『(A)書』になることもあります。
    ただ、これらは偽装請負や偽装委託などといって、違法な行為になりま
    す。」



部 長:「ああ、聞いたことがある言葉だね。そんな悪いことをする会社に思えな
    かったけど。」
あなた:「(C)といえるためには、Z氏がその作業を遂行するにあたり、そ
    の遂行方法に関する指示その他の管理をY社が行い、Y社が自らの責任
    で御社に仕事完成物を納品することが必要になります。ですから、契約書
    もY社に管理権限があることになっているのでしょうし、実態もそうで
    なくてはなりません。就業場所が御社ということですと、就業規則なども
    他の社員と同じように守ってもらいたいでしょうし、なかなか難しそうで
    すね。」
部 長:「それでは、このままだと当社は基本的にわざわざY社を通じてZ氏を管
    理しなくてはならないということなんだね。」
あなた:「そのとおりです。ですから、御社がパート社員のようにZ氏を使いたい
    のであれば、Y社が届出や許可を受けている派遣業者か確認しなければな
    らないと思います。」
部 長:「適法な派遣業者か確認して、(B)の関係にしてもらうほうがよい
    ということですね。」
あなた:「そのほうがコンプライアンスにかなうと思いますよ。」



[解答群]
 ア A:業務委託契約  B:雇用契約     C:準委任契約
 イ A:業務委託契約  B:労働者派遣契約  C:請負契約
 ウ A:準委任契約   B:雇用契約     C:請負契約
 エ A:準委任契約   B:労働者派遣契約  C:業務委託契約




第14問
 次の英文は、カリフォルニア州法人であるABC社と日本法人であるXYZ社の
間で締結されたABC社が販売するソフトウェアのライセンス契約書の一条文と
する。この条文の記載内容について、最も適切なものを下記の解答群から選べ。な
お、「SOFTWARE」とは、本ライセンス契約のライセンスの対象となっているソフ
トウェア(以下「本ソフトウェア」という)を意味し、また、本契約書はもともと
ABC社から提案されたもので準拠法はカリフォルニア州法となっている。



   IN NO CASE WILL ABC BELIABLE FOR ANY CONSEQUENTIAL, SPECIAL
  INDIRECT, INCIDENTAL OR PUNITIVE DAMAGES WHATSOEVER (INCLUDING,
  WITHOUT LIMITATION, DAMAGES FOR LOSS OF BUSINESS PROFITS,
  BUSINESS INTERRUPTION, LOSS OF BUSINESS INFORMATION, LOSS OF DATA
  OR OTHER SUCH LOSS) ARISING OUT OF THE USE OR, INABILITY TO USE
  THE SOFTWARE, EVEN IF ABC HAS BEEN ADVISED OF THE POSSIBILITY OF
  SUCH DAMAGES. IN NO CASE WILL ABC'S AGGREGATE LIABILITY ARISING
  OUT OF THIS LICENSE AGREEMENT EXCEED THE ROYALTIES ACTUALLY
  PAID BY XYZ FOR THE SOFTWARE.



[解答群]
 ア XYZ社が、本条に基づいてABC社に対して損害賠償を請求する場合は、本
  ソフトウェアをABC社に返却しなければならない。
 イ 本条がすべて大文字により規定されている理由は、法的な効果と関係なく、
  単に、ABC社のXYZ社に対する取引上の良心に基づき、目立つように記載さ
  れたものである。
 ウ 本条の規定は、ABC社がXYZ社に提供した本ソフトウェアを原因として損
  害が発生した場合における、ABC社の損害賠償責任の範囲を規定している。
 エ 本ソフトウェアの性能がABC社と合意したレベルに至っていない場合、
  XYZ社は、本条に基づいて、ABC社に対し実際に支払ったライセンス料を返
  金してもらうことができる。




第15問



 A社は、公共のインフラを整備する事業を行うことを目的として、平成20年
(2008年)9月に新機器の開発とその製造に関するコンペティション(入札)を行
い、その結果、B社の製品を採用することを決定した。
 A社とB社間で製品の仕様・対価・数量の概要が合意され、A社が平成21年
(2009年)4月から新機器を利用したサービス開始を予定していたため、B社は新
機器の開発やA社の要求する数量を期限までに間に合わせるために、A社とB社
間で開発及び製造に関する業務開発委託契約書を作成する前に、B社は前倒しで部
品の調達及び新機器の開発を進めていた。このような事情をA社の担当者は把握
しており、A社はB社に対して納品がサービス開始の日程に間に合うかというこ
とを何度となく確認し、B社も急ピッチで作業を行っていた。
 ところが、A社の代表者が平成21年1月にいわゆるインサイダー取引の容疑で
刑事訴追を受けたことから、A社の取締役が総入れ替えして新体制となり、事業縮
小の一環で当該事業も取りやめる旨を決定した。
 結局、A社とB社間では契約書の作成も行われず、B社が調達した部品や開発
した機器が、A社の当該事業のために特別に発注したものだったため、他に転用す
ることができず、B社のもとに残った。
 以上のような事情を前提に次のうち最も適切なものはどれか。



 ア A社は、B社との間で契約を締結していないことから、B社に生じた損害を一
  切賠償する必要はない。
 イ A社はB社に対し、契約締結の準備段階における信義則上の注意義務に基づ
  いて、B社が実際に当該機器の開発・製造のために調達した部品の代金の全部又
  はその一部を賠償しなければならない。
 ウ A社はB社に対し、契約を締結しなかったという債務不履行責任に基づい
  て、実際にB社がA社に当該機器を販売した場合に得られるべき利益を賠償し
  なければならない。
 エ A社はB社に対し、その代表者が刑事訴追を受けたという不法行為責任に基
  づいて、B社の生じた損害を賠償しなければならない。




第16問
 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。



 有限責任制の人的会社制度として、会社法に合同会社制度が創設された。また、
有限責任事業組合契約に関する法律により、新たな事業体としての有限責任事業組
合の設立が可能となった。
 このほか人的資産の活用としては、民間の行う社会貢献活動の健全な発展を促進
する目的で特定非営利活動促進法が施行され、特定非営利活動法人を設立すること
が可能となっている。



(設問1)
 合同会社と有限責任事業組合は共通点も多い。次の説明のうち、最も不適切な
ものはどれか。



 ア 合同会社、有限責任事業組合の債権者は、当該会社または組合の営業時間内
  は、いつでも、作成した日から5年以内の計算書類または財務諸表の閲覧また
  は謄写の請求をすることができる。
 イ 合同会社の常務に属する業務以外の業務は、定款に別段の定めがある場合を
  除き、社員の過半数をもって決定する。有限責任事業組合も重要な財産の処分
  および譲受けや多額の借財という業務執行を決定するには、総組合員の過半数
  の同意によらなければならない。
 ウ 合同会社の設立手続きは、社員になろうとする者が定款を作成し、設立の登
  記をする時までにその出資の全額を払い込みまたは給付を行う。有限責任事業
  組合では、各当事者が組合契約書を作成し、それぞれの出資に係る払込みまた
  は給付の全部を履行する。いずれも、設立時に公証人の定款認証を受ける必要
  はない。
 エ 合同会社は定款、有限責任事業組合は総組合員の同意により、その出資者の
  損益分配の割合を出資の価額に応じたものと異なる割合に定めることができ
  る。




(設問2)
 合同会社と有限責任事業組合との相違点の説明として、最も不適切なものはど
れか。



 ア 合同会社は、合同会社名義で特許権の出願ができる。これに対し有限責任事
  業組合では、有限責任事業組合名義で特許権の出願をすることはできない。
 イ 合同会社は、合名会社、合資会社、株式会社に組織変更することができる。
  これに対して有限責任事業組合は、このような組織変更ができず、当該有限責
  任事業組合を解散し、新たに会社を設立しなければならない。
 ウ 合同会社は社員1名でも設立できる。これに対し有限責任事業組合は、2名
  以上の個人または法人の組合員が必要となる。ただし、組合員のうち過半数以
  上は、日本の居住者または内国法人でなければならない。
 エ 合同会社は、配当額が当該利益の配当をする日における利益額を超える場合
  には、当該利益の配当をすることができない。有限責任事業組合の組合財産
  は、その分配の日における純資産額から組合員の出資総額と300万円のいず
  れか小さい額を控除した額を超えて分配することができない。




(設問3)
 特定非営利活動法人の説明として、最も不適切なものはどれか。



 ア 特定非営利活動法人の役員として、理事3名以上および監事1名以上を置か
  なければならない。なお、役員のうち報酬を受ける者の数は役員総数の3分の
  1以下でなければならない。
 イ 特定非営利活動法人は、特定非営利活動を目的としなければならないが、特
  定非営利活動の事業に支障のない範囲で、その他の事業を行うことができる。
 ウ 特定非営利活動法人は、毎事業年度初めの3か月以内に、前事業年度の事業
  報告書等ならびに役員名簿等を作成し、定款等とともに、その社員その他の利
  害関係人が閲覧できるよう主たる事業所に備え置かなければならない。
 エ 特定非営利活動法人を設立するためには、定款、役員名簿、社員7名以上の
  名簿、設立趣旨書などの必要書類を添付した申請書を所轄庁に提出して、設立
  の認証を受けなければならない。




第17問
 次の文中の空欄に入る最も適切なものを下記の解答群から選べ。



 証券取引所に新規に上場申請する会社が、上場申請日から上場日の前日までの期
間に行う株式の公募または売出し(以下「上場前の公募等」という。)の価格(以下「公
開価格」という。)の決定については証券取引所の定める方法で行わなければならな
い。
 証券取引所は、その規則で、上場前の公募等を行う場合には( )か競争入
札による公募等のいずれかの手続きを行わなければならないと定めている。
 このうち、( )とは、新規上場申請会社および引受証券会社が、その申請
会社の財政状態および経営成績、ならびに、有価証券の投資に係る専門知識および
経験を有する者の意見等を総合的に勘案した公開価格に係る仮条件を決定し、それ
をもとに投資者からの需要状況を調査する手続きである。公開価格は、( )
により把握した投資者の需要状況に基づき、上場日までの期間における株式相場の
変動により発生し得る危険および需要見通しを総合的に勘案して決定される。



[解答群]
 ア 比例配分方式
 イ ブック・ビルディング
 ウ マーケット・メイク
 エ 類似会社比準方式




第18問
 会社法では、株式会社は株主との合意により当該会社の株式(以下「自己株式」と
いう。)を有償で取得することができると定めている。それに関連した以下の設問に
答えよ。
 なお、本問で想定している会社は、株式会社で取締役会設置会社であるが、会計
監査人設置会社ではない。また、発行する株式には、譲渡制限が付されており、異
なる種類の株式はなく、市場価格がないものとする。



(設問1)
 会社法では、株式会社は株主との合意によりすべての株主に申し込み機会を与
えて自己株式を有償で取得することができると定めている。
 このような有償取得を行うに当たって、会社法で定められた手続きや方法およ
び財源規制についての説明として、最も不適切なものはどれか。



 ア このような有償取得では、あらかじめ株主総会で株式の取得に関する事項を
  決議しなければならない。この決議は臨時株主総会でもよいが、取得すること
  ができる期間は、次回の定時株主総会の期日を越えることはできない。
 イ このような有償取得では、その都度、取締役会で取得する株式の数、株式1
  株を取得するのと引換えに交付する金銭等の内容等およびその総額、株式の譲
  り渡しの申し込みの期日を決定し、株主に通知しなければならない。
 ウ このような有償取得では、当該行為により株主等に対して交付する金銭等の
  帳簿価額の総額は、当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超え
  てはならない。
 エ このような有償取得では、譲り渡しの申し込みの期日において、株主の申込
  総数が、株式会社が決定した取得総数を超えるときは、取得総数を申込総数で
  除して得た数に株主が申し込みをした株式の数を乗じて得た数の株式の譲り受
  けを承諾したものとみなされる。




(設問2)
 会社法では、株式会社は株主との合意により特定の株主から自己株式を有償で
取得することができると定めている。
 この場合、特定の株主だけが株式を会社に売却できるのでは、株主平等原則を
損なうおそれがある。このため会社法では、他の株主に、当該特定の株主に加え
て自己をも売主とするよう請求できる権利(以下「売主追加請求権」という。)を定
めている。
 この規定についての説明として、最も不適切なものはどれか。



 ア 会社が、株主の相続人からその相続により承継した自己株式を取得する場合
  には、売主追加請求権の規定は適用されない。ただし、当該相続人が株主総会
  ですでに議決権を行使した場合はこの限りではない。
 イ 会社が、その子会社の有する当該会社(親会社)の株式を取得する場合には、
  売主追加請求権の規定は適用されない。
 ウ 特定の株主から自己株式を有償で取得することについて、売主追加請求権の
  規定を適用しない旨を定款で定めることができる。この定めをするには、株主
  総会の特別決議が必要となる。
 エ 特定の株主から自己株式を有償で取得するときには、あらかじめ株主総会の
  特別決議が必要である。この場合には、特定の株主は議決権を行使することが
  できない。ただし、特定の株主以外の株主の全部が議決権を行使することがで
  きない場合はこの限りでない。




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