第1問
次のGDPに関する文章中の空欄A~Dに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
生産面から見たGDP、分配面から見たGDP、支出面から見たGDPが【A】に一致することを「三面等価の原則」という。このうち、生産面から見たGDPは各生産段階における【B】の総計に等しく、支出面から見たGDPは【C】と呼ばれる。
なお、GDPから固定資本減耗を差し引いたものを【D】と呼ぶ。
〔解答群〕
ア A:事後的 B:中間生産物の価値 C:国内総支出 D:国内純生産
イ A:事後的 B:付加価値 C:国内総支出 D:国内純生産
ウ A:事後的 B:付加価値 C:国民総支出 D:国民純生産
エ A:事前的 B:中間生産物の価値 C:国内総支出 D:国内純生産
オ A:事前的 B:付加価値 C:国民総支出 D:国民純生産
第2問
次の文章中の空欄AおよびBに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
下図は日本の【A】の推移を表したものである。この図から、【A】が急激に低下していることが読みとれる。【A】が低下する主な要因として【B】などが挙げられる。これにより、日本の長期的な経済成長が鈍化する可能性が指摘されている。
〔解答群〕
ア A:家計貯蓄率 B:高齢化の進展
イ A:製造業の国内生産額の対GDP比率 B:サービス経済化の進展
ウ A:政府支出の対GDP比率 B:財政構造改革の進展
エ A:輸出依存度 B:海外における景気の低迷
第3問
下図は、日本の完全失業率、消費者物価変化率、現金給与総額伸び率を表したものである。この図の説明として最も適切なものはどれか。
ア 1980年代後半のいわゆるバブル経済期には、失業率の低下に応じて実質賃金は下落傾向にある。
イ 2000年以降、失業率の上昇期には実質賃金は上昇傾向にある。
ウ 「オークンの法則」と同様、物価と名目賃金はほぼ同じ傾向を示し、実質賃金は硬直的に推移している。
エ 「フィリップス曲線」が示すように、物価変化率と失業率は相反する傾向が見られる。
第4問
次の古典派マクロ経済学に関する文章中の空欄AおよびBに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
古典派マクロ経済理論では、市場の価格調整メカニズムが万全であり、物価および名目賃金が上下に伸縮的であると考える。このため、労働市場では常に完全雇用が実現し、GDPは完全雇用GDPの水準と一致する。古典派マクロ経済理論では【A】が成立し、【B】サイドからGDPが決定されると主張する。
〔解答群〕
ア A:セイの法則 B:供給
イ A:セイの法則 B:需要
ウ A:有効需要の原理 B:供給
エ A:有効需要の原理 B:需要
第5問
財政の役割に関する説明として最も適切なものはどれか。
ア インフレ・ギャップが生じている場合、物価を安定させるために政府支出の縮小が必要とされる。
イ 限界貯蓄性向が大きいほど、租税乗数は大きくなる。
ウ 減税は可処分所得の減少を通じて消費を拡大させ、GDPを増加させる。
エ 政府支出の拡大と減税を同規模で行った場合、GDPは一定に維持される。
オ 定率的な所得税は景気後退を自動的に防止する役割を果たすが、これを「裁量的財政政策」と呼ぶ。
第6問
下図は、投資の利子弾力性がゼロである場合を想定したいIS-LM曲線を描いたものである。この図の説明として最も適切なものはどれか。
ア GDPの水準は生産物市場の動向とは無関係であり、貨幣市場の動向から決定される。
イ 貨幣供給が増加しても利子率は不変であり、投資は一定の水準に維持される。
ウ 貨幣供給の増加は利子率の低下を通じて投資の拡大を引き起こす。
エ 政府支出の増加により利子率の上昇が生じるが、クラウディング・アウトは発生しない。
オ 政府支出の増加はGDPの拡大を引き起こすが、クラウディング・アウトが生じる分だけGDPの拡大は抑制される。
第7問
GDPと外国貿易に関する次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
いま、自国と外国の2国モデルを仮定し、自国と外国の生産物市場の均衡条件がそれぞれ次のように与えられるとする。
ここで、Y : GDP または所得、C:消費、I:投資、G:政府支出、X:輸出、M:輸入であり、記号の右肩に*を付したものは外国の変数である。なお、自国の輸出Xは外国の輸入M*に等しく、自国の輸入Mは外国の輸出X*に等しい。
自国の消費関数と輸入関数はそれぞれ
で示され、c:限界消費性向、m:限界輸入性向である。また、投資支出と政府支出はおのおのI = Io、G=Goである。
同様に、外国の消費関数と輸入関数はそれぞれ
である。外国においても、投資支出と政府支出はおのおのI*=I*o、G*=G*oで ある。
このとき、自国と外国の生産物市場の均衡条件は次のように表される。
この結果、自国のGDPの決定式は
になる。
同様に、外国のGDPの決定式は
で表される。
上記の2国のGDP決定式から、自国や外国の財政政策の変更が両国のGDPにいかなる影響を与えるかが明らかにされる。
(設問1)
文中の下線部について、自国の政府支出Gが増加した場合の経済効果の説明として最も適切なものはどれか。
ア 外国では経常収支の悪化を通じてGDPが拡大する。
イ 外国のGDPの拡大を通じて自国の輸出が誘発され、自国のGDP拡大効果は大きくなる。
ウ 自国では経常収支の改善を通じてGDPが拡大する。
エ 自国のGDPを増加させるが、外国のGDPを減少させ、近隣窮乏化を引き起こす。
(設問2)
文中の下線部について、外国の政府支出G*が増加した場合の経済効果の説明
として最も適切なものはどれか。
ア 外国では経常収支の改善を通じてGDPが拡大する。
イ 外国のGDPを増加させるが、自国のGDPを減少させてしまう。
ウ 自国では経常収支の悪化を通じてGDPが減少する。
エ 自国では輸出が誘発され、経常収支の改善を通じてGDPが拡大する。
第8問
次の自由貿易地域に関する文章を読んで、自由貿易地域が形成された場合の経済
効果の説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。
下図は、自国と2つの外国(X国とY国)間の貿易取引を表し、自国の輸入競争
財市場(たとえば農産物)を対象としている。農産物の国内需要曲線がDD、国内供
給曲線がSSで描かれている。
いま、X国からの農産物の輸入価格がP0、Y国からの農産物の輸入価格がP1であるとする。このとき、自由貿易を想定すれば、農産物はより安価なX国から輸入され、Y国から輸入されることはない。また、両国からの輸入に関税(T円)を同じだけ賦課したとしても、(P1+T)が(P0+T)よりも大きいため、農産物は依然としてX国から輸入され続ける。ここで、(P0+T)をP2で示し、(P1 + T)線は図示していない。
ところが、X国からの輸入には関税を賦課したままで自国とY国が自由貿易地域を形成した場合、Y国に対する輸入関税は撤廃され、両国からの輸入価格はP2>P1になるから、農産物の輸入先はX国からY国に切り替わる。
〔解答群〕
ア △EIJと△HKLの和が□FGLIより大きければ、自由貿易地域を形成することによって自国の総余剰が増加する。
イ 自由貿易地域が形成されると、△BEFと△CGHの余剰が回復する。
ウ 自由貿易地域形成下の貿易利益は、自由貿易下の利益△ABCより大きい。
エ 貿易創造効果は□EFGHに等しい。
オ 貿易転換効果は△EIJと△HKLの和に等しい。
第9問
下図は、開放経済下におけるマクロ経済モデルを描いたものである。この図に関する次の文章中の空欄A~Cに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
いま、小国モデル、完全資本移動、固定為替レート制、物価の硬直性、静学的な為替レート予想を仮定する。下図は、これらの前提に基づき、生産物市場の均衡を表すIS曲線、貨幣市場の均衡を表すLM曲線、自国利子率(r)と外国利子率(r*)が均等化することを表すBP曲線を描いたものである。
ここで政府支出が増加すると、IS曲線が右方にシフトし、新たなIS曲線とLM曲線の交点において【A】になる。このため、【B】が生じる。結果として、【C】になる。
〔解答群〕
ア A:国際収支(経常収支と資本収支の合計)が赤字
B:外貨準備の減少と貨幣供給の減少
C:LM曲線が左方にシフトして国際収支の均衡が回復するが、財政政策は景気拡大に無効
イ A:国際収支(経常収支と資本収支の合計)が黒字
B:外貨準備の増加と貨幣供給の増加
C:LM曲線が右方にシフトして国際収支の均衡が回復し、財政政策は景気拡大に有効
ウ A:国際収支(経常収支と資本収支の合計)が黒字
B:円高
C:LM曲線が左方にシフトして国際収支の均衡が回復するが、財政政策は景気拡大に無効
エ A:経常収支が黒字
B:外貨準備の増加と貨幣供給の増加
C:LM曲線が右方にシフトして経常収支の均衡が回復し、財政政策は景気拡大に有効
オ A:資本収支が赤字
B:円安
C:LM曲線が右方にシフトして資本収支の均衡が回復し、財政政策は景気拡大に有効
第10問
下図は、ケインズ派モデルにおける総需要曲線(AD)と総供給曲線(AS)を描いたものである。ここで、供給サイドにおいては、物価は上下に伸縮的であるが、名目賃金は硬直的であると考える。下記の設問に答えよ。
(設問1)
総需要曲線の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 経済が「流動性のわな」の状態にあるとき、総需要曲線は垂直に描かれる。
b 増税は総需要曲線を右方にシフトさせる。
c 投資の利子弾力性が大きいほど、総需要曲線はより急勾配に描かれる。
d 物価の下落は、実質貨幣供給の増加を通じて利子率を低下させ、投資の拡大と総需要の増加をもたらす。
〔解答群〕
ア aとb イ aとd ウ bとc
エ bとd オ cとd
(設問2)
総供給曲線の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a エネルギーなどの原材料費の上昇は、総供給曲線を左方にシフトさせる。
b 技術進歩は生産性の上昇を通じて総供給曲線を右方にシフトさせる。
c 人口構成の少予化・高齢化に伴う労働市場の変化は、総供給曲線を右方にシフトさせる。
d 物価の上昇は、実質賃金の上昇を通じて労働需要を増加させ、生産量の拡大を生じさせる。
〔解答群〕
ア aとb イ aとc ウ aとd
エ bとc オ bとd
第11問
医師不足・偏在、診療科の廃止など医療を取り巻く問題が多発している。病気になった人が、医療機関に行って受ける通常の医療サービスに関して、下記の設問に答えよ。
(設問1)
この医療サービスの一般的な特徴として最も適切なものはどれか。
ア 非競合性と非排除性を有さず、価値財でもない。
イ 非競合性と非排除性を有さないが、価値財である。
ウ 非競合性は有しており、価値財でもあるが、非排除性を有していない。
エ 非排除性は有しており、価値財でもあるが、非競合性を有していない。
(設問2)
上記に関連して、公共財と私的財に関する説明として最も適切なものはどれか。
ア 非競合性と非排除性の性質を持つ財を公共財という。その財の供給は市場に任せると過少になる傾向がある。
イ 非競合性と非排除性の性質を持つ財を公共財という。その財の供給は市場に任せると過剰になる傾向がある。
ウ 非競合性と非排除性の性質を持つ財を私的財という。その財の供給は市場に任せると過少になる傾向がある。
エ 非競合性と非排除性の性質を持つ財を私的財という。その財の供給は市場に任せると過剰になる傾向がある。
第12問
原油価格の高騰が起きれば、ガソリンスタンドはガソリン価格の引き上げを余儀なくされる。一方で、ガソリン価格の高騰は買い控えなどによる顧客離れを引き起こしかねない。そこで、ガソリンスタンドでは価格をどのような水準に設定するかが重要となる。この点を踏まえて、下記の設問に答えよ。
(設問1)
ドル建ての原油価格が上昇しても、ガソリンの円建ての小売価格への影響を小さくする要因の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a 円高
b 円安
c 低い需要の価格弾力性
d 高い需要の価格弾力性
〔解答群〕
ア aとc イ aとd ウ bとc 工 bとd
(設問2)
あるガソリンスタンドが、周りの競合店よりも極端に低い価格を付け、競合店を市場から排除した後に独占的な地位を得ようとする可能性が指摘できる。このような価格戦略を表す言葉として最も適切なものはどれか。
ア 限界価格設定
イ フルコスト・プライシング
ウ ラムゼイ価格
エ 略奪的価格設定
第13問
経営者は、将来の経営に影響を与える要素に関するすべての情報がそろっている中で意思決定を行うことはほとんどない。次の文章の空欄AおよびBに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
過去のデータなどを用いて将来起こることの発生確率が予測されている場合は【A】があるといい、何がどの程度の確率で起こるのかさえ予測できない場合は【B】があるという。両者は経済学では明確に区別される。
〔解答群〕
ア A:コールオプション B:リスク
イ A:不確実性 B:コールオプション
ウ A:不確実性 B:リスク
エ A:リスク B:コールオプション
オ A:リスク B:不確実性
第14問
何度も飛行機に乗ることを経験するごとに、自動車に乗ることよりも危険の発生確率が低いことを知ることによって飛行機を利用するという選択を行う場合がある。このような行動心理学の考え方の背景には、「ある結果(データ)が得られたとき、その結果を反映させて事後確率を求める」という考え方があるが、その考え方を表す言葉として最も適切なものはどれか。
ア ガウス=マルコフの定理
イ コースの定理
ウ 中心極限定理
エ ベイズの定理
第15問
製品に関する情報が偽って宣伝されると、市場メカニズムに多大な悪影響を与える。この点に関連して、次の文章の空欄AおよびBに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
情報の非対称性により、消費者が市場に流通している製品の品質につき、十分な情報を得ることができない場合がある。アカロフによる「レモン市場」の考え方によれば、その場合には【A】により、平均的な品質が【B】することが知られている。
〔解答群〕
ア A:逆選択 B:上昇
イ A:逆選択 B:低下
ウ A:モラルハザード B:上昇
エ A:モラルハザード B:低下
第16問
いわゆるサブプライムローン問題が大きな問題となっている。金融機関が不良債権を抱えた場合、一定の自己資本比率を維持するために必要な方策として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 貸し出しの減少
b 貸し出しの増加
c 他社による当該金融機関への資本注入
d 他社の株式購入
〔解答群〕
ア aとc イ aとd ウ bとc 工 bとd
第17問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
下図の直線で示される海辺で、2店のアイスクリーム屋(X店とY店)が営業をしている。それぞれの店は最適な立地を探して、下図の直線上の希望する場所に店を構えることができるとする。ここで、競合相手より右の方に立地した店は、その店から右の客をすべて獲得できるとする。同様に、左の方に立地した店は、その店から左の客をすべて獲得できるとする。 2つの店の間の客については、その中間点より自店に近い客を獲得できるとする。また、海水浴客は海辺に均等にいると想定する。
(例)
もしX店がB地点に、Y店がD地点に店を構えると、X店はA地点からC地点の客を、Y店はC地点からE地点の客を獲得できる。(海辺の長さを均等に4分割し、左から順にAからE地点としている。)
(設問1)
もしX店が先にA地点に立地したとすると、Y店にとって最も望ましい立地はどこか。
ア A地点のやや右(X店の右隣)
イ B地点
ウ C地点
エ D地点
オ E地点のやや左
(設問2)
ここで、両店にとってナッシユ均衡となる立地はどこか。最も適切なものを選べ。
ア A地点で隣り合わせに立地
イ B地点で隣り合わせに立地
ウ C地点で隣り合わせに立地
エ D地点で隣り合わせに立地
オ E地点で隣り合わせに立地
第18問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
消費と余暇に関する、ある労働者の当初の予算制約式が次のように与えられているとする。
C = w×(24-L)
ここで、Cは消費、wは時間当たりの賃金、Lは余暇時間とする。労働者は、余暇時間以外の時間に働くとする。下図のように、人々は消費と余暇に関する無差別曲線と予算制約式により、最適な労働時間と消費水準を決定する。ここで、この労働者の初期の最適点はE点で与えられている。
(設問1)
賃金が低下し、予算制約式が変化して、下図のように点線で与えられたものとする。このとき、新たな最適点はE´点となった。余暇の時間に対する所得効果と代替効果に関して、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 所得効果の影響より、代替効果の影響の方が大きい。
イ 代替効果の影響より、所得効果の影響の方が大きい。
ウ 所得効果の影響と代替効果の影響は同じである。
エ 所得効果と代替効果、双方とも存在しない。
(設問2)
もともとの最適点がE点で与えられている。政府の福祉政策により、所得水準がある一定水準以下の労働者に対して給付金が出ることになった。この場合、労働者が新たに選択する消費と余暇の時間の組み合わせに関して、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
〔解答群〕
ア 消費は上がって、労働時間を増やす。
イ 消費は上がって、労働時間を減らす。
ウ 消費は同じで、労働時間も変わらない。
エ 消費は下がって、労働時間を増やす。
オ 消費は下がって、労働時間を減らす。
第19問
ある会社の製品に対する消費者行動に関して、以下のような統計データが得られた。ここで、Daは自社製品への需要、ADaは自社製品に対する広告額、Paは自社製品の価格、Pbは競合他社製品の価格、wは経済全体の賃金上昇率とする。それぞれの変数のパラメーターはすべて統計的に有意であるとする。
この統計データの説明として、最も不適切なものはどれか。
ア 競合他社製品の価格の上昇は、自社製品の需要に好影響を与える。
イ 広告は需要に好影響を与える。
ウ 自社製品の価格の上昇は、需要に悪影響を与える。
エ 所得が高まれば需要が増える。