第1問
経営計画を策定する際には、さまざまな経営計画技法や管理技法が用いられる。そのような技法に関する脱明として、最も不適切なものはどれか。
ア ABM (Activity Based Management)は、操業度よりも費消した補助活動を基準にして費用を跡づける間接費の管理技法として用いられる。
イ DCF(割引キャッシュフロー)法は、いくつかのプロジェクトの価値をキャッシュフローの現在価値に換算して比較評価しようとする場合に用いられる。
ウ ガントチャートは、コンピュータを活用して、クリティカル・パスを明らかにし、そこに労働力や設備等を重点的に投入して効果的な日程管理をしようとする場合に用いられる。
エ 線形計画法は、使用量に制限のある2つの資源AとBを用いて、利益を最大化するために製品XとYをどのくらい生産すればよいかを計算する場合に用いられる。
オ 待ち行列理論は、到着間隔やサービス時間の確率分布をもとに製品の輸送と在庫の管理を計画的に進める場合に用いられる。
第2問
経営資源と企業の戦略に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア ある経営資源を保有しない企業は、すでに保有している企業に比べて、その複製が困難であると、コスト上の不利益を被りやすい。
イ 企業が特定の経営資源を獲得、開発、活用する能力は、企業の歴史的経緯に依存しているので、先行企業は持続的な競争優位を得やすい。
ウ 企業の競争優位と個々の経営資源の関係が不明確になるのは、内部者にとってその経営資源があまりに当然なものであったり、経営資源が個別に分離しにくく一体となって競争優位をつくり出しているからである。
エ 競争優位の源泉である特殊な経営資源の外部からの調達可能性が高く、その調達コストが低いほど、それを調達する企業はコスト上優位になり、競争優位性を長期的に維持できる。
オ 保有する経営資源が希少であることは大事であるが、そのような経営資源は特殊であるため、顧客の価値と合致しないことが起こりやすくなるので、これだけでは競争優位にはつながりにくい。
第3問
競争を通じて、同業者は似通った戦略をとるグループを形成することがある。このような現象や成立の理由に関する説明として、最も不適切なものはどれか。
ア ある製品分野の生産のために垂直統合を強めると、企業の生産体制や製品ラインは似通ってくるので、戦略グループが生まれやすくなる。
イ いったん戦略グループが形成されると、そのグループから他のグループヘの移動は難しくなりがちであるが、グループ内では競争関係は緩和される。
ウ 顧客層と製品ラインの幅を考慮して、最適生産規模を追求したり、共通コストの節約を図ると、次第に一貫した戦略行動になるので、似通った企業の集団が生まれやすくなる。
エ 同一産業内に複数の戦略グループが存在することが少なくないが、これは市場の広がりと製品ラインの絞り込み等が異なるからである。
オ 同一産業内の戦略グループ間で収益が異なるのは、それぞれの戦略グループが直面する脅威と機会が異なるからである。
第4問
企業の成長をめぐる戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 自社が優位を占める成長分野への他社の参入を防ぐために、積極的に生産の増強を図ったり、広告宣伝などのマーケティング活動を展開して、市場支配力を強める戦略を追求する。
イ 社内の研究開発能力が不十分な場合、外部から技術導入を図ったり、重要な技術部品を社外から調達せざるをえないので、低価格戦略しかとりえなくなる。
ウ 多角化は成長には有効であるが、総花的な戦略を強めて、企業の競争優位を喪失させるので、収益を悪化させることになる。
エ リストラクチャリングは自社の強みを喪失させるので、既存事業分野の価格競争や技術開発競争が激化しているときには回避しなければならない。
第5問
日本のベンチャー企業をめぐる動向に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア TLOや産学連携活動を通じて大学の知的資源の市場化が進んでおり、起業家的人材教育とあいまって、大学発ベンチャーの数は着実に増加している。
イ 新興業界では、いち早く技術やマーケティングの優位性を確立して、業界の競争ルールに影響力を持つことができると、先行者優位を享受することができる。
ウ 大企業からのスピンアウトによるハイテク・ベンチャーが少ないのは、発明者に報いることなく特許がすべて会社の知財になってしまったり、終身雇用慣行のため独立意識が低いからである。
エ 知財権保護の法的整備が進むにつれて、技術特許のビジネス化が可能になっており、ハイテクを武器にするベンチャー企業の創業が多くみられるようになった。
オ ベンチャー企業への支援制度をみると、人材や経営能力などの資金以外の経営資源の不足を克服するには必ずしも十分ではないが、資金助成や税制優遇などは多様化してきている。
第6問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
2007年度の① 中国国内での自動車販売台数は日本を上回ったが、生産台数も急激に伸びており、数年のうちに1千万台に達するといわれている。日本の自動車メーカーは中国での生産を増強している。他方、日本の電機メーカーをみると、これまで中国市場で大きな市場シェアを誇っていたテレビなどの②デジタル家電製品は、韓国や中国の製品が競争力を強めるにつれて苦戦している。電機メーカーはこのような状況を踏まえながら、③生産の国内回帰を図るなど技術力を生かした戦略を展開している。
(設問1)
文中の下線部①に関連して、中国自動車産業の戦略的な動向として、最も適切なものはどれか。
ア 中国政府は自国自動車メーカーと対等の出資比率での合弁を前提に、外資メーカーの参入を認めている。
イ 中国では基幹産業である自動車産業への台湾からの進出は許可されていないが、台湾からの部品の購入は自由であり、近年急増している。
ウ 中国には競争力に乏しく生産性も低い中小の自動車メーカーが多かったので、1990年代初頭から中国政府はその集約を図り、外資との合弁を大手メーカーのみに許可している。
エ 日本の完成車メーカーの系列部品メーカーの中国進出が多くなっているが、中国では系列を超えて欧米の自動車メーカーにも部品を供給する例もみられる。
(設問2)
文中の下線部②に関する説明として、最も不適切なものはどれか。
ア 台湾の電子部品メーカーでは生産コストの安い中国への生産移転が相次いでいるが、金型などの生産技術も中国に移転されており、中国メーカーの技術競争力の強化に結び付いている。
イ 中国市場の将来性に注目して、韓国の旧財閥系企業は中国での生産や販売の拠点を増強しながら、中国製品との価格競争に特化した戦略を展開している。
ウ 中国のデジタル家電市場は大衆的な価格帯のものが中心であり、高機能で高額な日本製品は価格競争力が弱く相対的に市場シェアを低下させている。
エ 中国のデジタル家電メーカーはキーデバイスの自社開発力が弱いので、技術による差別化よりも価格競争力を志向することになるが、それが大衆市場のニーズと合致している。
オ 中国のデジタル家電メーカーは、台湾や韓国などの電子部品メーカーからキーデバイスやパーツを調達して、自国のニーズに対応したデザインや仕様で製品を次々に開発している。
(設問3)
文中の下線部③の生産の国内回帰に関する説明として、最も不適切なものはどれか。
ア 技術開発のスピード・アップヘの対応のために、国内開発拠点を重視することが多くなっている。
イ 携帯電話やデジタルカメラなどのデジタル製品は多様な技術を垂直に統合した生産体制が不可欠であり、そのため海外での生産が困難になっている。
ウ 国内工場は、先端技術を駆使した自動化の推進や新しい生産技法の導入などにより生産性を高めており、高次な製品を中心に生産を強化している。
エ 特定の国に生産拠点を集中させるとカントリーリスクの回避が難しくなるため、生産拠点を他の国に分散させるとともに、一部を日本に戻すべく生産の国内回帰に取り組んでいる。
オ 日本的生産システムの強みである現場の熟練技術を喪失しないように、国内工場での生産を増やそうとする企業が増えている。
第7間
技術イノベーションと戦略の関係に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 開発時の技術が顧客の支持を受けるほど、その後の技術発展の方向が制約されやすく、技術分野が固定化されて企業の競争優位が失われていく。
イ 技術優位と市場ニーズが合致するとは限らないので、高機能の先端技術製品が技術的に劣る製品に敗れるという「ダーウィンの海」と呼ばれる現象がしばしば起こる。
ウ 自社技術の拡散スピードが速い場合、技術優位性は守りにくくなるが、先発者利得を獲得したり、累積生産量を大きくして製品の差別化を持続的に確立することができる。
エ 市場ニーズに適合的な技術に基づく製品は、企業の成長に貢献すればするほど、革新的な技術の製品が新しい市場を築き始めると、急速に市場を失うことがある。
オ 部門内に蓄積された大量の情報や暗黙知などは、技術部門と営業部門の交流を阻むので、市場ニーズから遊離した製品が開発されやすくなる。
第8問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
企業が設立される理由はさまざまであるが、①近年の会社法の施行や証券市場の整備によって創業やIPOが容易になったことも重要な要因である。しかし、制度が整備されたとはいえ、創業した企業を発展させ、持続的成長を図ることは容易ではない。零細企業を脱してIPOが可能な企業への成長を目指す場合、創業してから安定成長の軌道に乗るまでに克服しなければならないいくつかの壁がある。
創業から間もなく直面する壁は、②企業として自立するために創業時の制約条件を克服することである。これを克服して従業員が増え、会社としての形態が整ってくると、やがて③創業者は創業時の熱気を維持し組織の活力を高めることを課題として自覚するようになる。これが第2の大きな壁である。この克服には時間と情熱を傾けて取り組まなければならない。組織として会社が動くようになると、④各部署の戦略行動をまとめ上げて、会社としての総合力が発揮されるように組織に働きかけることが重要になる。このことが自律的に発展を続ける企業への脱皮に向けて取り組む最後の壁になる。
(設問1)
文中の下線部①のような措置によって創業やIPOが容易になったことをめぐる説明として、最も適切なものはどれか。
ア 会社法で新設された合同会社(LLC)は、出資者1名以上の有限責任制度で、しかも取締役会・監査役会が不要であることから、新規創業の方式として注目されている。
イ 会社法では最低資本金制度が廃止されて、株式会社は資本金1円でも設立可能であり、取締役会設置会社を除き設立時の取締役は3名だけで済むようになった。
ウ 会社法では有限会社が廃止されたが、既存の有限会社は特例有限会社として登記し直すことによって存続できることになっており、有限会社の廃止は創業意欲に水を差すものではない。
エ キャピタル・ゲインヘの課税方式の変更や株券の電子化は、個人の株式投資への誘因になっており、個人投資家の資金流入が増加して、IPOを目指す企業の追い風になっている。
オ 東京証券取引所のジャスダック市場、大阪証券取引所のヘラクレス市場をはじめ各種の新興市場が開設されてかなり経過しているが、近年これらの市場でIPOが急増している。
(設問2)
文中の下線部②への対応に関する説明として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a キャッシュフロー・マネジメントに留意して自己資本比率を高めるとともに、資金調達先への依存度を調整する。
b 以前勤めていた企業で身につけた技能とそこからの受注で創業したが、その企業の将来性は厳しく受注も伸び悩んでいる。しかし、他社からの受注活動は一切しないようにする。
c 創業の契機になった自社技術や市場は新規参入が相次いで競争が激化しており、赤字転落したので、採算の見込める価格に改訂し、市場拡大を図る。
d 創業時に支援を受けた以前の勤務先やそこから紹介を受けた得意先への依存を改めるため、新規顧客の開拓を活発に進める。
〔解答群〕
ア aとb イ aとc ウ aとd
工 bとc オ cとd
(設問3)
文中の下線部③の課題は、会社の成長にともなってしばしば発生する課題である。経営者は多くの時間をこの課題の克服のために割いているが、その対応として、最も不適切なものはどれか。
ア 会社の目標と計画に沿って個人別の目標を設定する場合、部下の参画を求め、主体的な目標管理を促すとともに、新入社員に対しては上司が積極的に目標設定を指導する。
イ 会社への忠誠心を高めるために、個人別に業績を評価し、それを給与や処遇に連動させた計数管理を徹底する。
ウ 職務へのコミットメントを高めるために、個人別に権限と責任を明確にした管理システムを導入する。
エ 創業の思いを共有するため、トップは従業員との対話の機会を増やし、創業時の思いや成功・失敗談を語るとともに、個々の仕事への意欲的なチャレンジを奨励する。
(設問4)
文中の下線部④への対応に関する説明として、最も不適切なものはどれか。
ア カンパニー制度のような自律的な事業組織を編成し、事業部長に経営計画や資源配分および利益目標等の企画に関するすべての責任と権限を与え、本社は業績の管理だけに徹するようにする。
イ 機軸となる新規プロジェクトについては、そのリーダーに大きな権限を与えて、社内資源の動員を図り、資源のシナジーを生かしたプロジェクト遂行を進める。
ウ 経営計画を定め、計画と統制のサイクルを各組織の単位で回すとともに、個人レベルでもPDCAサイクルが回るように目標管理体制を構築する。
エ 事業分野が多様化して、ヒト、モノ、カネなどの配置に無駄が生まれるので、全社の戦略目標を明確にしてPPMに基づいた資源配分を試みる。
オ 製品市場分野ごとに現場での独自な取り組みを促すための予算や人員の配置を行うとともに、その実施プロセスと成果について全社レベルで意見交換や分析を行う。
第9問
1990年代の日本経済は長期不況に見舞われ、しばしば失われた10年と呼ばれている。この間、経済はグローバル化し、企業は個々に戦略的対応を繰り広げてきている。このような失われた10年を説明するものとして、最も適切なものはどれか。
ア この時代、熟練技能労働者が韓国や中国の企業にも流出したため、一部では生産技術の国際格差が縮まり、競争優位を失うことが見られた。
イ 事業領域の選択と集中を行う企業が増えたが、狭い得意分野に特化したため市場適応能力を失い長期にわたって業績不良に悩まされる企業が多発し、不況を長引かせるところとなった。
ウ 生産の海外移転が順調に進み、海外生産規模は1990年代末にはGDPの50%に達するようになり、税制面から海外子会社を連結対象にした新しい会計制度が施行された。
エ 不良債権処理のため低金利政策がとられたので、融資条件が大幅に緩和され、中小企業は資金需要を容易に満たすことができたので、廃業件数は減少した。
第10問
競争優位の源泉を低コストと精密な加工技術に置く製造企業では、セル生産と呼ばれる新しい生産方式に切り換えて、一層の生産性改善に取り組む例がみられるようになった。このようなセル生産方式に関する説明として、最も不適切なものはどれか。
ア セル生産方式は、現場労働者を多能工化することによって成立するので、多工程持ちが進み、作業工程の手待ちの無駄を排除できる。
イ セル生産方式は、少人数グループの「ワークセル」を単位とするチーム生産方式が進化したものとみることができる。
ウ セル生産方式は、製品が多様化し変化のスピードが速い場合、生産ラインの切り換えコストを節約できるので有効である。
エ セル生産方式は、単調な労働を排除して労働の人間化を実現でき、従業員のモチベーションが高まり、生産性が改善できる可能性が高い。
オ セル生産方式は、ベルトコンベアを完全に撤去した熟練労働による生産であるため、熟練労働力が不足する海外でこれを展開することは難しい。
第11問
企業の規模や経営戦略、環境条件などさまざまな要因によって、組織が処理すべき情報の量や質が異なるため、それに応じて機能別部門組織(functional organization)、事業部制組織(divisional organization)、マトリックス組織(matrix organization)など、異なる組織構造をデザインする必要がある。これに関して、 下記の設問に答えよ。
(設問1)
機能別部門組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 機能別部門組織では、各機能部門が専門機能を基礎に編成されているため、全社的なコントロールを担当する次世代のトップマネジメントを養成することが難しい。
イ 機能別部門組織では、高度な分権化が進展しているため、トップマネジメントへの集権化の程度は低い。
ウ 機能別部門組織では、それぞれの部門が異なる機能を担当しているため、変化する環境でも部門間コンフリクトが発生する可能性は低い。
エ 機能別部門組織の利点は、機能部門ごとの専門化の利益を最大限に発揮できる点にあり、その分、規模の経済は犠牲になる。
オ 機能別部門組織は、単一製品一市場分野に進出している企業に採用される傾向が高く、あまり大規模な操業には適さない。
(設問2)
事業部制組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 事業部制組織では、各事業部は独立採算のプロフィットセンターとして管理されるために、複数の事業部にまたがる統合的な製品の開発などは遅れがちになる。
イ 事業部制組織では、各事業部を評価する統一的な基準がないために、本社機構のオーバーヘッドコストが高くなる傾向がある。
ウ 事業部制組織では、本社と事業部の間に擬似的な資本市場が存在することになり、一般に各事業部の限界利益率に応じて予算配分が行われる。
エ 事業部制組織は、複数の製品一市場分野に進出している企業で採用される傾向が高く、事業部間の高度な連携をとることが容易になる。
オ 事業部制組織は、本社の情報処理負担が軽減されるとともに、事業戦略に関する権限が本社に集中するために、事業部の再編成や既存事業の融合を通じた新規事業を創造しやすくなる。
(設問3)
機能部門一事業部門からなる恒常的なマトリックス組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア マトリックス組織が有効に機能するためには、複数の命令系統に柔軟に対応し、コンフリクトを創造的に解決する組織文化の裏付けが必要である。
イ マトリックス組織では、機能マネジャーと事業マネジャーが同じ内容の権限を持つので、従業員は2入の上司の管理下におかれ高いストレスを感じる。
ウ マトリックス組織では、主要な権限を委譲された事業マネジャーと機能マネジャーのコンフリクトが発生しやすいので、トップマネジメントの情報処理負担は大きくなる。
エ マトリックス組織は、環境変化の速い複数の非関連事業に多角化した企業が、複数の事業部にまたがる横断的調整機能を導入したものである。
オ マトリックス組織は、現場での事業感覚が重要である組織に導入すると事業活動を制約してしまうため、主に本社機構に導入される傾向がある。
第12問
組織における分業のデザインや職務設計に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア エンパワーメントとは、職務拡大(job enlargement)が進化した形で、個人に割り当てる職務の幅をプランニング権限にまで広げたものである。
イ 個人に割り当てる職務をあまり単純な単位に分解すると、単調な作業を繰り返すだけになるため、職務の幅を広げて多能工化することで、職務充実(job enrichment)を図る必要がある。
ウ 個人の多能工化と品質管理を一体化した生産方式を導入すると、生産数量の頻繁な変化に柔軟に対応しつつ、低コストで一定以上の品質を維持することができる。
エ 職務のプロセスを標準化すると、従業員の専門能力を向上させるとともに、アウトプットの分散が大きくなり検査コストが増える。
オ 職務の目標や評価基準を標準化することを通じて、職務のモジュール化が促進されるため、管理者の調整負担は増えるが、不確実性への対応は容易になる。
第13問
組織階層の高さを決める要因に「管理の幅(span of control)」がある。「管理の幅」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 作業工程などのマニュアル化が進むと、例外事項が発生する可能性が高くなるので、「管理の幅」は狭くなる。
イ 職務間で同期をとる必要性が高い職場では、複数の業務にまたがる調整が必要になるので、「管理の幅」は広くなる。
ウ 部下が複数の業務に熟練している場合には、業務間の相互依存度が高くなるので、「管理の幅」は狭くなる。
エ 部下間の職務の相互依存度が高く、環境が不規則に変化する場合には、「管理の幅」を広くとることができる。
オ 部下や下位部門が、標準化された業績評価指標で統一的に管理できる場合には、「管理の幅」は広くなる。
第14問
ある工場で次のような問題が発生した。
「ある日の朝10時ごろに、従業員Kが機械で左手の指を2本けがした。Kは直ちに医務室に行って手当てを受け、10時30分には、指に包帯を巻いて持ち場に戻り仕事を再開した。しかし、この間にKのけがに関するうわさが工場
全体に広がっていた。そのうわさによれば、Kの所属部署から遠く離れた部署に行けば行くほど、Kのけがは大げさになっており、最もひどいところでは、Kは左手を失って入院したという話になっていた。従業員のモラールは著しく低下し始めた。」
このような状況において、工場管理者がとるべき対応として、最も適切なものはどれか。
ア うわさが自然におさまるまで、あえて何もしない。
イ うわさには触れず、直ちに工場内放送を通じて、事実関係について発表する。
ウ このうわさがなぜ発生したのかを調査し、後日、社内報で従業員に結果を報告する。
エ 直ちに従業員を調査し、うわさを広げた張本人を探し出すとともに、厳しい処分をくだす。
オ 直ちに役員会を開催して対策を検討し、記者会見を開いて、うわさが事実と異なるということを主張する。
第15問
リーダーシップ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア PM理論によれば、有効なリーダーシップスタイルは、P(目標達成度)とM(集団維持機能)の関係および組織形態によって変わるという。
イ パスーゴール理論によれば、フォロワーのタスク特性からあいまいさを排除し、タスク自体から得られる満足度を最大化するりーダーシップスタイルが望ましいという。
ウ フィードラーのコンティンジェンシー理論によれば、友好的で開放的なリーダーシップスタイルが望ましい成果を生むという。
エ リーダーシップに関するオハイオ研究によれば、参加型のリーダーシップが、専制型のリーダーシップよりも望ましいという。
オ リッカートによれば、支持的関係の原理や連結ピン機能が、媒介変数である従業員の信頼感や高い業績目標設定に影響を与え、その結果として生産性や欠勤率に影響を及ぼすという。
第16問
機能別部門組織をとるA社は、これまで不定期に新商品企画を行いながら、耐久消費財を生産するメーカーである。その新商品開発活動は、企画部門における商品コンセプト設計、研究所における製品機能設計と製品試作、工場エンジニアリング部門における生産工程設計と量産設計、生産部門などの複数の部門にまたがる業務の調整を通じて行つてきた。A社の属する産業の規模が拡大し、競争が激しくなるにつれて、定期的に新商品開発を行う必要性が出てきた。
A社の新商品開発組織に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、「軽量級のプロダクトマネジャー」とは、予算執行権限や人事権などを持たず弱い調整権限しか持たないマネジャーを、「重量級のプロダクトマネジャー」とは、予算執行権限や人事権など時には機能部門長以上の権限を持つマネジャーを、それぞれ意味する。
ア 既存の組織内で新商品開発を行うと、協力が得られにくいため、独立の新商品開発プロジェクト組織を設置し、軽量級のプロダクトマネジャーを配置する。
イ 商品開発過程全体でのやり直しに伴うコストを最小限にするためには、各過程で十分な検査過程を経てから次の業務段階に移行するよう組織し、業務間の調整の必要性を最小限にする。
ウ 商品コンセプト設計から生産に至るプロセスを連続的(sequential)に組織化し、各段階が終了したら次の段階にスムーズに移行できるよう、調整担当者として重量級のプロダクトマネジャーをおく。
エ 商品コンセプト設計段階から、製品機能設計や試作段階の技術者を参加させて直接コミュニケーションを促すなど、複数の業務をオーバーラップさせながら重量級のプロダクトマネジャーに管理を任せる。
第17問
互いに激しい競争をしている複数の企業に対して、工場で使用されている生産設備の一部を納入している企業P社がある。P社の製品は、それぞれの工場のエンジニアたちによって微妙に修正が施されたり、P社の想定とは異なる使用方法で利用されたりしているという。
このような状況下で、P社の新商品企画が競争優位を維持する方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア P社と顧客企業とを自動受発注情報システムを通じてリンクし、ジャストインタイムで情報が共有できるようにする。
イ P社の技術者と営業担当者が連携して、直接顧客企業の工場に入り、顧客企業のエンジニアと直接対話する機会を増やす。
ウ P社の研究開発投資を削減し、その分を営業費用に回し、顧客企業の工場から情報収集をできるようにする。
エ 業界の技術情報を詳しくレポートするコンサルタントと契約し、新商品の動向に関する情報を得る。
オ 複数の企業の多様性に対応するには、商社や問屋などを通じて営業活動をし、調査報告書を提出してもらう。
第18問
中小企業Q社は、2つの主要な部品XとYを組み合わせて商品を生産している。部品Xは汎用品で、インターフェースは業界全体で標準化されている。一方、部品YはQ社の特注品で、大企業R社に依頼して生産してもらっている。
このとき、Q社は、部品XとYを生産している企業との組織間関係をどのようにすればよいか、最も適切なものを選べ。
ア 部品Xの供給を特定の1社から受けることで、規模の経済を実現できるため、取引コストを低く抑えることができる。
イ 部品Xを供給できる企業が多いので、そのうちの1社をQ社内部に取り込み部品Xを内製化していくことで、より低い取引コストで部品獲得が可能になる。
ウ 部品Yの技術革新が頻繁に起こる場合には、投資規模があまり大きくないなら、Q社は部品Yの生産を内製化し、技術革新がもたらす成果を独占することで競争優位を維持することができる。
エ 部品Yを生産している企業R社にとって、Q社との取引量が大きい場合には、Q社が市場取引関係を通じて部品Yを調達すれば、取引コストは低くなる。
オ 部品Yを生産するのに大規模な設備投資を必要とする場合には、部品Yの生産を垂直統合してQ社の管理下に置くことが望ましい。
第19問
企業が長期に成長・発展していくためには、シングルループ学習とダブルループ学習を適切に切り替えて行っていく必要がある。このことに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 業績評価基準を成果主義型から過程重視型にシフトすることを通じて、シングルループ学習を抑え、ダブルループ学習を促進する可能性が高くなる。
イ 計画策定部門と執行部門を明確に区分し、適切なコミュニケーションを確保する組織を構築することで、シングルループ学習とダブルループ学習を適切に切り替える可能性が高くなる。
ウ 執行部門により多くの権限を委譲することを進めると、シングルループ学習を促進し、ダブルループ学習を阻害する可能性が高くなる。
エ 職務を細分化し、過程別専門化を進めていくことが、シングルループ学習を阻害し、ダブルループ学習を促進する可能性を高める。
オ 専門化された各部門の責任・権限を明確化することを通じて、シングルループ学習を抑え、ダブルループ学習を促進する可能性が高くなる。
第20問
組織の個体群生態学(population ecology)モデルに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ある成功した企業の組織形態を、他の多くの企業が正当性を獲得するために模倣することを通じて、組織個体群に含まれる企業の組織形態は類似する傾向がある。
イ ある組織個体群が淘汰されていくのは、政府の政策や規制などよりも、市場での競争に敗退したことによって起こりやすい。
ウ 各企業は環境の変化に応じて経営戦略や組織を修正していくため、その企業が属する組織個体群は成長していく。
エ 各企業はそれぞれの経営戦略にしたがって、合理的な組織形態を採用する結果、同じような戦略をとる企業は類似の組織形態をとるようになる。
第21問
近年の雇用形態や就業意識の多様化により、労働者ごとに労働条件の決定や変更が行われるケースが増えていることに伴い、個別労働関係紛争が増加している。これまでの個別労働関係紛争は労働基準法によって解決を図ってきたが、増加する紛争の解決とその未然防止および労働契約が円滑に継続するための基本ルール等を定 めた「労働契約法」が平成20年3月1日に施行された。
労働契約法の労働契約の基本原則に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 労働契約は、雇用形態に応じた就業の実態に合わせて定められた個別基準により締結し、または変更すべきものとする。
イ 労働契約は、労働者と使用者が仕事と生活の調和(ワークライフバランス)にも配慮しつつ締結し、または変更すべきものとする。
ウ 労働契約は、労働者と使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、または変更すべきものとする。
エ 労働者と使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たって、それを濫用することがあってはならない。
オ 労働者と使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に権利を行使し、義務を履行しなければならない。
第22問
労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する場合は就業規則を作成し、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見書を添付して、管轄の労働基準監督署に届出しなければならないとされている。この場合の就業規
則の法定記載事項に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 解雇の事由を含む退職に関する事項
イ 始業・終業時刻や休憩時間および休日・休暇など労働時間に関する事項
ウ 賞与・期末手当および退職手当に関する事項
エ 賃金の決定や昇給、賃金締切日・計算方法・支払日および支払方法など賃金に関する事項
第23問
労働者災害補償保険は、労働者の業務上または通勤途上の災害について、労働者を保護する観点から保険給付される制度である。しかし、中小企業の事業主や役員であっても労働者災害補償保険の適用が受けられる特別加入制度がある。
中小企業の事業主等の特別加入制度に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 特別加入ができる中小企業は、自社の労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していることが必要である。
イ 特別加入している事業主等は、事業主や役員としての業務遂行中の災害については保険給付の対象とされていない。
ウ 特別加入の対象となる中小企業には、業種や企業規模などにより一定の範囲がある。
エ 特別加入の申請手続きは、事業主が事業場を管轄する労働基準監督署に直接行うことになっている。
第24問
企業経営の中で人材育成は不可欠の要件の1つである。その手法としての能力開発の体系や手法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア CDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム)は、社員各自の希望と企業の人材ニーズに照らした長期的なキャリア・プランに基づく教育訓練と人事評価や処遇を合わせて行う必要がある。
イ OFF -JT は、集合教育、外部の講習会への参加などで、通常の業務遂行外で行われるため、計画的に実施することができる長所がある。
ウ OJTは、上司や先輩が部下に対して日常的に業務上の知識や技能を指導する方法で、その成果が仕事に直接反映されやすい長所がある。
エ 教育訓練は、一般に階層別教育訓練、職能別教育訓練および課題別教育訓練から構成される。
オ 自己啓発は、社員の自発性に根ざした自らが必要と考えている業務上の知識のレベルアップや他の知識の取得および自己の関心事について自ら挑戦することで、自己啓発意欲を支援する趣旨から企業がその費用の一部を支援する義務がある。
第25問
厚生年金保険の保険給付には、老齢給付、障害給付および遺族給付がある。これらの保険給付に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の支給開始年齢は、生年月日や性別に応じて段階的に引き上げられている。
イ 60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)は、その受給権者が厚生年金保険の被保険者として在職している場合でもその全額が支給される。
ウ 遺族給付には、厚生年金保険の被保険者や老齢厚生年金・障害厚生年金(除く障害等級3級)の受給権者などが亡くなった場合に、その遺族に支給される遺族厚生年金がある。
エ 障害給付には、障害等級に応じた障害厚生年金と、障害手当金(一時金)がある。
オ 老齢給付には、60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)と60歳台後半以降の老齢厚生年金がある。
第26問
法定労働時間は、労働基準法により1週40時間(1日8時間)とされているが、常時10人未満の労働者を使用する商業、保健衛生業など一定の業種の事業場では、1週44時間(1日8時間)とする特例措置が講じられている。しかし、外勤の多い営業職等の場合は、事業場外労働が常態であるため、労働時間の算定が困難な場合が多い。労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で労働した場合の労働時間の算定に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 事業場外においてその業務を遂行するために通常必要な時間は、労使協定で定めることができ、この場合の事業場外での労働時間は同協定に定められた時間が労働時間とされる。
イ 事業場外で労働した場合、使用者が労働時間を算定することが困難なときは、原則として所定労働時間労働したものとみなされる。
ウ 何人かのグループで事業場外労働した場合で、そのメンバーの中に労働時間を管理する者がいるときは、実際に労働した時間が労働時間となる。
エ 訪問先、帰社時刻など当日の業務について具体的な指示を受けて、事業場外で業務を遂行して帰社した場合、所定労働時間を超えていても、所定労働時間労働したものとみなされる。
第27問
宿泊者に応じたL貿のサービスで知られるある旅館では、若女将が前面に立って従業員に教育を行っている。必ずしも旅館業界での経験があったわけではないが、他業界での経験なども生かして、経営に取り組んでいる。その成果は顧客の再訪の多さとなって現れている。この若女将の行っていることとして、最も不適切なものはどれか。
ア 過去の膨大なサービス対応事例をまとめた詳細なマニュアルを作成して、従業員が暗記するまで徹底して指導している。
イ 顧客重視に関する旅館の理念を記載したカードを就業中所持させている。
ウ 顧客の好みについて従業員の気づいたことを、携帯端末を使って、なるべく即時に入力して、それを顧客データベースに統合し、全員で情報を共有している。
エ 宿泊業界に限らず優秀なサービス提供企業を、従業員に見つけ出させて、それを実際に体験する研修会を行っている。
オ 朝礼のときに、前日のトラブルとその解決に関する情報や、良い判断をした従業員の対応について、話している。
第28問
ある製品ラインを販売しているA社は、一部の顧客の支持を得ることができた。次いで、一層の市場浸透を狙って同一製品ラインの中でのアイテムを拡大することに成功してきた。同社は、さらなる業績の拡大を目指して、別の製品ラインヘの進出を狙っている。その際に、すでに成功した既存の製品ブランドを利用するかどうか検討している。これに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 価格帯が低い製品ラインに既存ブランドをつけると、既存ブランドのイメージが低下してしまう。
イ 既存の製品ブランドから生じるハロー効果を利用することによって、既存の製品ラインの顧客とは別の顧客層に訴求できる。
ウ 従来とは別の市場に参入することになる場合、既存ブランドを活用してもマーケティング戦略を新規に構築する必要がある。
エ 新規ブランドを採用すると、新しい製品ラインが失敗した場合に、すでに成功していたブランドに与える影響が少ない。
第29問
女性がスパやエステティックサロンを選択する場合、口コミの利用が多く、広告なども活用されている。事前に客観的な評価がしにくいので、消費者はその選択に際して適切な情報を得にくいという状況にある。それは、欧米においても同様であり、調査員の公正な調査に基づくガイドブックが発行されたりしている。その日本版の出版に関して、最も不適切なものはどれか。
ア インターネットを通じて利用客の声を多数集め、それを調査対象選定に活用するこ&によって、ガイドブック購入者の参加意識を高めることが重要である。
イ ガイドブック自体の認知度を高めるために、日本版の出版発表の前に、欧米版のガイドブックの認知度を高めるためのパブリシティを積極的に行うことが重要である。
ウ このガイドブックの主要な読者層と重なる女性誌とタイアップして、その女性誌の名前を冠したガイドブックにすることが重要である。
エ 信頼度が判別できない情報が多数あるので、調査員による信頼度の高い公正な情報を提供することが重要である。
オ 若い女性の旅行目的の1つとして、スパやエステティックサロンが挙げられることがあるので、都市だけでなく、リソート地のホテルのスパやエステティックサロンも対象に加えるのが重要である。
第30問
オリンピック、サッカーワールドカップ、野球など、スポーツとビジネスのかかわりは、従来よりますます深くなってきている。そのような状況に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア スポーツイベントに協賛し、冠スポーツ大会とすることで、企業イメージを高めることが可能となる。
イ 世界的なスポーツイベントに協賛し、関連機器を提供することにより、権威付けを得られることになる。
ウ 世界的なスポーツイベントに協賛し、競技場で広告看板を掲出することは、新製品のブランドロイヤルティの確立が主な目的となっている。
エ トップアスリートに用具を提供し、その選手やチームが活躍することによって、同等もしくは類似の用具の販売に寄与する。
オ 入手が困難なスポーツイベントのチケットを配布することによって、プロモーション効果を高めることができる。
第31問
プロモーション手段の1つであるポイント制度、スタンプ制度、マイレージ制度といったもの(以下、「ポイント制度」という。)は、多様な業種・業態において採用されている。さらには、インターネット上でも多数みることができるようになって
きている。このポイント制度に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 顧客が頻繁に購入しない商品にポイント制度を適用すると、頻繁に購入する商品に比べて、その効果が大きく現れる。
イ 多数のポイントカードをすでに保有している顧客にとって、常に携帯されるポインドカードとなるには、高い魅力が必要である。
ウ 複数の企業間でポイントを交換できたり、相互利用できるようになる傾向にあるが、利用顧客数の不均衡などで提携関係は必ずしも永続しない場合がある。
エ ポイント制度を、新会員を紹介してくれた現会員に向けて適用することによって、新規顧客の獲得を促進することができる。
オ ポイントを、単一企業内だけでなく複数の企業間で交換利用する場合は、プリペイドカード法による供託金は必要ではない。
第32問
フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店)とから成るフランチャイズ・チェーン制度の特徴として、最も不適切なものはどれか。
ア 開業の資金や意欲は有しながら、十分な経営経験や店舗運営経験のない人でも、加盟店になることによって、独立の経営者となることができる。
イ 加盟店は、経営規模の拡大を目指して、任意に対象地域を設定することはできない。
ウ 経営のノウハウを持っている本部が、たとえ、十分な資金を持っていなかったとしても、チェーンを大規模にすることができる。
エ 小規模の独立の加盟店が、所有上の独立性を有したまま、共同仕入れなどの運営上の共同作業を行うものである。
オ 本部は、加盟店から、経営指導などの対価としてロイヤルティを受け取る。
第33問
価格設定の要因には、コスト、競争、需要がある。これらに基づく価格設定法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 価格ライン別の価格設定の場合は、各価格ライン内の製品のバリエーションに応じた多様な価格を設定する必要がある。
イ 競争志向型の価格設定のなかには、業界の平均的価格にあわせて価格設定する方法がある。
ウ 市場調査を行うことによって、顧客が知覚する価値を推定して、それをもとに価格設定していく方法がある。
エ 市場をいくつかのセグメントに分けて、セグメントごとの需要の価格弾力性の差を利用して価格を設定する方法がある。
オ 複数の商品をセットにして、価格設定することがある。この場合には、そうしなければ購入しないであろう顧客にとって魅力的な価格を設定する必要がある。
第34問
ブランドの資産価値を考えることとあわせて、顧客の資産としての価値(顧客資産)を考えることが増えてきている。そこでは、新規顧客の獲得、既存顧客の維持、追加販売の3つの要素が考えられる。これに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 顧客維持による収益が高いと見込まれる場合ほど、顧客獲得への投資は大きくなる傾向にある。
イ 顧客維持による収益が高くなく、顧客獲得時の投資を回収する期間が短い場合には、その顧客からの次期の収益を考えて投資する傾向にある。
ウ 顧客獲得の対象となるセグメント数を増加させるにつれて、増やしたセグメントでのレスポンス率が徐々に低下していく傾向にある。
エ 見込み顧客の将来価値を予測して、それがその顧客の獲得コストを上回るかぎり顧客獲得に投資する傾向にある。
第35問
不適切な製品の販売が発覚し、消費者の相利を脅かすことがある。ソーシャルマーケティングなどで企業の社会的責任が指摘されてから、すでに時間が経過しているが、トラブル事例はなかなかゼロにはならない。アメリカにおいては、大統領によって消費者の権利が示されている。1962年のケネディ大統領による4つの権利に加えて、1975年にフォード大統領が追加した消費者の権利として、最も適切なものはどれか。
ア 安全である権利
イ 意見を聞き届けられる権利
ウ 消費者教育を受ける権利
エ 知らされる権利
オ 選択する権利
第36問
消費者の購買行動は、いくつかの段階を経て行われている。これに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア ある特定の商品カテゴリーにおけるさまざまなブランドに関する消費者の知覚を図にしたものを知覚マップという。
イ 高関与の場合には、その商品カテゴリーの関心度が高いので、広範囲に情報探索活動が行われる。
ウ 購買行動の出発点となる問題認識は、最寄品の場合、家庭内ストックのような内部と、広告などの外部からの刺激が主な要因となる。
エ 消費者が商品を評価する際には、選好が重要であり、これは、この消費者の主観的評価に基づくものである。
オ 選択の対象として、存在を知っている商品のすべてについて、情報収集・評価を行う傾向にある。
第37問
販売促進活動は、社内に向けても実施されている。これに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア シーズンオフ期における販売を刺激するために社内向けの販売促進が行われることがある。
イ 社内向けの販売促進の目的の1つには、顧客への訪問回数を促すことがある。
ウ 新製品発売時には、製品コンセプトを明確に理解できるようにセールスマニュアルを用意する。
エ スキル向上を狙って、従業員対象の研修やセミナーが行われる。
オ セールスコンテストは、社員の緊張感を維持するために、通常は通年行われている。
第38問
市場を、全体を1つとみないで、セグメントに分割する接近法がしばしば用いられている。この市場細分化の軸の説明として、最も不適切なものはどれか。
ア 居住地域は、市場細分化変数として有効性が高い。
イ サイコグラフィック変数は、刊行データによって入手することができる。
ウ デモグラフィック変数には、性別、年齢、所得などが含まれる。
エ ライフスタイルは、生活者の生活価値観に基づいている。
オ ロイヤルティは、市場細分化変数の1つとなっている。
第39問
保管に関連する業務についての記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 集品作業(ピッキング)において、バーコードを利用するスキャン検品を行うと、単なるリストピッキングに比べてその精度は高まる。
イ 倉庫の中には、自動化が進んでいるものがあり、入出庫はコンピュータで管理される。
ウ 貯蔵倉庫は、商品の品質保持や盗難予防が重要な要素となる倉庫である。
エ 保管拠点を増やすことは、サービス水準の向上と物流卜-タルコストの低減に貢献する。
オ 流通倉庫は、検品、仕分け、品揃えなどを伴い、短期間だけ保管する倉庫である。