過去問H20経営法務

第1問
株式会社の機関である、会計参与、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある監査役及びかかる限定がない監査役について、以下の①から④の点について比較した。この比較結果を記載した表のうち、誤った内容が含まれているものを下記の解答群から選べ。


①役員(会社法第329条第1項)に該当するか否か。
②株主総会への出席義務があるかないか。
③取締役会への出席義務があるかないか。
④監査役会の構成員となることが可能か否か。


〔解答群〕
 ア ①
 イ ②
 ウ ③
 エ ④



第2問
  平成20年8月1日、中小企業診断士であるあなたは、顧客から以下の相談を受けた。
  このときのあなたの回答として最も適切なものを下記の解答群から選べ。


【相談概要】
平成20年6月10日、父親が死去した。父親は事業(個人事業)を行っていたが、その事業は長男が継ぐことになっている。父の事業は必ずしもうまくいっているわけではなく、若干だが、資産よりも負債の方が多いようだ。次男である私は独自で生計を立てているので、父の負債を一切相続しないようにしたい。


〔解答群〕
 ア あなただけがお父様の負債を相続しないようにするには、家庭裁判所で相続放棄の手続をとらなければいけません。相続放棄の期間は、原則として、相続開始があったことを知ってから3か月以内ですから、急いだ方がよいと思います。


 イ お父様がお亡くなりになってから、100日以内に家庭裁判所で限定承認の手続をとれば、資産があったときだけ返済すればよいことになりますから、他の相続人の方が反対しても、お一人でその手続をとられた方がよいでしょう。


 ウ 現時点で、あなたはお父様の事業には何も関与されていませんから、お父様の負債を負うことは法律上あり得ません。どうしても、気になるのであれば、念のため、お父様の負債だけ放棄する手続を家庭裁判所でとれぱよいと思います。


 エ 相続人全員で遺産分割協議を行って、ご長男が全部相続することにすれば、法律上負債も当然にご長男が相続されたことになって、あなたがお父様の負債を負うことはありませんので、これからゆっくり遺産分割協議を行えばよいと思います。



第3問

  C株式会社(以下「C社」という。)は、取締役会及び監査役(但し、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある)を設置している会社(公開会社ではなく、かつ、大会社でもない)である。また、C社の事業年度は毎年4月1日から翌年3月31日までとされている。C社では、平成21年の定時株主総会までのスケジュールを以下のとおりに定めた。
  このとき、会社法第442条に基づき、「計算書類等の本店での備え置きを開始する」日は、いずれの日とするのがよいか。最も適切な日を下記の解答群から選べ。


C社平成21年定時総会スケジュール


3月31日(火) 基準日
4月24日(金) 取締役が計算書類及び事業報告を監査役に提出する。
5月14日(木) 取締役が計算書類及び事業報告の附属明細書を監査役に提出する。
5月20日(水) 監査役が監査報告の内容を通知する。
5月22日(金) 取締役会開催
         計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書の承認・株主総会の招集の決定
6月17日(水) 招集通知発送日
6月26日(金) 定時株主総会開催日


〔解答群〕
 ア 5月1日(金)
 イ 5月15日(金)
 ウ 6月12日(金)
 エ 6月19日(金)



第4問
  中小企業診断士であるあなたは、X株式会社の全株所有者である甲社長から相談を受けた。以下は、あなたと甲社長との会話の一部である。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。


甲社長:「私もだいぶ高齢になったので、そろそろ引退しようと思っているんですが、会社にはどうも適当な後継者がいないんですよ。それで、どうしようかと思っていたら、どうもY株式会社が引き継いでくれそうな感じなんです。
  私が持っている100パーセントの株式をY株式会社に譲渡しようかと思ったのですが、当社は、若干ですが、不動産の賃貸業もやっていますから、Y株式会社に引き継いでもらうとしても本業だけにして、不動産の賃貸業は残しておこうかと思うんです。
  賃貸業でもちょっとした収入になりますから、私の生活の足しにもなりますし、私一人でできますから。そういったこともできますかね。」


あなた:「事業譲渡、会社分割の方法で可能になると思いますよ。」


甲社長:「事業譲渡というのは、分かるのですが、会社分割というのを使うとどういう形に進めるわけですか。」


あなた:「【A】」


甲社長:「なるほど。事業譲渡と会社分割なら、どちらの方がいいわけですか。」


あなた:「どちらにも一長一短ありますし、Y株式会社の都合にもよりますから、何ともいえません。」


甲社長:「じゃあ、この2つの方法で、何か違うところがあるのですか。」


あなた:「ありますよ。例えば、【B】」



(設問1)
  会話の中の空欄Aに入る文章として最も適切なものはどれか。


ア 不動産業をX株式会社に残して、会社分割の方法によって、本業を行う子会社を作ります。それから、その子会社の株式をY株式会社に譲渡します。


イ 本業をX株式会社に残して、会社分割の方法によって、不動産業を行う子会社を作ります。その子会社設立と同時に、その子会社の株式全部をY株式会社に割り当てます。


ウ 本業をX株式会社に残して、会社分割の方法によって、不動産業を行う子会社を作ります。それから、X株式会社の株式をY株式会社に譲渡します。


エ 本業を分割して、当然にY株式会社の一部門とすることができますから、その結果、甲社長もY株式会社の株主となることができます。



(設問2)
  会話の中の空欄Bに入る文章として最も適切なものはどれか。


ア 事業譲渡の場合は、金銭が対価でなければなりませんが、会社分割の場合は、法律上、Y株式会社の株式が対価でなければなりません。Y株式会社にとっては、会社分割の方が、資金手当が必要でない点がメリットとなります。


イ 事業譲渡の場合は、譲渡した部分は、Y株式会社の一部として組み込まれますが、会社分割の場合は、法人格を保つたまま、会社ごと、Y株式会社の子会社になります。


ウ 事業譲渡の場合は、譲渡の対価は当然にY株式会社から甲社長に支払われますが、会社分割の場合は、譲渡の対価は当然にY株式会社からX株式会社に支払われることになります。


エ 事業譲渡の場合は、取引先も従業員も当然にY株式会社に引き継がれますが、会社分割の場合は、取引先や従業員から個別の同意が必要となります。



第5問
  以下は、中小企業診断士であるあなたと、顧客であるD株式会社の乙社長との会話である。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
  なお、乙社長には、長男、次男、長女の3人の子ども(いずれも嫡出子)がおり、長男がD株式会社の専務取締役となっている。乙社長の妻は2年前他界しており、次男及び長女は、ともに他県で会社員として生計を立てている。


乙社長:「私ももう68歳になったので、そろそろ長男に会社を任せようと思っているんですよ。ただ、当社の建物が建っている土地は、私の個人名義の土地ですから、私が死んだ後に、子どもたちで相続争いが起こっても困ると思いましてね。それで、公正証書で遺言書を作ってもらえばいいという話を本で読んだものですから、先月、公証人役場に行って、長男にすべての遺産を相続させるという遺言書を作成してもらってきたんですわ。これでもう安心ですよ。」


あなた:「社長、遺言書があるから、安心とは限りませんよ。民法には、【A】という制度がありますから、今回の場合、ご次男とご長女は、それぞれが遺産の【B】分の1ずつ、その権利を主張することができます。そうすると、遺産の内容によっては、ご長男が、その分を金銭で準備せざるを得なくなる事態もありえますので、注意された方がよろしいと思いますよ。」


(設問1)
  会話の中の空欄Aに入る最も適切なものはどれか。


ア 遺留分   イ 過剰遺言の取消   ウ 寄与分   工 特別受益


(設問2)
  会話の中の空欄Bに入る最も適切なものはどれか。


ア  3        イ  4         ウ 5        工 6



第6問
  次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。


特許権も【A】であるから、特許発明を自由に使用し、収益、処分することができる。これを特許権の効力の1つとしての【B】という。そして、このことを特許法は第68条で規定している。特許権のもう1つの効力は【C】である。この【C】のなかには差止請求権、損害賠償請求権、侵害物廃棄請求権、不当利得返還請求権、【D】等がある。


(設問1)
  文中の空欄A~Dに入るものとして、最も不適切なものはどれか。


ア A:財産権
イ B:専用権
ウ C:排他権
エ D:特許権の取消請求権


(設問2)
  文中の下線部の説明として、最も不適切なものはどれか。


ア 差止請求権とは、特許権が侵害され、又は侵害されるおそれのある場合にその停止又は予防を請求する権利である。


イ 侵害物廃棄請求権とは、権利侵害物の廃棄や侵害の行為に供した設備の除却を請求する権利である。


ウ 損害賠償請求権とは、権利侵害によって生じた損害の賠償を請求する権利であり、この権利は損害発生の事実を知った日から5年で時効により消滅する。


エ 不当利得返還請求権とは、法律上の原因なくして他人の特許権を利用して利益を受けた者に対し、その利益の返還を求めることのできる権利であり、故意過失を要件とはしない。



第7問
  中小企業診断士のあなたは、いくつかの顧問先より、平成19年4月1日からその登録が認められるようになった小売等役務商標について、質問を受けた。
  各質問に対する回答として、最も不適切なものはどれか。


ア 質問「うちがこの『○○屋』という屋号で商標登録を受けた場合、この屋号を独占排他的に使用できるのでしょうか。」
  回答「もし同業者が、この『○○屋』という屋号を平成19年3月31日以前から使用していた場合でも、周知でない限り、貴店の屋号と区別できるように何らかの記号を付け加えるように求めることはできます。」


イ 質問「うちの店と同じ屋号で同業者が商標権を取得してしまった場合、うちの屋号を使用することが制限されるのでしょうか。」
  回答「貴店は、この屋号を平成19年3月31日以前から使用しているのですから、たとえ同業者に同じ屋号で商標権を取得されてしまっても、その使用につき一切制限を受けないはずですよ。」


ウ 質問「うちの店は私で3代目であり、古くから続いている雑貨屋ですが、うちの店の屋号である『鈴木商店』という名前でも商標登録が受けられるのでしょうか。」
  回答「この『鈴木商店』という屋号はありふれており、日本全国で多くの小売業者が使用している可能性があるので、そのままでは商標登録を受けるのは難しいでしょう。」


エ 質問「うちはスーパーなのですが、うちで扱っている商品についてすでにいくつか商品商標を取得しています。さらに小売等役務商標を取得するメリットがあるのでしょうか。」
  回答「貴店のように多種類の商品を取り扱うお店にあっては、1つの小売等役務商標で商標権を取得すれば貴店のすべての取扱商品をカバーできる場合があるので、経済的であり、メリットがありますよ。」



第8問

  特許法によれば、発明はその特許出願前に公知にしてしまったものについては、新規性を喪失してしまったものとして取り扱い、特許を受けることができない(特許法第29条第1項各号)。しかしながら、発明者にとって酷な場合もあることから、一定の要件を満たす場合には、例外として新規性を喪失していないものとして取り扱う規定を置いている(特許法第30条)。この新規性の喪失の例外規定の適用を受けられない発明はどれか。 

ア 特許出願前に市場での反応を見るために発明品を試験的に販売して公知にしてしまった発明。


イ 特許出願前に特許庁長官が指定した学術団体が開催する研究集会において、文書で発表して公知にしてしまった発明。


ウ 特許出願前に発明品を自社のカタログやパンフレットヘ掲載して不特定多数のものに頒布して公知にしてしまった発明。


エ 特許出願前に自らの意思に反してテレビ放送を通じて公知にされてしまった発明。



第9問
  中小企業診断士のあなたは、地方都市の野菜の卸会社であるE株式会社を訪問した際に、そこの社長との間で次のような会話を交わした。この会話の中の空欄A~Dに入るものとして、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。


社 長:「うちの会社で取り扱っている、この地域の地名○○に野菜の普通名称▽▽を組み合わせてこれを商品名「○○▽▽」とする野菜▽▽は、この地域の特産品ですが、2~3年前から隣接他県でも知られるところとなり、引き合いも多く、取扱高も増えています。ところが、人気が出てきたせいか、最近この地域以外で生産された野菜▽▽にまで○○の地名を付けて「○○▽▽」の商品名で出荷されてくるようになってきています。この地域の活性化を図る旗振り役を務めている私としては、これ以上他地域で生産された野菜▽▽に、この地域の地名○○を組み合わせた「○○▽▽」の商標が使用されないようにするために、何とかしたいと考えていますが、何か方法はありませんか。ほら、何とかという地域ブランドの登録制度があると聞いていますが。」


あなた:「それは【A】のことではないかと思います。確か平成18年の4月から登録が認められるようになっています。」


社 長:「そうそう、それそれ、それってうちの会社でも出願することができるのですかね。会社でだめならば私個人でも構いませんが・・・。」


あなた:「いや、この【A】も【B】ですから、確か株式会社ではだめだと思いますよ。社長個人でもだめだと思います。」


社 長:「それでは一体誰が登録出願をすればよいのですか。」


あなた:「この場合は、この地域の【C】が最適と考えます。」


社 長:「あ、そう、なるほどね。それではこの地域の【C】には私の幼なじみがいるので、早速話をしてみましよう。その他に、この【A】を取得するのに必要なことはありませんか。」
あなた:「そうですね、この野菜▽▽の商品名「○○▽▽」は、隣接他県にも知られているようですが、ただ出願しただけでは足らず、必ず【D】を証明する資料が必要のようです。詳しくは私の友人である弁理士を紹介いたしますので、相談してみてください。」


〔解答群〕
 ア A:地域団体商標
 イ B:団体商標
 ウ C:農業協同組合
 エ D:著名性



第10問
  次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。


画面デザインとは、家電や各種情報機器等の表示部に表示される画像のデザインのことをいうが、意匠法では、【A】と密接な関係にある画面のデザインについて機器に表された状態で物品を構成する要素として保護の対象としている。具体的には、携帯電話機、デジタルカメラ、カーナビ、炊飯器、掃除機、複写機等において、【B】に用いられる画像や、その画像がなければ機器として成り立たないような画像が保護の対象となる。
 しかし、意匠法は物品の【C】、模様若しくは色彩又はこれらの【D】を保護の対象としており、物品ごとに意匠が成立し、物品を離れて意匠は存在しないものである。



(設問1)
  文中の空欄A~Dに入るものとして、最も不適切なものはどれか。


ア A:機器の機能  イ B:操作  ウ C:構造   エ D:結合


(設問2)
  画面デザインに関する記述として、最も不適切なものはどれか。


ア 画面デザインの意匠でも部分意匠の登録出願をすることができる。


イ グラフィカルユーザインタフェース(GUI)のソフトウェアによって表示される画像は、特定の物品と結び付きがないので、画面デザインとして保護の対象とはならない。


ウ ゲームを行っている状態の画面は、ゲーム機そのものの制御や設定を行う操作のための画面ではないので、画面デザインとして保護の対象とはならない。


エ ビデオディスクプレーヤーの録画のための画面デザインを、自社のカーナビの目的地設定の画面デザインとして使用する場合、どちらか一方の物品で意匠の登録をしておけば、両物品共保護される。



第11問
  A株式会社(以下「A社」という。)は、B株式会社(以下「B社」という。)から、携帯電話上に表示されるB社ホームページのサイト運営に使用する目的で、ソフトウェアに関する開発業務の委託を受け、新規にプログラミングをしたソフトウェアXを2000年12月15日にB社に納入し、その代金を受領した。
  しかし、B社がA社に無断で、このXをB社ホームページのサイトから切り離して、パソコン上でも利用できるように改変したソフトウェアYを2007年12月から製造し、これをコピーして一般消費者に販売しているという事実が、最近、判明した。
  A社・B社いずれにも、既に開発業務委託を受けた当時の詳細を知るものはおらず、開発業務委託契約についての書面も、2000年6月1日付けのB社からの簡単な発注書以外には残つていない。当該発注書には「使途:B社ホームページのサイト運営」との記載がある。
  この場合、A社が取りうる手段について最も適切なものはどれか。


ア A社がXについて有する著作権のひとつである翻案権を根拠に、B社に対してYの販売差し止めの請求をする。


イ A社がYについて有する著作権のひとつである複製権を根拠に、B社に対して損害賠償の請求をする。


ウ B社の秘密情報に関する秘密保持義務違反という債務不履行を根拠に、B社に対して損害賠償の請求をする。


エ ソフトウェアの開発委託については、著作権法の規定により、その著作権が発注者(この場合はB社)に帰属することとされているので、B社に対してなんら請求することはできない。



第12問
  次の文章は、機械のパーツを製造することを業とし、資本金を1、000万円とする株式会社甲の代表者社長と中小企業診断士であるあなたの会話である。この会話の空欄Aには下請代金支払遅延等防止法(下請法)に違反する行為が入るが、この空欄にあてはまらないものを下記の解答群から選べ。


社 長:「ちょつと、最近嫌な感じがするんだけど。」
あなた:「どうされたのですか?」
社 長:「うちの売り上げの半分を占める乙社なんだけどね、最近、乙社のライバル社との競争による価格の下げプレッシャーが強いんだ。それとね、どうも乙社の状態も良くないらしくてね、【A】ようになったんだよ。」
あなた:「それはいけませんねえ。たしか乙社は、資本金が3億円ある工業用機械メーカーですよね。」
社 長:「そうそう。」
あなた:「いわゆる下請法に基づいて、ちゃんと貴社の権利を主張するべきですよ。」


〔解答群〕
 ア 支払期限を、従来は納品から30日後現金払いだったものを納品から45日後に定める
 イ 正当な理由がないのに発注した物品の納期を延期する
 ウ 大量発注の割引価格で見積もりさせ、その単価で少量を発注する
 エ 発注後直ちに発注内容を記載した書面の交付をしない



第13問

  日本企業と外国企業との間で締結された英文契約書における次の条項について、
 最も適切なものを下記の解答群から選べ。


Article OO
   This AGREEMENT shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan and the Tokyo District Court of Japan shall have exclusive jurisdiction over any dispute between the parties hereto.


〔解答群〕
 ア 本条項は、外国企業と第三者の間で日本国内において紛争が起きた場合の対応の仕方について規定されている。
 イ 本条項は、この契約において準拠すべき法についてのみ規定されたものであり、日本法を基準としている。
 ウ 本条項は、当事者間で紛争となった場合の日本法に基づく仲裁に関する手続きについて触れられている。
 エ 本条項は、当事者間に紛争が発生し、訴訟を提起する場合、東京地方裁判所を専属管轄裁判所としている。



第14問
  インターネットや携帯電話の掲示板などで誹誇中傷を受けたり、個人情報を掲載されて、個人の権利が侵害されるなどの事案が発生したときの責任や権利について定められた法令に「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」いわゆるプロバイダ責任制限法がある。その実効性を期待されて成立したが、実際に運用が始まってみるといろいろと問題も生じてきた。
  この法律の内容について、最も不適切なものはどれか。


ア 権利者は書き込みを行った発信者情報の開示をプロバイダに請求できるが、開示請求した権利者の「権利が侵害されたことが明らかであるとき」に限られ、明らかか、どうかについての一次的な判断はプロバイダに委ねられている。


イ 発信者の「表現の自由」を著しく侵害したり、誤って発信者情報を開示してしまう可能性などがあり、プロバイダには慎重な判断が求められるため、プロバイダに故意もしくは重大な過失がなければ、開示請求に応じなくても賠償責任を負わ
 ないことを定めている。


ウ プロバイダには自己が管理するサイトについて常時監視義務が規定され、権利者から通知があった情報については、自己の管理するサイト内において違法な侵害行為があるか否かについて、常に監視していなければならないとされている。


エ プロバイダは、権利を侵害されたとする被害者から書き込み内容の削除要請があったとき、要請があったことを書き込みした人物に対して伝えたにもかかわらず7日以内に返事がない場合には、削除などの「送信防止措置」をとることができる。



第15問
  株式会社A(以下「A社」という。)は、株式会社B(以トf l4 社)という。)に対して継続して商品を販売しており、B社に対して売掛金債権を有している。最近、B社からの支払いが滞りがちなので、B社の代表者Cとの交渉により、その支払いを確実にしたいと考えている。A社の対応として、最も不適切なものはどれか。


ア B社がA社に対する売掛金債務の履行をしない場合の強制執行について認諾した旨の記載がある公正証書を作成してもらう。


イ B社が第三者に対して有する売掛金債権について、A社とB社との間で集合債権譲渡担保設定契約を締結し、これについて債権譲渡登記をする。


ウ C個人に無期限かつ金額の上限なくA社のB社に対するすべての売掛金債権について口頭で保証してもらう。


エ 既に存在するA社のB社に対するすべての売掛金債権について、新たに書面でC個人の連帯保証をしてもらう。



第16問
  次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。


個人事業を営んでいるA氏は、事業の信用を高めるため株式会社の設立を準備中である。かねてから親交のある中小企業診断士であるあなたに、会社法が平成18年5月に施行されたことにより会社の設立方法が変わったと聞いたがどのようになったのか質問があった。また、資本金はいくらにすればよいか、設立後に注意しなければならないことについてアドバイスを求められた。


(設問1)
  文中の下線部の説明として、最も不適切なものはどれか。


ア 公告方法は定款の絶対的記載事項ではなくなった。ただし、定款に記載する場合は、官報に掲載する方法か日刊新聞紙に掲載する方法のいずれかを定めなければならない。


イ 従来定められていた最低資本金制度が廃止された。ただし、設立に際して出資される財産の価額または最低額を定款に記載しなければならないため、その金額を下回ることはできない。


ウ 同一市町村内に同一の営業のために同一又は類似の商号を登記することができないという類似商号規制が廃止された。ただし、同一の商号を同一の住所に登記することはできない。


エ 発起設立において、払込みの取扱いをした銀行等の払込金保管証明制度が廃止された。ただし、募集設立においては、この制度は規定されている。



(設問2)

 資本金は、大きいほど資金面でみれば有利にみえる。しかし、資本金額によっては各種の法律上の適用が異なることも留意点になる。次の中で、最も不適切なものはどれか。


ア 会社法では、最終事業年度に係る貸借対照表に計上した資本金が5億円以上の会社は大会社となり、会計監査人を置かなければならない。


イ 株式会社の設立登記時に納める登録免許税は、資本金の額に1、000分の7を乗じた金額となる。ただし、その金額が15万円に満たないときは、15万円となる。


ウ 消費税法上、資本金1千万円以下の会社については設立年度と翌事業年度の消費税の納税義務が免除される。


エ 法人事業税では、各事業年度終了の日において資本金の額が1億円を超える法人は外形標準課税が適用され、所得のほか、付加価値額と資本金等の額に応じて課税される。



(設問3)

会社の設立後には、各種機関への届出が必要になる。次の中で、最も不適切なものはどれか。


ア 給与等を支払う法人を設立した日から1か月以内に、給与支払事務所等の開設届出書を税務署に提出しなければならない。


イ 従業員を使用する法人を設立した日から5日以内に労働保険関係成立届、雇用保険適用事業所設置届を労働基準監督署に提出しなければならない。


ウ 常時従業員を使用する法人を設立した日から5日以内に健康保険・厚生年金保険新規適用届を社会保険事務所に提出しなければならない。


エ 法人を設立した場合には、設立の日から2か月以内に法人設立届出書を税務署に提出しなければならない。



第17問
  次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。


金融商品取引法では、企業内容の開示が適切に行われることを確保するため、平成20年4月1日以降開始する事業年度から、内部統制報告制度および【A】書制度を導入した。
 内部統制報告書とは、会社の属する企業集団及び会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要な体制について評価した報告書である。
 また、【A】書とは、有価証券報告書や半期報告書、四半期報告書の記載内容が、金融商品取引法令に基づき適正であることを【A】した旨を記した書面であり、当該有価証券報告書等と併せて提出することを義務づけることによって、その記載内容の適正性をより高めることを目的として導入された。


(設問1)
  文中の空欄Aに入る用語として最も適切なものはどれか。


ア 確認    イ 鑑定    ウ 宣誓    エ 調査



(設問2)
  文中の内部統制報告制度の説明として、最も不適切なものはどれか。


ア 内部統制報告書で評価結果を表明する場合には、内部統制が有効であるか、または重要な欠陥があり有効でないかを記載しなければならない。


イ 内部統制報告書には、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。


ウ 内部統制報告書は、有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書を提出するごとに併せて提出しなければならない。


エ 有価証券報告書を提出する会社であっても、有価証券を上場または店頭登録していない会社は内部統制報告書の提出は義務付けられていない。



第18問                                
  会社がその株式を取引所に上場すると、投資者を保護するため金融商品取引法に定められた種々の開示の義務が発生する。
  企業内容の開示の説明として、最も不適切なものはどれか。


ア 会社は、公益又は投資者保護のため開示が必要な事象が発生した場合には、その内容を記載した臨時報告書を、遅滞なく提出しなければならない。


イ 会社は、事業年度ごとに有価証券報告書を当該事業年度経過後3か月以内に提出しなければならない。


ウ 会社は、事業年度の期間を3か月ごとに区分した期間ごとに四半期報告書をその各期間経過後2か月以内に提出しなければならない。


エ 有価証券報告書、四半期報告書、臨時報告書の開示手続きは、金融商品取引法第27条の30の2に定義されているEDINET(開示用電子情報処理組織)を使用することが義務付けられている。


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