経営法務は、その名前の通り、経営に重要な法律に関する科目です。
ちなみに、試験案内によると、科目設置の目的は次のようになっています。
「創業者、中小企業経営者に助言を行う際に、企業経営に関係する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知識を身につける必要がある。また、さらに専門的な内容に関しては、経営支援において必要に応じて弁護士等の有資格者を活用することが想定されることから、有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有していることが求められる。このため、企業の経営に関する法務について、以下の内容を中心に基本的な知識を判定する。
~ 以下省略 ~」
これを読むと分かるように、この科目で問われるのは、
企業を経営・助言する上で最低限知っている必要がある、基本的な法律知識
です。法律には様々なものがあり、内容は専門的で分量が多いものです。よって、会社の合併や裁判など専門的な内容については、弁護士を始めとする法律のスペシャリストの活用が必要です。中小企業診断士は、こういった法律のスペシャリストと経営者の間の橋渡しができれば良いのです。
では、具体的な本科目の特徴を見ていきましょう。
まず、本科目は、試験で出やすい分野が決まっています。それは、知的財産権と、会社法です。この2つの分野で7~8割を占め、残りが、民法(契約など)やその他の法律となっています。
出題形式は、単純に知識が問われる形式と、短い事例(ショートケース)の形式の両方のタイプがあります。しかし、基本的な知識を知っていれば、ショートケースも対応できることが多いので、基礎知識を知っていることがポイントとなります。
また、本科目は2次試験には、ほとんど関係しないため、1次試験向けに学習すれば良い科目です。まず、基本戦略として、知的財産権と会社法を最優先することが重要です。
試験で出題される可能性のある法律には、この2つの法律以外にもたくさんありますが、それぞれが非常に深い内容です。こういった試験に出題される可能性が低い法律の理解に力を注ぐよりも、出題の中で大半の割合を占める知的財産権と会社法に時間をかけることがポイントです。
スタディングでは、経営法務の講座には7つありますが、最初の3講座が主に知的財産権、次の3講座が主に会社法、最後の講座「6-7契約とその他の法律知識」が、それ以外の分野になっています。そのため、この順番に学習すれば、知的財産権と会社法の2分野を優先して学習できます。また、特に、学習にかけられる時間の少ない方は、最初に2分野を勉強して、後は時間のある範囲で残り分野の基礎的な部分だけ学習すると良いでしょう。
次に、「試験の出題のイメージをつかんでから本格的に勉強する」のが有効です。法律のボリュームは膨大ですが、試験で出題されやすい箇所・形式はある程度きまっています。そのため、早めに過去問に目を通し、どのような箇所がどのように出題されるのかをイメージしておくことが重要です。出題のイメージを持ってから、本格的に勉強すると効率的に試験で得点できる実力をつけられます。
特に、近年の試験では対話形式など、慣れが必要な問題もありますので、過去問は早い段階で見ておきましょう。
また、当科目は基本的に覚えていれば正解できる科目ですので、得意科目にできれば得点源(70点以上取れる科目)として計算することができます。(財務会計などは、覚えていても計算ミスで得点できない場合があります)ぜひ、試験で頻出されるポイントを理解し、その部分をしっかり覚えることで得意科目にするようにしてください。
また、当科目は、暗記中心のため、試験直前に得点を伸ばすことができる科目です。逆に、暗記で覚えたものは忘れてしまうリスクもあります。よって、試験直前に学習・見直しをしっかりすることが重要です。これを行えば、本科目は得点源にすることができます。
分野別には、知的財産権と会社法が重要です。
知的財産権を効率よく学習するコツは、まず特許権の特徴を一通り学習することです。特許権の要件、取得手続き、効力、各種制度などを一通り覚えてしまうと、他の権利も特許権と比較して覚えやすくなります。
また、各種の知的財産権を学習したら、それぞれの特徴を表の形で整理して覚えると良いでしょう。通勤講座には、知的財産権の特徴を表にしたものがありますので、これをしっかり覚えてください。あとは、過去問を解きながら、細かい知識を追加していきましょう。
会社法の分野では、株式会社の機関や、株式会社の設立、株式など基本的な内容をしっかり覚えましょう。特に、株式会社の機関については、それぞれの機関の設置義務、決議事項、選任・解任、任期などを整理して覚えておきましょう。
本試験のショートケースの問題では、中小企業診断士であるあなたと、顧客である経営者等との会話が示され、その会話に関連した問題が出題されます。これは、必要な知識があり、出題形式に慣れていれば対応できます。過去問を解きながら、出題形式への慣れと知識の確認・追加をしていきましょう。
上記の2分野以外は優先度は下がりますが、できれば基礎を押さえたい所として、民法の契約の基礎知識(契約の種類や、保証契約)があります。
また、証券取引所や英文契約書などから出題されることがありますが、これらの分野は元々知識があったり業務で扱っている方以外は、時間をかける必要はないでしょう。
上記のような対策をすれば、本科目は短期間で合格点を取ることができます。ぜひがんばってください。