財務会計平成30年 第5問 - ソフトウェア会計

ピックアップ過去問解説

問題

 ソフトウェアの会計処理および開示に関する記述として、最も適切なものはどれか。


[解答群]

ア 自社利用目的のソフトウェアのうち、将来の収益獲得または費用削減が確実であるものについては、機械装置等に組み込まれたものを除き、その取得に要した費用を無形固定資産として計上する。

イ 市場販売を目的とするソフトウェアの製品マスターが完成するまでに要した制作費は、最初に製品化されたときに無形固定資産として計上する。

ウ 受注制作のソフトウェアは、その制作に要した費用を無形固定資産として計上する。

エ 無形固定資産として計上したソフトウェアは規則的な償却を行わず、価値の低下時に減損処理する。



解答・解説

解答:ア

 貸借対照表から、ソフトウェアに関する問題です。

 ソフトウェアの会計処理は、将来の収益との対応関係から制作目的により異なります。以下の分類をおさえておくことが重要になります。



 自社利用のソフトウェアは、そのソフトウェアを用いて外部にサービス提供するものや、社内の生産活動や管理活動等に利用するものが該当します。その利用により、将来の収益獲得や費用削減が確実であるか認められるものは、無形固定資産として計上します。それ以外は、発生時に全額費用処理となります。よって、選択肢アは適切な記述で正解になります。

 市場販売目的のソフトウェアは研究開発活動により製品マスターが作られるまでは知識を具現化するためにかかった費用として研究開発費を計上します。その後製品マスターは市場販売するまでの活動により、会計処理が異なります。

研究開発後の活動

会計処理

機能の改良・強化

無形固定資産として資産計上

著しい機能強化

研究開発費として費用処理

機能維持

修繕費として費用処理


 市場販売における生産活動に移行した後は、ソフトウェアの制作費は棚卸資産として資産計上されます。無形固定資産として資産計上する会計処理を行うのは、製品マスターが機能の改良・強化された場合のみです。よって、製品マスターが完成するまでに要した制作費は、最初に製品化されたときに無形固定資産として計上するとの選択肢イの記述は、不適切です。

 受注制作のソフトウェアはその進捗部分についての成果の確実性が認められる場合は工事進行基準、認められない場合は工事完成基準が適用されます。従って、成果が認められた場合でも、売上原価として扱われますので、制作に要した費用を無形固定資産として計上するという選択肢ウの記述は不適切です。

 無形固定資産として計上されたソフトウェアは一般的にはその利用期間(原則5年以内)にわたって月割りで残存価額0円まで償却されます。従って、規則的な償却を行わず、価値の低下時に減損処理するという選択肢エの記述は不適切です。


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