問題
市場の効率性に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア ウィーク型仮説とは、現在の株価は、過去の株価、取引高などを織り込んでいる結果、過去のデータから、将来の株価の変動を予測することは不可能であるとする仮説である。
イ 効率的市場仮説とは、情報が即座に価格に織り込まれることを通じて、市場では効率的な価格形成が達成されているとする仮説である。
ウ 資本市場における取引上の効率性とは、手数料、税金、制度、法律などの面で取引を円滑に実施するための取引システム全般が機能しているかどうかを意味する。
エ セミストロング型仮説とは、市場の効率性は限定的であるので、ファンダメンタル分析を使って超過収益獲得の機会が存在することを示す仮説である。
解答・解説
解答:エ
効率的市場仮説の問題です。基本的な知識ですが、知らなければ解答を導き出すことが難しい問題です。今後の出題に備えて理解しましょう。
株価に係る情報の反映度合いが、過去の価格情報を反映しているとするウィーク型仮説から、インサイダー情報まで含むストロング型仮説まであることをおさえておきましょう。
ウィーク型市場仮説では、現在の株価には過去の株価データの全てが迅速かつ正確に反映されているため、過去の株価や出来高といった取引実績に関する変動推移などの情報を分析しても将来の株価を予想することはできないとする仮説のことです。よって、選択肢アの記述は適切です。
不特定多数の投資家で構成される株式市場においては、株価には情報が迅速かつ正確に反映されていて効率的な価格形成が達成されているとするのが効率的市場仮説です。よって、情報が即座に価格に織り込まれていることを通じて、市場では効率的な価格形成が達成されているとする選択肢イの記述は適切です。
取引を円滑に実施するための取引システム全般が機能することは、市場が効率的である前提条件となりますので、選択肢ウの記述は適切です。
セミストロング型仮説では、現在の株価には過去の株価データの全てが反映されているだけでなく、企業が公開している情報の全てが迅速かつ正確に反映されているため、ディスクロージャー制度によって企業が公開している財務諸表などの情報を分析しても将来の株価を予想することはできないとする仮説のことをいいます。つまり、ファンダメンタル分析の有効性が否定されています。
よって、ファンダメンタル分析を使って超過収益獲得の機会が存在することを示す仮説であるとするエの記述は不適切で正解の選択肢となります。
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