オプションに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 他の条件を一定とすれば、権利行使価格が高いほどコール・オプションの価値は高くなる。
イ 他の条件を一定とすれば、行使までの期間が短いほどコール・オプションの価値は高くなる。
ウ プット・オプションを購入した場合、権利行使価格を大きく超えて原資産価格が上昇しても、損失の額はプレミアムに限定される。
エ プット・オプションを売却した場合、権利行使価格を大きく下回って原資産価格が下落しても、損失の額はプレミアムに限定される。
解答:ウ
本問では、オプションに関して問われています。オプション取引についての基本的なグラフの読解であり確実に正解したい問題です。簡単にオプション取引について復習しておきましょう。
オプション取引では、売る権利のことを「プット・オプション」、買う権利のことを「コール・オプション」と呼びます。取引の種類としては、「プット・オプションを買う」、「プット・オプションを売る」、「コール・オプションを買う」「コール・オプションを売る」という4種類になります。これら4種類をまとめると次のようなダイアモンド型になることを理解できれば、簡単に覚えられます。
また、オプションの価格構成は本質的価値と時間的価値から成ります。
オプション料 = 本質的価値 + 時間的価値
本質的価値とは、その時点でオプションを権利行使した場合に生じる価値(原資産価格と権利行使価格との差額)のことで、内在的価値とも呼ばれます。本質的価値は、ゼロになることはあっても、マイナスになることはありません。
時間的価値とは、原資産の現時点から満期日までの間の価格変動により、オプションの本質的価値が上昇することへの期待値のことです。そのため、時間的価値についても、ゼロになることはあっても、マイナスになることはありません。
プレミアム(オプション価格)に、時間の経過や価格変動の大きさなどといった時間的価値が影響してくるのが、オプションの最大の特徴であるといえます。
上記を踏まえて、選択肢をみていきます。
選択肢アですが、オプションの価値は、「本質的価値」と「時間的価値」の合計から構成されています。「本質的価値」とは、その時点でオプションを権利行使した場合に生じる価値(原資産価格と権利行使価格との差額)のことです。そのため、他の条件を一定とすれば、権利行使価格が高いほどではなく、低いほどコール・オプションの価値は高くなります。よって、不適切です。
選択肢イですが、「本質的価値」と「時間的価値」の合計から構成されています。「時間的価値」とは、原資産の現時点から満期日までの間の価格変動により、オプションの本質的価値が上昇することへの期待値のことです。そのため、他の条件を一定とすれば、行使までに期間が短いほどではなく、長いほど満期日までの間の価格変動による、オプションの本質的価値が上昇することの期待値が大きくなり、コール・オプションの価値が高くなります。よって、不適切です。
選択肢ウですが、図のプット・オプションの買い(購入)のように、プット・オプションを購入した場合、権利行使価格を大きく超えて原資産価格が上昇しても、損失の額はプレミアムに限定されます。よって、適切です。
選択肢エですが、図のプット・オプションの売り(売却)のように、プット・オプションを売却した場合、権利行使価格を大きく下回って原資産価格が下落すると、損失の額はプレミアムに限定されずに増加していきます。よって、不適切です。
よって、正解はウになります。
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