投資評価基準に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 会計的投資利益率法に使われる会計利益には減価償却費を計算に入れない。
イ 回収期間法における回収期間とは、プロジェクトの経済命数のことである。
ウ 正味現在価値はパーセントで表示される。
エ 正味現在価値法と内部収益率法は共にDCF法であるが、同一の結論を導くとは限らない。
解答:エ
本問では、投資評価基準の4つの方法である、会計的投資利益率法、正味現在価値法、内部収益率法の特徴に関して問われています。
それぞれの用語の意味は以下の通りです。
会計的投資利益率法 | 正味現在価値法(NPV) | 内部収益率法(IRR) | 期間回収法 |
「会計的投資利益率法=平均利益÷投資額」で計算できるため、計算が容易でなじみやすい。一方で、貨幣の時間的価値を考慮していない、目標となる会計的利益の設定に客観性がない、キャッシュインフローを考慮していないなどの問題点もある。 | 正味現在価値の大きさは、投資から得られるリターンの大きさを表しています。正味現在価値がプラスであれば、投資を実行すべきという判断になる。 | 正味現在価値がちょうど0になる割引率です。内部収益率と、資本の調達コストである資本コストを比較し、内部収益率の方が大きければ投資を行うという判断になる。 | 投資額に対してそれを回収する期間のことです。回収期間が目標よりも短ければ投資を行うという判断になる。 |
では、選択肢についてみていきます。
選択肢アですが、会計的利益率法は、「会計的投資利益率法=平均利益÷投資額」で計算できるため、計算が容易でなじみやすいという特徴があります。一方で、貨幣の時間的価値を考慮していない、目標となる会計的利益の設定に客観性がない、キャッシュインフローを考慮していないなどの問題点もあります。また、この利益には、減価償却費を入れて計算します。そのため不適切です。
選択肢イですが、回収期間とは、投資額に対してそれを回収する期間のことであり、プロジェクトの経済命数ではありません。そのため、不適切です。
選択肢ウですが、正味現在価値は、パーセントではなく、金額で表示されます。なお、内部収益法はパーセントで表示されます。そのため不適切です。
選択肢エですが、正味現在価値法と内部収益法はともにDCF法であるまでは適切ですが、プロジェクトのキャッシュ・フローの動きによって、その優劣の結果が異なる場合があります。そのため、適切です。
したがって、選択肢エが正解です。
このように、投資評価基準の4つの方法である、会計的投資金利利益率法、正味現在価値法、内部収益率法の特徴については、頻出テーマであるため、それぞれの方法の特徴や相違点を理解する必要があります。
中小企業診断士 1次2次合格コース
|
すべてのコースを見る |