小売店舗における在庫管理に関する記述として、最も適切なものはどれか。
〔解答群〕
ア 安全在庫を算出するときに用いる安全係数は、あらかじめ決められた一定の値であり、意図的に決める値ではない。
イ 欠品を少なくする方法は、フェイス数の増加や安全在庫の引き下げである。
ウ サイクル在庫は、発注1回当たりの発注量を多くし発注頻度を引き下げると増加する。
エ 定量発注方式を採用しているときに過剰在庫を抑制する方法は、納品リードタイムをできるだけ長くすることである。
オ 適正な在庫量を表す理論在庫は、平均在庫と安全在庫の合計で算出する。
解答:ウ
本問は、小売店舗における在庫管理の問題です。製造業の在庫管理の知識でほぼ対応可能な内容です。
選択肢アですが、安全在庫を算出するときに用いる安全係数は、次の納入までの不確実性によって調整されるべき係数です。仮に統計的な手法を用いたとしても、不確実性の予測に応じて裁量的に決められます。従って、あらかじめ決められた一定の値で、意図的に決められる値ではない、という記述は不適切です。
選択肢イですが、フェイス数の増加は、売上増加につながり、在庫減少要因です。また安全在庫の引き下げも在庫減少要因となりますので、欠品のリスクが高くなります。従って、欠品を少なくする方法ではないため、記述は不適切です。
小売業では、在庫は、次の納入までの平均的需要に対応する在庫であるサイクル在庫と、次の納入までに生じる不確実性に対応するための安全在庫に分けられます。サイクル在庫は発注1回当たりの発注量を多くし発注頻度を引き下げると、増加します。従って、記述ウの記述は適切で正解になります。
選択肢エは定量発注方式では、安全在庫は以下の式で計算されます。
安全在庫 = 安全在庫係数 X 需要量の標準偏差 X √調達リードタイム
調達リードタイムを納品リードタイムと読み替えると、期間が長くなるとその平方(√)分、安全在庫が増加することが分かります。従って、過剰在庫は抑制されないため、記述は不適切です。
選択肢オでは、適正な在庫量を表す理論在庫についてです。理論在庫は、売上報告書、仕入れ伝票、営業報告書等を元に記録された入出庫情報による帳簿上の理論的な在庫であり帳簿在庫とも呼ばれます。選択肢オの平均在庫は、実際の在庫の平均と思われますので不適切な記述となります。さらに、平均在庫には安全在庫が含まれていますので、2重の在庫となる点からも不適切な記述です。上記のように在庫=サイクル在庫+安全在庫であることも併せて確認しましょう。
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