商品の販売データの分析に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア いったん「売れ筋」商品と位置づけられた商品であっても、条件が変われば「死に筋」商品になる可能性がある。
イ いわゆる「ロングテール現象」とは、インターネット通信販売などにおいて、「死に筋」商品の売上をすべて合計すると大きな売上が得られるという現象を指す。
ウ 小売店舗の売場面積は限られているために、交差比率の低い「死に筋」商品を排除することが重要である。
エ 販売数量を期待できないが、他の商品の販売促進効果が期待できる商品群を「見せ筋」ということがある。
解答:ウ
販売データの分析に関する出題です。
販売データの分析についてやや応用的な知識が必要な問題です。
それでは早速選択肢を見ていきましょう。
選択肢アについて、売れ筋・死に筋分析は、売上や利益が大きい売れ筋商品と、売上や利益が小さい死に筋商品を特定するものです。商品別の売上や粗利益、回転率などを基準として、商品をランク付けして、売れ筋・死に筋の特定をします。そのため、いったん売れ筋商品と位置付けられた商品でも、ビジネス環境や売れ行きなどが変わると、その位置付けは変わります。よって、選択肢アは適切です。
選択肢イについて、インターネット通信販売では、店舗や陳列に物理的な制約がないため、大量の品種を低コストで扱うことができます。そうすると、個別には少量しか売れていない商品でも、品種が大量にあるため、積み上げれば大きな売上になります。これをロングテール現象と言います。これによって、死に筋商品でも数多く集めることで、少数の売れ筋商品に依存することなく収益を上げるビジネスモデルの構築が可能となりました。よって、選択肢イは適切です。
選択肢ウについて、交差比率とは、商品がどれくらい効率よく利益を生み出しているかを測る指標です。交差比率は次の式で表されます
交差比率=粗利益率×商品回転率
交差比率が高い商品ほど、効率よく利益を生み出しており、利益貢献度が高いということです。そのため、一般的には、小売店舗では交差比率の高い売れ筋商品を並べて、交差比率の低い死に筋商品を排除することを検討します。ただし、交差比率だけで判断して直ちに商品を排除することには疑問が生じます。その商品だけで見ると死に筋商品ではあるが、他の商品と一緒に購入されている可能性があります。また、選択肢エにある「見せ筋」商品になっている可能性もあります。よって選択肢ウは不適切であり、これが正解です。
選択肢エについて、「見せ筋」とは、その商品自体を販売することが目的ではなく、客寄せや他の商品の販売を促進することが目的である商品を指します。例えば、派手で見栄えがする商品やグレードの高い商品は、それ自体はあまり売れませんが、集客効果があり、より手頃な売れ筋商品の販売を促進できます。選択肢エの記述は、見せ筋の説明になっているため適切です。
販売データの活用方法には様々なものがありますが、基本的な手法をしっかり復習しておきましょう。
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