小売業における代表的な価格決定の方法に関する説明として、最も適切なものはどれか。
ア 原価加算法とは、競争企業の設定価格に対して競争的水準に決定する方法である。
イ 市場価格法とは、商圏内の競争価格の主導権を確保する水準で決定する方法である。
ウ 心理的価格決定法には、小売価格を500円とせず498円とするような、端数価格と呼ばれる価格決定方法もある。
エ マークアップ法とは、小売業の名声や有名ブランド商品のイメージを積極的に活用・維持するために相対的に高く決定する方法である。
オ 模倣的価格決定法とは、単品別に成立していると考えられる慣習的小売価格によって決定する方法である。
解答:ウ
店舗・販売管理から、小売業の価格政策に関する出題です。
小売業の基本的な価格政策の用語が問われています。全ての用語がわからなくても、正解を選ぶことができた方は多いのではないでしょうか?
価格政策は、企業経営理論のマーケティング論と、運営管理の店舗・販売管理の2箇所で学習するため、両方の内容を関連させておくことがポイントです。
始めに、価格政策の全体像を整理しておきましょう。
価格を決定するには、大きく3つの要因を考慮する必要があります。
それは、コスト(商品)、需要(顧客)、競合(競合企業)です。
この3つのうち、どれを重視するかで、3種類の価格の基本戦略が考えられます。
コスト志向の価格設定では、商品の原価などのコストに着目します。
コストを下回る価格をつけた場合は赤字になります。よって、コストに一定の利益を上乗せした価格を設定します。
この方法は、小売業ではマークアップ法と呼ばれます。仕入れた商品の原価に、粗利分を上乗せ(マークアップ)して売る形になります。
需要を重視するのが、需要志向の価格設定です。
この方法では、顧客がどうすれば買ってくれるかに着目して価格を設定します。
特に、顧客の心理面に注目する方法が、心理的価格設定法です。
心理的価格設定法には、端数価格(1980円など端数をつける)、名声価格(あえて高い価格をつける)、慣習価格(缶ジュースのように慣習的な価格をつける)などがあります。
競合を重視するのが、競争志向の価格設定法です。
この方法では、ライバルとなる競合店や、市場での実勢価格を重視して価格を設定します。
これを念頭に置いて、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アの、原価加算法(コストアップ法)は、コスト志向の価格設定法です。後半の記述は、競争志向となっているため、選択肢は不適切です。
選択肢イの、市場価格法は、競争志向の価格設定法です。市場価格法では市場の実勢価格に合わせて価格を設定します。これは、価格の主導権を取る(プライスリーダーとなる)事ではありません。
よって、選択肢は不適切です。
選択肢ウの記述は、端数価格の説明となっており、適切です。
選択肢エの、マークアップ法の説明は不適切です。
後半の記述は、名声価格(威光価格)の説明になっています。
選択肢オの、模倣的価格決定法は、競争志向の価格設定法の1つです。
この方法では、競合(プライスリーダーを含む)が設定している価格を模倣します。
後半の記述は、慣習価格の説明となっているため、選択肢は不適切です。
今回は、価格政策を整理して理解しておくのが重要な問題でした。
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