需要量の時系列データを用いる需要予測法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 移動平均法の予測精度は、個々の予測値の計算に用いるデータ数に依存しない。
イ 移動平均法では、期が進むにつれて個々の予測値の計算に用いるデータ数が増加する。
ウ 指数平滑法では、過去の需要量にさかのぼるにつれて重みが指数的に減少する。
エ 指数平滑法では、過去の予測誤差とは独立に将来の需要量が予測される。
解答:ウ
需要予測法に関する出題です。時系列データを用いる「移動平均法」と「指数平滑法」の基本的な知識が問われています。難易度は高くありませんので、確実に正解したい問題です。
まず、それぞれの需要予測法について確認しておきましょう。
移動平均法とは、過去の実績データをもとに将来の需要量を予測する方法です。過去のデータを単純平均した値を使う「単純移動平均法」と、過去のデータに異なる重み付けをした加重平均値を用いる「加重移動平均法」があります。
指数平滑法とは、過去の実績データのうち、直近の新しいデータに重いウェイトを置いて将来の需要量を予測する方法です。過去のデータに遡るにつれて、指数的に重みを減少させる加重移動平均法です。
では、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは不適切な記述です。移動平均法は、過去の実績データを平均して予測値を求めますので、予測精度は計算に用いるデータの数に依存します。数が多ければ予測精度は高まり、少なければ予測精度は低くなります。
選択肢イは不適切な記述です。移動平均法の計算に用いるデータ数は、任意で設定します。過去の全期間を対象にする必要はありませんので、期が進むにつれて必ずしもデータ数が増加するわけではありません。
選択肢ウは適切な記述です。指数平滑法は、直近の実績データに重きを置いて将来の需要量を予測します。過去のデータ(需要量)に遡るにつれて、重みは指数的に減少します。
選択肢エは不適切な記述です。指数平滑法は、前回の予測と実績がどの程度乖離したかを踏まえて、将来の需要予測を立てます。計算式は次の通りです。
将来の予測値=前回の予測値+平滑化指数×(前回の実績値-前回の予測値)
右辺の(前回の実績値-前回の予測値)が過去の予測誤差です。よって、指数平滑法では将来の需要量を予測する際に、過去の予測誤差を反映します。
需要予測法は生産管理だけでなく、店舗販売管理においても頻繁に出題されています。需要予測法のそれぞれの特徴と計算式はしっかり覚えておきましょう。
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