小売業におけるCRMと、それに関連する分析方法や手法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア CRMにおいて、RFM分析などを利用して、優良顧客層のような着目すべき顧客層を識別することは重要である。
イ FSPは、EDLPにとっては有効な手法の1つであるが、CRM には関係がない。
ウ RFM分析のFの評価値は、顧客の購買額の分散値が大きな値であることによって、高い評価値と判断することができる。
エ 顧客の購買機会ごとの購買額と購買商品数の相関係数が大きければ、RFM分析におけるRの評価値も高いと考えられる。
オ 優良顧客層を特定するために、顧客の年齢や性別などの属性データを説明変数としてクラスター分析を行うことは、CRM にとって重要である。
解答:ア
顧客管理に関する出題です。CRM(Customer Relationship Management)と、CRMに関連する分析手法の基本的な知識が問われています。難易度は高くありませんので、確実に正解したい問題です。
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係性を深めることで顧客ロイヤルティを高め、収益を拡大しようとするマーケティング手法です。CRM では、収益性の高い顧客を明確化し、その顧客に対して最適なマーケティング・ミックスを適用します。
では、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは適切な記述です。RFM分析とは、顧客の購買行動をRecency (最新購買日)、Frequency (購買頻度)、Monetary (購買金額)の3つの指標に着目して顧客層を分類し、それぞれの顧客層に応じたマーケティング施策を講じる手法です。これにより、上位の優良顧客層に対して一般顧客層とは異なる優待販促を講じるなど、CRMを構築する上で効果的な施策が可能になります。よって、RFM分析などを利用して顧客をランク付けし、優良顧客層を識別することは重要となります。
選択肢イは不適切な記述です。FSP(Frequent Shoppers Program)とは、優良顧客の維持拡大を目指して、上位顧客に特典を付与するプログラムです。FSPは自社への顧客ロイヤルティを高め、優良顧客を囲い込むことが狙いであり、CRMと密接な関わりがあります。EDLP(Everyday Low Price)は、毎日低価格で販売する価格戦略です。EDLPも購買金額に応じてFSPを実施することは可能ですが、FSPはEDLPにとって特に有効な手法というわけではありません。
選択肢ウは不適切な記述です。RFM分析のFは、購買頻度(Frequency)です。どのくらいの頻度で自店を利用(購買)してくれているかを見る指標です。購買額の分散値ではありません。
選択肢エは不適切な記述です。RFM分析のRは、最新購買日(Recency)です。最後に利用(購入)された日を表しています。購買額と購買商品数の相関係数は、最新購買日とは何の関係もありません。
選択肢オは不適切な記述です。クラスター分析とは、多くの異なった性質をもつ母集団から性質の似たものをグルーピングして分析する手法です。顧客の年齢や性別などの属性データでグルーピングしても、購買行動は顧客によって大きく異なるため、優良顧客層を特定することはできません。
顧客管理については、分析手法と合わせて出題されるケースが多いです。どのデータを用いて何を分析するのか、分析手法についてしっかり理解しておきましょう。
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