次のGDPに関する文章中の空欄A~Dに入る最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
生産面から見たGDP、分配面から見たGDP、支出面から見たGDPが( A )に一致することを「三面等価の原則」という。
このうち、生産面から見たGDPは各生産段階における( B )の総計に等しく、支出面から見たGDPは( C )と呼ばれる。
なお、GDPから固定資本減耗損を差し引いたものを( D )と呼ぶ。
[解答群]
ア A:事後的 B:中間生産物の価値
C:国内総支出 D:国内純生産
イ A:事後的 B:付加価値
C:国内総支出 D:国内純生産
ウ A:事後的 B:付加価値
C:国民総支出 D:国民純生産
エ A:事前的 B:中間生産物の価値
C:国内総支出 D:国内純生産
オ A:事前的 B:付加価値
C:国民総支出 D:国民純生産
解答:イ
マクロ経済学から、GDP についての問題です。GDP の三面等価の原則の基本的な理解が問われています。これは、マクロ経済学の基礎と言える部分ですので、確実に正解したい問題です。
まずは、三面等価の原則について復習しておきましょう。
GDP は、生産面、分配面、支出面の3 つの側面から見ることができます。この3 つのGDP が等しくなるというのが「三面等価の原則」です。
生産面から見たGDP は、国の産業全体で生み出された付加価値を足し合わせたものです。
付加価値は、各企業が材料に付け加えた価値を表します。付加価値は、最終的な生産額から、原材料の購入などの中間投入額を引いた金額です。
企業が得た付加価値は、家計、企業、政府のいずれかに分配されます。これを「分配面から見たGDP」と呼びます。分配面から見たGDP を式で表すと次のようになります。
GDP = 雇用者報酬+ 営業余剰・混合所得+ 間接税- 補助金分配面から見たGDP は、分配を受ける側から見れば所得となります。よって、これは国内総所得を表します。
さらに、分配されたGDP は、家計、企業、政府によって様々な目的に使われます。これを「支出面から見たGDP」と呼びます。支出面から見たGDP を式で表すと次のようになります。
GDP =(民間消費支出+ 固定資本形成+ 在庫品増加+ 政府支出) + (輸出- 輸入)
支出面から見たGDP は、財市場の需要サイドを表しています。家計の消費や、企業の投資が増えたり、純輸出(輸出-輸入)が増加すれば需要が増加することになります。支出面から見たGDP は、国内総支出(GDE:Gross Domestic Expenditure)と呼ばれます。
実際の経済では、需要、すなわち生産面から見たGDP と、供給、すなわち支出面から見たGDP が常に一致するとは限りません。この場合、国民経済計算の統計上は、需要と供給が一致しない時は、事後的に差額を「在庫品増加」の項目で調整するという決まりがあります。そのため、支出面から見たGDP も、生産面から見たGDP と等しくなります。
また、GDP から固定資本減耗損を差し引いたものは、国内純生産(NDP:Net Domestic Product)呼ばれます。固定資本減耗は、会計で言う「減価償却」を表し、時間が経つにつれて、固定資本の価値が減ることを表します。GDP の「グロス(総)」は、固定資本減耗を控除しておらず、NDP の「ネット(純)」は、固定資本減耗を控除したということを表しています。
ここまでを踏まえた上で、設問を見てみましょう。
先ほど説明したとおり、生産面から見たGDP と支出面からみたGDP が一致しない時は、事後的に差額を調整します。よって、Aには「事後的」が入ります。
生産面から見たGDP は、国の産業全体で生み出された付加価値を足し合わせたものです。
よって、Bには、「付加価値」が入ります。また、支出面から見たGDP は、国内総支出と呼ばれます。よって、Cには、「国内総支出」が入ります。
GDP から固定資本減耗損を差し引いたものは、国内純生産と呼ばれます。よって、Dには、「国内純生産」が入ります。
以上より、選択肢イが正解となります。
GDP は頻出分野ですので、しっかり復習しておきましょう。
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