需要の所得弾力性 - 中小企業診断士 経済学・経済政策 令和3年 第17問

ピックアップ過去問解説

問題

大学生のAさんは、アルバイト先の時給が上がったことで、所得が増加した。その結果、お昼に学食に行く回数が減り、イタリアンレストランに行く回数が増えた。この状況に関する説明として、最も適切なものはどれか。

ア Aさんにとって、学食とイタリアンレストランの消費は両方ともプラスであるので、ともに上級財である。

イ Aさんにとって、学食とイタリアンレストランは補完財である。

ウ Aさんにとって、学食の消費は減り、イタリアンレストランの消費は増えたので、学食は下級財であり、イタリアンレストランは上級財である。

エ Aさんにとって、学食は必需品であり、イタリアンレストランは奢侈品(しゃしひん)である。

オ Aさんにとって、学食もイタリアンレストランも必需品である。


解答・解説

解答:ウ

 需要の所得弾力性に関する出題です。上級財と下級財、および奢侈品と必需品に関する基本的な知識が問われています。難易度は高くありません。

需要の所得弾力性とは、所得を1%上昇させた時に、需要量が何%変化するかを表すものです。式で表すと、所得弾力性 = (需要量の変化率)/(所得の変化率)となります。

上級財は、所得を増やした時、消費量も増える財を表します。(あるいは、所得を減らした時、消費量も減る財)。

下級財は、所得を増やした時、消費量が減る財を表します。(あるいは、所得を減らした時、消費量が増える財)

必需品は、上級財のうち、所得の増加よりも消費の増加の方が小さい財をいいます。需要の所得弾力性が0から1の間の財が必需品となります。

奢侈品は、上級財のうち、所得の増加よりも消費の増加の方が大きい財です。需要の所得弾力性が1以上の財が奢侈品となります。

では、選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは不適切な記述です。所得が増えたことで利用する回数が減った学食は、Aさんにとって下級財であり、利用する回数が増えたイタリアンレストランは上級財であるといえます。

選択肢イは不適切な記述です。学食とイタリアンレストランは補完関係にありません。補完財とは、X財とY財の2つの財があったとき、X財の価格が上昇してX財の需要量が減ったとき、同時にY財の需要量も減少する2つの財の関係を指します。学食の回数は減りましたが、イタリアンレストランの回数は増えていますので補完財ではありません。

選択肢ウは適切な記述です。選択肢アの解説の通り、Aさんにとって学食は下級財で、イタリアンレストランは上級財となります。

選択肢エは不適切な記述です。学食はAさんにとって、そもそも上級財ではありませんので奢侈品には該当しません。イタリアンレストランはAさんにとって上級財ですが、需要の所得弾力性が示されていませんので、奢侈品であるかどうかは判断できません。

選択肢オは不適切な記述です。選択肢エの解説の通り、需要の所得弾力性が不明であるため必需品であるかどうかは判断できません。また、学食は上級財ではないため、そもそも必需品には該当しません。

需要の所得弾力性に関わる財の分類については、頻出論点です。上級財と下級財、および奢侈品と必需品について、しっかり理解しておきましょう。


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