日本経済は、日本銀行による金融政策から影響を受けている。貨幣に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
a 中央銀行が買いオペを実施すると、マネタリー・ベースが増加する。
b マネー・ストックM1は、現金通貨、預金通貨、準通貨、譲渡性預金の合計である。
c マネー・ストックをマネタリー・ベースで除した値は「信用乗数」と呼ばれる。
d 準備預金が増えると、信用乗数は大きくなる。
〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとd
解答:ア
日銀の金融緩和政策に関する問題です。基本的な問題なので難易度は高くありません。
では、各記述を見ていきましょう。
aの記述ですが、中央銀行の買いオペとは、日銀が市場から債券を買い、資金を市場に供給することでマネタリー・ベースを増加させる日銀の市場操作です。従って、選択肢は適切な記述です。
bの記述ですが、マネー・ストックM1には、定期預金、譲渡性預金は含まれません。記述の内容はM2の定義になります。
M1=現金通貨+全預金取扱機関に預けられた預金通貨
となります。M2ではゆうちょ銀行の貯金は除かれますが、M1では含まれ、また農協・信用組合・労働金庫の預金なども含まれます。従って、不適切な記述です。
cの記述ですが、信用乗数は貨幣乗数ともいわれます。
信用乗数(貨幣乗数)=マネー・ストック/マネタリー・ベース
で計算されます。なお、マネタリー・ベースはハイパワード・マネーともいわれます。
ハイパワード・マネー=流通現金通貨+準備預金
となります。従って、適切な記述です。
dの記述ですが、準備預金を増加させると、マネタリー・ベースも上昇します。マネタリー・ベースは信用乗数算出の分母ですので、上昇すると、信用乗数は低下します。
信用乗数(貨幣乗数)↓=マネー・ストック/マネタリー・ベース↑
従って、不適切な記述です。
以上より、aとcが適切な記述であるため、選択肢アが正解となります。
中小企業診断士 1次2次合格コース
|
すべてのコースを見る |