国民経済計算 - 中小企業診断士 経済学・経済政策 令和元年 第3問

ピックアップ過去問解説

問題

 国民経済計算は、総需要をいくつかの項目に区分している。これらの項目を見ることによって、より詳細に総需要の状況を把握することができる。国民経済計算における総需要に関わる恒等式として、最も適切なものはどれか。


ア 公的需要=公的固定資本形成+公的在庫変動

イ 国内需要=民間需要+公的需要+財貨・サービスの輸入

ウ 総固定資本形成=民間住宅+民間企業設備

エ 民間需要=民間最終消費支出+民間住宅+民間企業設備+民間在庫変動


解答・解説

解答:エ

 国民経済計算での総需要の恒等式に関する問題です。国民経済計算は毎年出題があるテーマですが、恒等式の定義をしっかり記憶していなければ難易度はやや高いでしょう。

では、選択肢を見ていきましょう。


選択肢アですが、公的需要とは、政府および地方公共団体も含む支出です。

公的需要=政府最終消費支出+公的資本形成+公的在庫品増加

です。では、計算要素の具体例を確認しておきましょう。

  • 政府最終消費支出:例えば、公務員の給料や役所の電気代など
  • 公的固定資本形成:例えば、道路やダムなど長期間利用できる施設の建設
  • 公的在庫品増加:食糧管理特別会計の米や、国有林野等の原材料、資材、貯蔵品等の増減。また、一般政府の在庫品増加は、石油公団の原油備蓄等の増減を含みます。

従って、不適切な記述です。


選択肢イですが、国内需要は、

国内需要=民間需要+公的需要

となり、海外部門である財貨・サービスの輸入は含みません。従って、不適切な記述です。


選択肢ウですが、総固定資本形成は、

総固定資本形成 = 民間住宅+民間企業設備+公的固定資本形成

となり、公的固定資本形成を選択肢に加える必要があることから、不適切な記述です。


選択肢エですが、民間需要は、

民間需要=民間最終消費支出+民間住宅+民間企業設備+民間在庫変動

となり、適切な記述です。


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