共有資源 - 中小企業診断士 経済学・経済政策 令和元年 第17問

ピックアップ過去問解説

問題

 海洋資源などの共有資源に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。


a 共有資源の消費に対する無償の許可は、共有資源の消費の効率化につながる。

b 共有資源の消費に対する有償の許可は、共有資源の消費の効率化につながる。

c 共有資源は、消費に競合性があるが、排他性のない財として定義できる。

d 共有資源は、消費に排他性があるが、競合性のない財として定義できる。


〔解答群〕

ア aとc

イ aとd

ウ bとc

エ bとd


解答・解説

解答:ウ

 共有資源(公共財)に関する問題です。共有財の性質に関する基本的理解を問うもので難易度は高くありません。


 では共有資源について確認しましょう。

 共有資源は、2つの性質を持つ財です。その性質とは、(消費の)競合性と非排除性です。

競合性は、誰かがその財を消費すると、他の誰かが消費できる量が減ることです。例えば、水産資源は、対価を支払わなくても漁獲が可能です。しかし、漁場が乱獲されると水産資源が枯渇して、すべての漁業者が不利益を被ります。

非排除性は、対価を払わない人を排除するのが難しいことです。例えば、テレビ放送は、テレビがあれば誰でも受信できてしまうため、対価を払わない人を排除するのが難しくなっています。


 では、各記述を見ていきましょう。

 aの記述ですが、共有資源の消費に対する無償の許可は、対価を求めないため浪費や乱獲する人を排除することができないため、非効率になります。従って、不適切な記述です。

 bの記述ですが、共有資源の消費に対する有償の許可は、対価を払わない人を排除することにより、浪費や乱獲する人を防止し、共有資源の消費の効率化につながります。従って、適切な記述です。

 cの記述ですが、共有資源は、誰かが乱獲すれば、他の人の収穫量が減ってしまいますので消費に競合性があります。一方で、だれでも収穫できる排他性の無い財です。従って、記述は適切です。

 dの記述ですが、共有資源には排他性がありませんが、誰かが乱獲すれば、他の人の収穫量が減るという競合性を有します。従って、不適切な記述です。


 以上から、bとcが適切であるため、選択肢ウが正解となります。


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