ア 機密事項の漏洩が発生しやすくなっている。
イ 職場の一体感が低下しやすくなっている。
ウ 正社員との賃金格差に非正社員が不満を感じやすくなっている。
エ 長期的な視点から見た正社員の育成が困難になっている。
オ 非正社員は正社員に期待されている役割を担うことができるようになっている。
解答:オ
非正社員の質的基幹化とは、非正社員であっても、判断や管理など、質的に高度な業務を実施するようになってきた状態のことです。
従来、非正社員の業務は、補助的業務が中心でした。しかし、現在、非正社員の質的基幹化が多く見られるようになった背景には、以下のようなものがあります。
・正社員を雇用すると賃金負担が大きく、また解雇も難しいため、より多くの仕事を非正社員に任せたいという経営側の要望
・業務量の変化に対し、柔軟に対応したいという経営及び現場の要望
以上のような背景により、非正社員の質的基幹化は増加しています。一方で、非正社員の仕事の難易度が上がっても、待遇については、これまでと同じように正社員と開きがあるなどの課題も残されています。
それでは、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アでは、機密事項の漏洩について述べられています。非正社員の質的基幹化により、正社員と同様に機密事項を扱う非正社員も増加しています。一方で、正社員ほどには、機密事項の取り扱いに対する教育や訓練を受けていない非正社員も存在します。そのため、機密事項の漏洩が発生しやすくなっています。よって、記述は適切です。
選択肢イでは、職場の一体感の低下について述べられています。前述のとおり、非正社員の質的基幹化により、非正社員であっても、正社員と同等の仕事をするケースが増加しています。一方で、正社員と非正社員の待遇の違いは依然として存在します。その結果、非正社員は不満を感じるため、職場での一体感は低下します。よって、記述は適切です。
選択肢ウでは、賃金格差に対する非正社員の不満について述べられています。非正社員は、質的基幹化により、正社員と同等の仕事をするケースが多くなっています。それにも関わらず、賃金格差が存在することに、非正社員は、当然、不満を感じるでしょう。よって、記述は適切です。
選択肢エでは、正社員の長期的な育成について述べられています。現在、各企業では、高度経済成長時代のように、終身雇用を前提とした社員の雇用は難しくなっています。そのため、正社員と言えども、企業内において、長期的な視点で育成することが困難になっています。その結果、正社員や非正社員の区分に関わらず、短期的な訓練だけで、多くの業務を任せようとしています。つまり、正社員の長期的な視点から見た育成が困難なことが、非正社員の質的基幹化を生む背景の一つとなっています。よって、記述は適切です。
選択肢オでは、非正社員が期待されている役割について述べられています。非正社員は、近年は定型的・補助的な職務にとどまらず、判断や管理など、質的に高度な業務を実施するようになってきています。しかし、正社員から期待されている役割を担って、正社員と同等の業務を行うようになっているとまでは言い切れません。
よって、記述は不適切で、これが正解です。
非正社員と正社員の待遇格差など、非正社員の質的基幹化に関連する問題は、社会一般でも重要な問題として、よく話題に上がっています。そのため、今後も出題される可能性が大きいと考えられます。本問で学んだ内容を復習しておきましょう。
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