ドメインは全社レベルと事業レベルに分けて考えられるが、ドメインの定義ならびに再定義に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
解答:エ
本問では、ドメインの定義と再定義について問われています。一部の選択肢に難しい内容が含まれていますが、良く読めば正解の選択肢を見つけることができます。
エーベルは、事業ドメインについて「顧客層」「顧客機能」「技術」という3次元で定義することを提唱しました。顧客層は、対象とする顧客を表します。顧客機能は、顧客に対して提供する機能を表します。技術は、企業の中核となる技術や能力を表します。
事業ドメインは、将来の事業展開をにらんだ研究開発分野など、いまだ潜在的な状態にとどまっている範囲も含んでいます。このような、外部からは見えない潜在的な分野によって、将来の事業の範囲が決まることになります。そのため、記述は適切です。
ドメインの定義方法には、物理的な定義と、機能的な定義があります。例として、かつての米国の鉄道事業では、自身を「鉄道」事業者として物理的に定義していました。その後、自動車や航空機などの産業に押されて衰退してしまいました。もし、ドメインを顧客から見た「運輸業」として機能的に定義していれば、別の事業展開も考えられたかもしれません。
このように、ドメインを物理的に定義した場合、事業展開が制約されてしまいがちです。この現象をマーケティング・マイオピア(近視眼)呼びます。そのため、記述は適切です。
ドメインには、企業全体を表す企業ドメインと、事業単位の事業ドメインがあります。
複数の事業を展開している企業では、企業ドメインは、複数の事業ドメインを包括することになります。この場合、企業ドメインは、企業の戦う範囲を限定することに役立ちます。
そのため、記述にある、「製品やサービスで競争者と競う範囲は特定できない」という部分が間違いです。よって、これが正解となります。
選択肢オは、事業ドメインと企業ドメインについての内容です。
単一の事業を営む企業では、企業ドメインと事業ドメインは同じになります。また、単一事業であっても、企業環境が変化した場合は、ドメインの見直しが必要であることは変わりません。そのため、記述は適切です。
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