問題
リーダーシップの諸学説に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ハウスによるパス・ゴール理論は、リーダーの職務は部下の業務目標の達成を助けることであり、そのために必要な方向性や支援を与えることにあるとした。
イ フィードラーによるコンティンジェンシー理論では、環境の不確実性が高い場合には有機的なリーダーシップが、不確実性が低い場合には機械的リーダーシップが望ましいとした。
ウ ブレイクとムートンによるマネジリアル・グリッドは、「構造作り」と「配慮」という二軸でリーダーシップ特性を分類し、9-9型が最も高い成果を生むとした。
エ リッカートによる参加型リーダーシップでは、リーダーは部下の意思決定に積極的に参加し、影響力を行使することが重要であるとした。
解答・解説
解答:ア
リーダーシップ理論に関する問題です。
経営組織論では、リーダーシップ理論は出題されやすいテーマです。そのため、基本的な理論は押さえておきましょう。
では、順番に選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、ハウスのパス・ゴール理論の内容です。
パス・ゴール理論は、リーダーはメンバーに対して目標(ゴール)を示し、それに至る経路(パス)を明確にすることで目標を達成するように導くことが重要だという理論です。
そのため、記述は適切であり、これが正解です。
選択肢イは、フィードラーのコンティンジェンシー理論の内容です。
フィードラーのコンティンジェンシー理論では、環境によってどのようなリーダーシップが適しているかを分析しました。
その結果、リーダーが統制しやすい状況の場合は仕事中心型の方が良く、また、逆にリーダーが統制しにくい状況の場合も、仕事中心型の方が良い結果になりました。状況がどちらでもない中間的なときは人間関係中心型のリーダーシップの方が良い結果になりました。
問題文では、「有機的なリーダーシップ」、「機械的リーダーシップ」という言葉が使われていますが、有機的なリーダーシップは人間関係中心型、機械的リーダーシップは仕事中心型を指しているのは推測できると思います。
そのため、記述の中の「環境の不確実性が高い場合には有機的なリーダーシップが」という部分が間違いで、不適切です。
選択肢ウは、ブレークとムートンによるマネジリアル・グリッドの内容です。
ブレークとムートンは、リーダーの関心を、人間の関心と業績の関心の2 軸で捉えて、マトリクス化しました。これがマネジリアル・グリッドです。そして、人間の関心と業績の関心が共に高いタイプが、最も高い業績を上げると指摘しました。
問題文では、「構造作り」と「配慮」いう言葉が使われていますが、この言葉は、シャートルのオハイオ研究で使われる言葉です。
そのため、記述は不適切です。
選択肢エでは、リッカート(リカートとも呼ぶ)のシステム4理論が問われています。
リカートは、リーダーシップを、独善的専制型、温情的専制型、相談型、参加型の4つのタイプに分類しました。そして、参加型が理想であると指摘しました。
参加型では、リーダーは部下を支持し、集団的な意思決定を行います。
また高い業績目標を設定するという特徴があります。これにより、集団のモチベーションを高め、成果を上げることが出来ると述べています。
そのため、「リーダーは部下の意思決定に積極的に参加し、影響力を行使する」という部分が不適切です。
リーダーシップ理論は頻出分野ですので、しっかり復習しておきましょう。
学習するには
企業経営理論
1-6 組織と人材 - リーダーシップ
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