問題
格設定の要因には、コスト、競争、需要がある。これらに基づく価格設定法に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア 価格ライン別の価格設定の場合は、各価格ライン内の製品のバリエーションに応じた多様な価格を設定する必要がある。
イ 競争志向型の価格設定のなかには、業界の平均的価格にあわせて価格設定する方法がある。
ウ 市場調査を行うことによって、顧客が知覚する価値を推定して、それをもとに価格設定していく方法がある。
エ 市場をいくつかのセグメントに分けて、セグメントごとの需要の価格弾力性の差を利用して価格を設定する方法がある。
オ 複数の商品をセットにして、価格設定することがある。この場合には、そうしなければ購入しないであろう顧客にとって魅力的な価格を設定する必要がある。
解答・解説
解答:ア
企業経営理論のマーケティング論から、価格設定に関する出題です。
価格設定は、マーケティング戦略の中でもとても重要です。
いくら素晴らしい製品であっても、価格の設定次第では売れないことがあります。一方、沢山売れたとしても、会社に利益をもたらさなければ
意味がありません。
そのため、様々な価格設定方法が開発されてきました。
問題文にあるように、価格設定を大きく分けると、コスト、競争、需要の3つの要因があります。
まず、この3つの要因について簡単に復習をしておきましょう。
コスト志向の価格設定法では、製品の原価に一定の利益を上乗せすることで、価格を設定します。この方法は、コストプラス法とも呼ばれますが、
流通業ではマークアップ法と呼ばれることもあります。
競争志向の価格設定では、競合の価格を重視して価格を設定します。競争志向の価格設定の代表的なものには、実勢型価格設定と入札型価格
設定があります。
需要志向の価格設定では、消費者の需要に合わせて価格を設定します。特に消費者の心理を重視して価格を設定するのが、心理的価格設定です。
では、これらをふまえて、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、価格ライン別の価格設定に関する記述です。
これは価格ライン(プライスライン)という段階的な価格帯に沿って、製品を販売する方法です。例えば、最近はスーツやメガネなどでも、
製品のランクごとのプライスラインを設定している店舗があります。プライスラインを設定することで、消費者が製品を選択しやすくする
ことができます。
選択肢の記述は、「多様な価格」となっていますが、価格ラインは、シンプルな価格設定をするのが目的ですので、記述は不適切です。
よって、これが正解となります。
選択肢イは、競争志向型の価格設定に関する記述です。
この方法の中には、業界の平均的価格にあわせて価格設定する方法があります。これを「実勢型価格設定」と呼びます。
実勢型価格設定では、一般的には、価格を支配的に決定しているリーダー企業(プライスリーダー)の価格に、プライスフォロワーが追随します。
よって、選択肢は適切です。
選択肢ウは、顧客が知覚する価値に基づいた価格設定に関する記述です。
これは、需要志向型の価格設定であり、顧客が「いくらであれば購入してくれるのか?」を調査したうえで価格を決定する方法です。
よって、選択肢は適切です。
選択肢エは、セグメント別の価格設定法に関する記述です。
例えば、顧客層や販売チャネルなどによってセグメントを分割し、それぞれに最適な価格を設定する方法があります。
よって、選択肢は適切です。
選択肢オは、複数の商品をセットにした価格設定法に関する記述です。
これを「抱き合わせ価格」と呼びます。セットで安い価格で販売することで、消費者に割安感を提供すると同時に、まとめて販売することが出来
ます。
よって、選択肢は適切です。
今回は、プライシングの基本的な問題でした。
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