企業経営理論 平成20年 第19問 - 組織学習

ピックアップ過去問解説

問題

 企業が長期に成長・発展していくためには、シングルループ学習とダブルループ学習を適切に切り替えて行っていく必要がある。このことに関する記述として、最も適切なものはどれか。


ア 業績評価基準を成果主義型から過程重視型にシフトすることを通じて、シングルループ学習を抑え、ダブルループ学習を促進する可能性が高くなる。

イ 計画策定部門と執行部門を明確に区分し、適切なコミュニケーションを確保する組織を構築することで、シングルループ学習とダブルループ学習を適切に切り替える可能性が高くなる。

ウ 執行部門により多くの権限を委譲することを進めると、シングルループ学習を促進し、ダブルループ学習を阻害する可能性が高くなる。

エ 職務を細分化し、過程別専門化を進めていくことが、シングルループ学習を阻害し、ダブルループ学習を促進する可能性を高める。

オ 専門化された各部門の責任・権限を明確化することを通じて、シングルループ学習を抑え、ダブルループ学習を促進する可能性が高くなる。


解答・解説

解答:イ

組織学習(シングルループ学習、ダブルループ学習)についての問題です。

シングルループ学習とは、低次学習とも呼ばれ、既存の枠組みのなかで行う学習です。組織がゆっくり進化している時に必要なのは低次学習です。

ダブルループ学習とは、高次学習とも呼ばれ、既存の枠組みを超えた学習です。組織が革新的に進化する時に必要なのは高次学習です。つまり、既存の枠組み自体を変革するための学習が高次学習です。

これを踏まえて、選択肢を見ていきましょう。

選択肢アですが、「過程重視型」とは従来型の業績評価方法であり、そのような評価基準のもとでは、既存の枠組みの中で行われるシングルループ学習が促進されます。よって、記述は不適切です。

選択肢イですが、シングルループ学習を展開しがちな執行部門と、ダブルループ学習を行う素地がある計画策定部門とを「明確に区分」することで、それぞれの学習を促進できます。

さらに、適切なコミュニケーションを行うことで、それぞれの学習成果を伝達でき、「シングルループ学習とダブルループ学習を適切に切り替える」ことも可能になります。よって、記述は適切なため、これが正解です。

選択肢ウですが、執行部門の権限が制約されていると(例えば、計画策定部門の策定した計画を忠実に実行するだけの役割だと)、既存枠組みの中でしか学習できなくなり、シングルループ学習だけになりがちです。逆に、執行部門により多くの権限を委譲することで、執行部門においてもダブルループ学習を促進できる可能性が高まります。よって、記述は不適切です。

選択肢エですが、「職務を細分化し、過程別専門化を進めていく」と、それぞれの組織が別々に組織学習を進めていくことになり、シングルループ学習へと陥っていきます。よって、記述は不適切です。

選択肢オですが、「専門化された各部門の責任・権限を明確化」すると、各部門はより一層高い壁を築いてしまい、ある部門の学習成果は他部門へ伝播しにくくなります。すると、ダブルループ学習が阻害されることになります。
よって、記述は不適切です。

シングルループ学習とダブルループ学習の違いは押さえておきましょう。



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企業経営理論

 1-6 組織と人材 - 組織学習

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