中小企業診断士 企業経営理論
平成18年 第7問 - 経営計画

ピックアップ過去問解説

問題

 経営計画を策定し、それを遂行し、成果を検証し、次期の経営計画に生かすというPDC(Plan → Do → Check)サイクルは、実際にはこの順番通りにうまく回らないことが多い。最近では、PDCサイクルがうまく回らない理由を明らかにし、そのことを前提にした経営計画のあり方が検討されるようになったが、このような状況に関する説明として、最も不適切なものはどれか

ア 計画通りに物事が運ばない事態に直面すると、計画に見落としや情報不足があったと考え、前よりも精緻な分析に基づく計画を策定するという悪循環に陥ることが問題になってきた。

イ 計画にない想定外の試みや新機軸が現場から創発する可能性を織り込んだ経営計画が策定されるようになった。

ウ 計画にも増して実施段階から得られる知識を重視して、学習プロセスを介在させて、PDCサイクルを回すことが行われるようになった。

エ 先端技術の展開や経済のグローバル化など、これまでとは異質な大きな環境変化が起こっており、そのため、予測や分析が困難な要因が計画に強く影響するようになった。

オ ビジョンや経営目標の共有が重要であるという理解が進展しており、それに基づいて戦略課題を現場に下ろし、成果主義で業績管理を行うことが広く行われており、経営計画は効果を発揮できず、無視されるようになってきた。

解答・解説

解答:オ

企業経営理論から、経営計画に関する出題です。

本問では、経営計画のPDCサイクルについて問われています。選択肢について落ち着いて考えれば、正解できる問題です。また、不適切を選ぶタイプの問題ですので注意しましょう。

問題文では、PDCサイクルの問題点が指摘されています。そして、この問題を解決するための経営計画について選択肢で記述されています。

では、選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは、分析ばかり行っていて実行に移されない状況を表しています。この状況を表す言葉として「分析麻痺症候群」という言葉がありました。記述は適切です。

選択肢イは、トップダウンの計画ではなく、想定外の試みや現場での発見などボトムアップの創発による経営が見られるようになった事を表しています。

近年は外部環境の変化が激しくなっており、トップやスタッフが机上で経営計画を立てるだけでは、環境の変化に対応できなくなっています。

そのため、ボトムアップを重視する企業や、経営戦略論も出てきました。よって、記述は適切です。

選択肢ウは、実施段階から得られる知識を重視する経営であり、記述は適切です。なお、こういった方法は、組織学習やナレッジマネジメントとよばれています。

選択肢エは、不測の事態に対応するための経営を表しており、記述は適切です。なお、不測の事態に対応するための計画には「ローリングプラン」や「コンティンジェンシープラン」があります。

選択肢オは、成果主義の業績管理と経営計画について述べられています。

成果主義による業績管理の場合でも、経営計画は重要です。それは、ビジョンや目標を達成するための経営計画を作成し、それを部門や個人の業績目標に落とし込む必要があるからです。

よって、記述は不適切であり、これが正解です。

本問は、落ち着いて考えれば正解できる問題でした。


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 1-1 経営と戦略の全体像 - 経営計画

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