近年、情報システムの信頼性確保がますます重要になってきている。情報システムの信頼性確保に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア サイト・リライアビリティ・エンジニアリング(SRE)とは、Web サイトの信 頼性を向上させるようにゼロから見直して設計し直すことである。
イ フェイルセーフとは、ユーザが誤った操作をしても危険が生じず、システムに 異常が起こらないように設計することである。
ウ フェイルソフトとは、故障や障害が発生したときに、待機系システムに処理を引き継いで、処理を続行するように設計することである。
エ フォールトトレランスとは、一部の機能に故障や障害が発生しても、システム を正常に稼働し続けるように設計することである。
オ フォールトマスキングとは、故障や障害が発生したときに、一部の機能を低下 させても、残りの部分で稼働し続けるように設計することである。
解答:エ
本問では、情報システムの信頼性について問われています。
システムの信頼性を確保する手法について、基本的な内容を覚えていれば解答できる問題です。
まず、情報システムの信頼性を確保する手法について、簡単に復習しておきましょう。
フェールセーフとは、故障や障害が発生した場合にシステムを安全な方向に動作させる設計概念のことです。フェールセーフは、システムの稼働よりも安全を優先するものです。
フェールソフトとは、故障が発生した際に、処理を中断することなく機能を維持するシステム構成方法です。たとえ機能が低下しても、システムが完全に停止することのないようにします。
フォールトトレラントとは、構成部品の一部が故障しても正常に処理を続行できることです。フォールトトレラントは、障害発生時に機能を低下させずに継続させる点がフェールソフトと異なります。
それでは、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アでは、サイト・リライアビリティ・エンジニアリング(SRE)について問われています。サイト・リライアビリティ・エンジニアリングは、WebサイトやITサービスの信頼性向上のためのシステム管理とサービス運用の方法論です。Google者が提唱し、実践しているアプローチです。信頼性を向上させるために「ゼロから見直して設計し直す」ものではありませんので、選択肢の内容は不適切です。
選択肢イでは、フェイルセーフについて問われています。フェイルセーフは、故障や障害が発生した場合にシステムを安全な方向に動作させる設計概念を言います。「ユーザが誤った操作をしても危険が生じず、システムに異常が起こらないように設計する」のは、フールプルーフについての説明です。よって選択肢の内容は不適切です。
選択肢ウでは、フェイルソフトについて問われています。フェイルソフトは、故障が発生した際に、処理を中断することなく機能を維持するシステム構成方法であり、たとえ機能が低下しても、システムが完全に停止することを避けるようにします。「故障や障害が発生したときに、待機系システムに処理を引き継ぐ」のは、フェイルオーバーについての説明です。よって選択肢の内容は不適切です。
選択肢エでは、フォールトトレランス(フォールトトレラント)について問われています。フォールトトレラントは、一部の機能に故障や障害が発生しても正常に処理を続行できるように設計することです。よって選択肢の内容は適切であり、これが正解です。
選択肢オでは、フォールトマスキングについて問われています。フォールトマスキングは、システムに障害が発生してもその影響が誤りとなって外部に出ないよう制御する仕組みです。「故障や障害が発生したときに、一部の機能を低下させても、残りの部分で稼働し続けるように設計する」のは、フェイルソフトについての説明です。よって選択肢の内容は不適切です。
情報システムの信頼性に関する用語は似たようなものがありますが、テキストに載っている用語については正しく意味を理解しておきましょう。
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