ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が開発した「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」(以下「PPM」という)と、その分析ツールである「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス(BCG成長-シェア・マトリックス)」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア PPMの分析単位である戦略事業単位(SBU)は、製品市場の特性によって客観的に規定される。
イ 「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」では、縦軸に市場成長率、横軸に戦略事業単位(SBU)の売上高をとり、その2次元の座標軸の中 に各事業が位置付けられる。
ウ 「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」において「金のなる木」に分類された事業は、将来の成長に必要な資金を供給する。
エ 「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」において「花形」に分類された事業は、生産量も大きく、マージンは高く、安定性も安全性も高い。
オ 「プロダクト・ポートフォリオ・マトリックス」において「問題児」に分類された事業からは撤退すべきである。
解答:ウ
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する出題です。PPMの基本的な知識が問われています。
まず、PPMについて簡単に確認しておきましょう。
PPMは多角化した事業を管理するツールです。それぞれの戦略事業単位(SBU)の市場での位置付けを明確にすることで資源配分を検討します。SBUは、事業独自に戦略や計画の立案と評価が行える事業単位となります。
では、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは不適切な記述です。戦略事業単位(SBU)とは、独自に戦略や計画の立案と評価が行える事業単位です。多角化した企業は各事業の評価とそれに基づく資源配分が重要な課題となるため、製品市場の特性だけで規定するではなく、市場の成長率と自社の相対的な市場シェアから各事業の位置付けを決めていきます。
選択肢イは不適切な記述です。プロダクト・ポートフォリオ・マトリックスは縦軸に市場成長率、横軸に相対的市場シェアをとります。横軸は戦略事業単位(SBU)の売上高ではありません。
選択肢ウは適切な記述です。金のなる木に分類された事業は、シェアが高いので売上も多く、成長も落ち着いているため、多くの投資を必要としません。最もキャッシュを生む事業であり、ここで得られたキャッシュを将来の有望な事業に投資し、企業の次の柱を育てていきます。
選択肢エは不適切な記述です。花形の事業は、市場成長率が高く自社のシェアも高いため、社内外で注目を集める事業です。入ってくるキャッシュが多い半面、出て行くキャッシュも多いため、必ずしもマージンが高いわけではありません。また、花形の事業は成長分野のため、市場の競争が激しく、安定性と安全性が高いとは言えません。
選択肢オは不適切な記述です。問題児の事業は、市場成長率が高く将来有望な事業がここに分類されます。自社のシェアはまだ低いため、シェアを高めるために多くの投資を必要としますが、市場が成長しているので必ずしも撤退すべきとは言えません。
PPMは出題頻度の高いテーマです。縦軸と横軸の指標は何か、4つの分類に該当する事業とそれぞれの特徴は何か、しっかりと覚えておきましょう。
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