情報システムを開発する際には、基本的な考え方(アーキテクチャ)に基づいてなされることが多い。このような考え方の1つにSOAがある。SOAに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 順次・選択・繰返しの3つの論理構造の組み合わせで、コンポーネントレベルで設計を行うというアーキテクチャである。
イ 生産・販売・物流・会計・人事などの基幹業務を統合し管理することで、全体最適を図るというアーキテクチャである。
ウ ソフトウェアの機能をサービスという部品とみなして、サービスのモジュールを組み合わせてシステムを構築するというアーキテクチャである。
エ ビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、テクノロジーアーキテクチャの4つの体系で分析して、全体最適の観点 からシステム構築を検討するというアーキテクチャである。
オ 利用部門が要求するシステム開発に対して、データの構造や関係に合わせてシステムを開発するというアーキテクチャである。
解答:ウ
本問では、SOA(サービス指向アーキテクチャ)について問われています。
SOAの基本的な考え方を知っていれば、解答できる問題です。
まず、SOAについて簡単に復習しておきましょう。
SOAは、アプリケーションを部品化して、それらを組み合わせることでシステムを構成するアーキテクチャ(設計思想)です。SOAでは、部品化したアプリケーションの単位のことを「サービス」と呼びます。サービスは、「受注」や「在庫確認」など、人間から見て意味のある単位の小さいアプリケーションです。
それでは、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、構造化プログラミングに関する記述です。構造化プログラミングは、プログラムを記述する際の基本的な技法であり、順次・選択(if文など)・繰返し(for文など)の3つの論理構造のみを使い、プログラムを細かな単位に分割して処理を記述します。現在、普及しているプログラミング言語の多くは、構造化プログラミングによる記述を前提としています。選択肢アは、SOAに関する説明ではありませんので、不適切です。
選択肢イは、ERP(Enterprise Resource Planning)に関する記述です。ERPは、企業の基幹業務を統合的に管理するパッケージです。ERPでは、企業の経営資源である人、モノ、金、情報などを、全体最適の視点から適切に計画し、管理することができます。選択肢イは、SOAに関する説明ではありませんので、不適切です。
選択肢ウでは、「ソフトウェアの機能をサービスという部品とみなして、サービスのモジュールを組み合わせてシステムを構築するというアーキテクチャである」と記述されておりますので、SOAに関する説明です。よって、選択肢ウは適切で、これが正解です。
選択肢エは、EA(Enterprise Architecture)に関する記述です。EAは、組織の構造や業務プロセス、情報システムを、統一的にモデル化し、最適化するための手法や考え方のことです。EAでは、組織構造や業務システムを、ビジネスアーキテクチャ、データアーキテクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、テクノロジーアーキテクチャの4つに階層化しています。選択肢エは、SOAに関する説明ではありませんので、不適切です。
選択肢オは、DOA(データ指向アプローチ)に関する記述です。DOAでは、データ構造に着目してシステム化を進めるアプローチです。変化しやすい業務プロセスではなく、比較的安定しているデータに着目します。選択肢オは、SOAに関する説明ではありませんので、不適切です。
SOAの概要についてしっかり復習しておきましょう。
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