ア 異業種、同業種を問わず、M&A の統合段階における機能統合では、準備段階でのデューデリジェンス(due diligence)による、研究開発、生産、販売などの重複部分や補完関係の明確化が重要である。
イ 異業種の M&A のメリットは、基本的には、範囲の経済とリスクの分散の実現であるが、自社の必要としない資源までも獲得してしまうリスクもある。
ウ 多角化では、企業の主要な市場での需要の低下という脅威は、外的な成長誘引(external inducement)となる。
エ 多角化には、特定の事業の組み合わせで追加的に発生する相乗効果と、複数の製品市場分野での事業が互いに足りない部分を補い合う相補効果がある。
オ 同業種の M&A のメリットは、基本的には、規模の経済と経験効果の実現であるが、同業種間であるため各々の組織文化の調整と統合にはコストがかからない。解答:オ
多角化とM&Aに関する基本的な問題です。
では、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アですが、M&Aの準備段階では機能の重複や補完関係についての調査や、被買収先の内部統制上の問題を明確化することでM&Aのリスクを低下させることが重要となります。したがって、適切な記述です。
選択肢イですが、異業種のM&Aのメリットは範囲の経済性により自社の事業のリスクを分散することにありますが、買収された企業に自社に不必要な経営資源、例えば余剰となる従業員や設備が含まれてしまうリスクがあります。したがって、適切な記述です。
選択肢ウですが、企業の主要市場での需要の低下は新たな需要のある市場を求めた他の市場への参入という外部の成長誘因になります。したがって、適切な記述です。
選択肢エですが、多角化の効果として相乗効果と相補効果があります。相乗効果とは複数の事業の組み合わせにおいて情報的資源を同時に多重利用することで発生する効果をいいます。相補効果とは複数の事業の組み合わせにより、各製品市場分野での需要変動や資源制約に対応し、需要変動の平準化や余剰資源の有効活用に結び付く効果です。したがって、適切な記述となります。
選択肢オですが、同業種のM&Aのメリットは基本的に規模の経済と経験効果の実現ですが、同業種であっても組織文化はそれぞれ固有のモノであり、調整と統合にはコストがかかります。したがって、不適切な記述です。
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