ア 社内等級ごとに求められる職務遂行能力の定義や、その定義に基づいた実際の能力評価は、社外で普及しているさまざまな職業資格の体系に準拠して行われる。
イ 従業員の職務遂行能力の上昇が認められれば、たとえそれに見合う上位階層のポストや職務が社内で用意できなくても、社内等級は上げることができる。
ウ 職種ごとに職務遂行能力の定義が行われているため、従業員の職種をまたぐ異動、ひいてはゼネラリスト育成には適さない。
エ 職務遂行能力は職務の経験年数に応じて上昇するため、職能資格制度は年功主義的な人事管理の基盤となる。
解答:イ
職能資格制度は、1970年代後半以降に広く普及した制度で、様々な職能を困難度や責任度などにより区分した職能資格を設定し、それに基づいて処遇を決定する制度です。一般的には、職能資格上の昇格が先になり、基準以上の職能資格の従業員の中から、役職上で昇進する従業員が選抜されます。これにより、企業は役職のポスト不足に対応してきました。
では、選択肢を見ていきましょう。
選択肢アですが、社内等級ごとの職務遂行能力の定義や、実際の能力評価は、それぞれの職場の性質等によりさまざまに決められますので、社外で普及している様々な職業資格の体系に準拠して行われるわけではありません。従って、不適切な選択肢です。
選択肢イですが、職能資格と役職は必ずしも一致しません。それは、役職はポストがあかなければ就けられないからです。従って、職務遂行能力の上昇が認められれば社内等級は上げられますが、ポストや職務が社内になければ、役職は上げることができないという記述は適切です。
選択肢ウですが、我が国では職種ごとに職務遂行能力の定義が行われていても、職能資格によって、従業員の職種をまたぐ異動やゼネラリスト育成が広く行われていますので、不適切な記述です。
選択肢エですが、職能資格制度では、年功主義的な人事管理の基盤とならないよう、勤務年数ではなく、職務遂行能力を定めることで年功主義により生じるデメリットを回避することができます。従って、不適切な記述です。
中小企業診断士 1次2次合格コース
|
すべてのコースを見る |