データベースは近年の情報システムの要ともなっている。その開発の成否が情報システムのパフォーマンスに多大な影響を及ぼす。データベースに関する記述として最も適切なものはどれか。
ア システム開発におけるリポジトリとは、データだけではなくソフトウェア開発および保守における情報、例えば、プログラム間の関連、各種図表なども一元的に管理するためのものである。
イ スキーマとは、データベース上のデータ内容、データ構造などを記述したものを指すが、このうち概念スキーマとは、利用者やアプリケーションプログラムから見たデータの定義を意味する。
ウ データベースの設計は、データ分析、概念設計、論理設計、物理設計の順になされるが、ER 図は物理設計の際に用いられる有用なツールである。
エ ネットワークデータベースは、ひとつのテーブルに記録するデータのレコード間に親子関係のような1対多の関係性を持たせたデータベースである。
解答:ア
経営情報システムから、データベースの設計と管理に関する出題です。
聞き慣れない語句もありますが、データベースに関する知識があれば、消去法で正解できる問題です。
順番に記述を見ていきましょう。
選択肢アは、リポジトリに関する記述です。
リポジトリとは、ソフトウェア開発の各行程の情報を一元管理するデータベースです。リポジトリには、例としてシステムの設計情報やプログラムデータ、データの更新情報などが格納されます。よって、アの記述は適切で、これが正解となります。
参考として、他の選択肢の内容も見ておきましょう。
選択肢イは、スキーマに関する記述です。
スキーマとは、データの構造や格納方式などを記述した枠組みのことです。スキーマは、外部スキーマ、概念スキーマ、内部スキーマの3 層に分けて管理する「3 層スキーマアーキテクチャ」が標準となっています。
外部スキーマとは、データベース利用者や、アプリケーションプログラムから見たデータの定義を表現するものです。概念スキーマとは、現実世界のデータとその関係の構造をモデル化したものです。内部スキーマとは、データの物理的な格納方法を定義するものです。
イは外部スキーマに関する記述なので、不適切です。
選択肢ウは、ER 図に関する記述です。
ER 図とは、データ構造を、データの集合であるエンティティ(Entity:実体)と、エンティティ間のつながりであるリレーション(Relationship:関連)で表すものです。ER 図は、データベースの論理設計に用いられる手法です。
選択肢エは、データのモデル化に関する記述です。
データのモデル化には、主に階層モデル、ネットワークモデル、リレーショナルモデルがあります。
階層モデルのデータベースとは、データのレコード間に1対多の関係を持たせ、データを階層的に格納するモデルです。ネットワークモデルのデータベースとは、データのレコード間に多対多の関係を持たせ、データを網のような構造で格納するモデルです。リレーショナルモデルのデータベースとは、データを正規化することで、データを複数の表と、表の間の関係(リレーション)で表すモデルです。
エは階層モデルに関する記述なので、不適切です。
以上より、アが正解となります。
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