システム開発に利用されるオブジェクト指向のモデリング技法にUML(UnifiedModeling Language)がある。UMLのダイアグラムに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア アクティビティ図は、対象となるシステムとその利用者とのやり取りを表現するダイアグラムである。
イ オブジェクト図は、対象となるシステムを構成する概念・事物・事象とそれらの間にある関連を表現するダイアグラムである。
ウ シーケンス図は、オブジェクト間のメッセージの流れを時系列的に表現するダイアグラムである。
エ ステートマシン図は、活動の流れや業務の手順を表現するダイアグラムである。
オ ユースケース図は、システム内部の振る舞いを表現するためのもので、ユースケースをまたがったオブジェクトごとの状態遷移を表現するダイアグラムである。
解答:ウ
本問では、UMLのダイアグラムについて問われています。
UMLについて、代表的なダイアグラムを理解していれば解答できる問題です。令和2年度に類似の問題が出題されています。
まずは、UMLについて復習をしておきましょう。
UMLは、システム開発に利用されるオブジェクト指向のモデリング技法を言います。UMLでは、システム開発の様々な段階で使用する、各種の図表が定義されています。代表的な図表を見ておきましょう。
ユースケース図は、要件定義などの上流工程で、業務の機能を表現するために使われます。機能をユースケースで表し、機能を利用する人や外部システムをアクターで表し、その関係を矢印で示します。
クラス図は、オブジェクトの「型」を定義するものです。クラスは、オブジェクトに含まれるデータの種類や、処理であるメソッドの種類を定義したものです。
シーケンス図は、オブジェクト間の処理プロセスを表した図です。シーケンス図は、設計段階で処理内容を表すときに良く使われます。
では、選択肢についてみていきます。
選択肢アでは、アクティビティ図について問われています。アクティビティ図は、業務や処理における開始から終了までの実行手順を、実行順に従い表現するものです。「対象となるシステムとその利用者とのやり取りを表現する」のは、ユースケース図です。よって、不適切です。
選択肢イでは、オブジェクト図について問われています。オブジェクト図は、クラス図で表現されたクラスに対して、それを具体化したオブジェクトで表現する図です。選択肢イは、クラス図の説明です。クラスとは、システムを構成する概念や事物などの中に含まれるデータの種類や処理であるメソッドの種類を定義したものです。クラス図では、このようなクラスの構造とそれらの間にある関連を表現します。よって、不適切です。
選択肢ウでは、シーケンス図について問われています。シーケンス図は、オブジェクト間の処理プロセスを表し、オブジェクト間のメッセージの流れを時系列的に表現するダイアグラムです。よって、選択肢ウは適切で、これが正解です。
選択肢エでは、ステートマシン図について問われています。ステートマシン図は、システム内部の振る舞いを表現するための図であり、ユースケースを跨ったオブジェクトごとの状態遷移を設計するものです。「活動の流れや業務の手順を表現する」のは、アクティビティ図の説明です。よって、不適切です。
選択肢オでは、ユースケース図について問われています。ユースケース図は、対象となるシステムとその利用者とのやり取りを表現するダイアグラムです。「システム内部の振る舞いを表現するためのもので、ユースケースをまたがったオブジェクトごとの状態遷移を表現する」のは、ステートマシン図の説明です。よって、不適切です。
UMLの図表は様々な種類がありますが、少なくとも、テキストで説明されているような頻出の図表に関しては、しっかり理解しておきましょう。
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