経営情報システム 令和2年 第16問 - 情報システムの移行

ピックアップ過去問解説

問題

 既存の情報システムから新しい情報システムに移行することは、しばしば困難を伴う。

システム移行に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 移行規模が大きいほど、移行の時間を少なくするために一斉移行方式をとった方が良い。

イ オンプレミスの情報システムからクラウドサービスを利用した情報システムに移行する際には、全面的に移行するために、IaaS が提供するアプリケーションの機能だけを検討すれば良い。

ウ 既存のシステムが当面、問題なく稼働している場合には、コストの面から見て、機能追加や手直しをしたりせず、システム移行はできるだけ遅らせた方が良い。

エ スクラッチ開発した情報システムを刷新するためにパッケージソフトウェアの導入を図る際には、カスタマイズのコストを検討して、現状の業務プロセスの見直しを考慮する必要がある。


解答・解説

解答:エ

 本問では、情報システムの移行について問われています。

システムの移行に関する具体的な状況が問われており、システム関連業務をされている方以外にはイメージし難い部分もあると思いますが、設問文を丁寧に検討することで正答を選択できる問題です。

順番に記述を見ていきましょう。

選択肢アは、運用中システムの一斉移行方式に関する記述です。情報システムの一斉移行方式とは、運用中の旧システムから新システムへ移行する際、旧システムを停止し、新システムへ完全に切り替える移行方式のことです。一斉移行方式には、移行にかかる時間が小さいというメリットがあります。しかし、段階的に移行する方式に比べ、一斉移行時の作業負荷やトラブルが発生した際の影響が大きくなるなどのデメリットがあります。そのため、移行規模が大きい場合よりも、規模が小さい場合に向いた方式といえます。よって選択肢アは不適切です。

選択肢イは、オンプレミスの情報システムからクラウドサービスを利用した情報システムへの移行に関する記述です。まず、オンプレミスとは、自社でシステムを保有する形態のことです。また、IaaS(Infrastructure as a Service)は、コンピュータやネットワーク等のインフラのみをクラウドコンピューティングとして提供するサービスのことであり、自由度の高いシステム構築や運用ができることが特徴です。したがって、オンプレミスの情報システムからクラウドサービスを利用した情報システムへの全面移行する際、IaaSを利用することは問題ありません。しかし、IaaSではアプリケーションを提供することはありません。前述のとおり、IaaSではインフラのみ提供されますので、その他の開発環境・ミドルウェア・アプリケーションなどはユーザ側が自前で用意する必要があります。よって選択肢イは不適切です。

選択肢ウは、システム移行のタイミングに関する記述です。情報システムの移行には、必ずコストが発生します。そのため、既存のシステムが問題なく稼働している場合は、システム移行をしない方が当面のコストは抑えることができる場合もあります。ただし、一時的にコストが発生することがあっても、遅滞なくシステム移行を実施したり、機能追加を実施したりした方が、将来を見据えた場合のトータルコストが低くなることも考えられます。また、旧システムのままだと経営戦略を推進するうえで問題があるなど、単純に金銭的コストだけでは測れないデメリットがある場合もあります。以上のように、システム移行のタイミングについては、一時的なコストだけで判断するべきものではありません。よって選択肢ウは不適切です。

選択肢エは、スクラッチ開発した情報システムを刷新する際のパッケージソフトウェアの導入に関する記述です。まず、スクラッチ開発とは、1からオリジナルでシステムを開発することです。スクラッチ開発した情報システムを刷新するためにパッケージソフトウェアを導入する際、必ず、現状の業務プロセスに合わない部分が出て来ます。そのため、パッケージソフトウェアのカスタマイズが必要になりますが、このカスタマイズのコストを抑えるため、現状の業務プロセスの見直しは有効です。また、パッケージソフトウェアに内包された業務プロセスはベストプラクティス(最良の方法・成功事例などの意)と呼ばれるものであり、できるだけ現状の業務プロセスをパッケージソフトウェアに内包された業務プロセスに合わせることが望ましいといえます。

以上より、選択肢エは適切であり、これが正解となります。


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