中小企業診断士のあなたは、地方都市の野菜の卸会社であるE株式会社を訪問した際に、そこの社長との間で次のような会話を交わした。この会話の中の空欄A~Dに入るものとして、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。
社 長:「うちの会社で取り扱っている、この地域の地名○○に野菜の普通名称▽▽を組み合わせてこれを商品「○○▽▽」とする野菜▽▽は、この地域の特産品ですが、2~3年前から隣接他県でも知られるところとなり、引き合いも多く、取扱高も増えています。ところが、人気が出てきたせいか、最近この地域以外で生産された野菜▽▽にまで○○の地名を付けて「○○▽▽」の商品名で出荷されてくるようになってきています。この地域の活性化を図る旗振り役を務めている私としては、これ以上他地域で生産された野菜▽▽に、この地域の地名○○を組み合わせた「○○▽▽」の商標が使用されないようにするために、何とかしたいと考えていますが、何か方法はありませんか。ほら、何とかという地域ブランドの登録制度があると聞いていますが。」
あなた:「それは( A )のことではないかと思います。確か平成18 年の4月から登録が認められるようになっています。」
社 長:「そうそう、それそれ、それってうちの会社でも出願することができるのですかね。会社でだめならば私個人でも構いませんが‥‥。」
あなた:「いや、この( A )も( B )ですから、確か株式会社ではだめだと思いますよ。社長個人でもだめだと思います。」
社 長:「それでは一体誰が登録出願をすればよいのですか。」
あなた:「この場合は、この地域の( C )が最適と考えます。」
社 長:「あ、そう、なるほどね。それではこの地域の( C )には私の幼なじみがいるので、早速話をしてみましょう。その他に、この( A )を取得するのに必要なことはありませんか。」
あなた:「そうですね。この野菜▽▽の商品名「○○▽▽」は隣接他県にも知られているようですが、ただ出願しただけでは足らず、必ず( D )を証明する資料が必要のようです。詳しくは私の友人である弁理士を紹介いたしますので、相談してみてください。」
[解答群]
解答:エ
経営法務から、商標権の制度に関する問題です。不適切なものを選択する問題となっています。商標権の制度と特徴を覚えていた人は、正解できる問題です。
早速、設問の記述を見ていきましょう。
空欄Aには、「地域団体商標」が入ります。
地域団体商標制度は、地域名に商品の普通名称を組み合わせた商標を登録できる制度です。例えば、「夕張メロン」のような地域名と普通名称を組み合わせた名称が、地域団体商標制度によって商標登録できます。平成18 年に、地域ブランドを育成するために制定されました。
この地域団体商標制度は、団体商標制度の一つです。事業協同組合などの法人格を有する組合が出願することができる一方、個人や株式会社、NPO 法人、社団法人、財団法人などは出願がすることができません。
よって、空欄Bには「団体商標」が、空欄Cには「農業協同組合」が入ります。
また、地域団体商標では、全国的な知名度は必要ありませんが、隣接する都道府県程度に及ぶ周知性は必要になります。よって、空欄Dには「周知性」が入るため、エが正解となります。
商標権は頻出分野ですので、しっかり復習しておきましょう。
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