次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
画面デザインとは、家電や各種情報機器等の表示部に表示される画像のデザインのことをいうが、意匠法では、【 A 】と密接な関係にある画面のデザインについて機器に表された状態で物品を構成する要素として保護の
対象としている。具体的には、携帯電話機、デジタルカメラ、カーナビ、炊飯器、掃除機、複写機等において、【 B 】に用いられる画像や、その画像がなければ機器として成り立たないような画像が保護の対象となる。
しかし、意匠法は物品の【 C 】、模様若しくは色彩又はこれらの【 D 】を保護の対象としており、物品ごとに意匠が成立し、物品を離れて意匠は存在しないものである。
(設問1)
文中の空欄A~Dに入るものとして、最も不適切なものはどれか。
解答:ウ
経営法務から、意匠権(画面デザイン)に関する出題です。
知的財産権の中では、意匠権は比較的出題が少ない分野です。
(出題が多いのは、特許権、商標権です。)
そのため、意匠権は、基本的な内容を押さえておき、試験で基本的な問題が出た時に、確実に点を取れるようにしておくのが、勉強方法としては効率的です。
(難しい問題が出た時も、消去法で対応すれば、正解できる確率は上がります。)
本問は、「画面デザイン」という、少し専門的な内容を扱っているため、知らなかった方も多いかもしれません。
しかし、意匠権の基礎知識があれば、本問は正解することができます。
では、意匠権を簡単に復習した上で、問題を見ていきましょう。
意匠権は、デザインである意匠を保護するための権利です。
意匠権では、物の形状や模様、色など、外観的な特徴を保護します。
意匠法では、意匠は「物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されています。
ここまで知ってさえいれば、本問を解くには十分です。
設問を見ると【 C 】の部分が、「構造」となっています。これは、正しくは「形状」でなくてはいけません。意匠が、「デザイン」ということを知っていれば、簡単に分かりますね。
よって、選択肢ウは不適切なため、これが正解となります。
本問を解くにはこれで十分ですが、「画面デザイン」について少し補足をしておきます。余裕のある方は覚えておくと良いでしょう。
平成19年の意匠法の改正で、画面デザインの保護が拡充されました。
画面デザインというのは、家電や情報機器等の表示部に表示される画像のデザインのことです。
意匠法では、機器の機能と密接な関係にある画面デザインについて、物品を構成する要素として保護の対象としています。
改正された意匠法では、「物品の機能を発揮するための操作」に使用される画像であれば保護の対象とされることになりました。
例えば、携帯電話のメニュー画面などは、「物品の機能を発揮するための操作」に必要な画像と考えられます。そのため、携帯電話という物品を構成する要素として意匠登録し、保護することが可能です。
ちなみに、ソフトウェアのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)など、特定の物品に結びつきのない画面デザインは、物品の構成要素とは認められず、保護の対象とはなりません。
また、意匠登録を受けるためには、従来の意匠と同様に画像を含む物品のデザインが新規でかつ容易に創作できるものではないこと等の要件を満たす必要があります。
ここまで知っていれば、【 A 】が「機器の機能」、【 B 】が「操作」であることが分かります。
今日の問題は、一見難しそうですが、基礎知識で解ける問題でした。
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