著作物の引用 - 中小企業診断士 経営法務 令和2年 第15問

ピックアップ過去問解説

問題

 著作権法上、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用できる「著作物の引用」となり得る行為として、最も適切なものはどれか。

ア 引用することができる著作物を翻訳して利用すること。

イ 公表されていない著作物を利用すること。

ウ 複製の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により著作物の出所を明示しないで、著作物を複製すること。

エ 報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲を超えて著作物を利用すること。


解答・解説

解答:ア

本問では、著作物の引用について問われています。著作物の引用に関して、やや細かい知識も求められる問題です。

著作権者以外の人が、無断で著作物を利用した場合は、著作権の侵害となります。ただし、著作権者の許諾が無くても、著作物を利用できる場合が幾つか定められています。その1つが著作物の引用です。著作物の引用は、一定の要件のもとで認められています。この場合は、引用の必然性があること、正当な範囲内であること、引用の出所を明記すること、引用部分とそうでない部分が明確に区別できることなどの要件に従っている必要があります。

それでは、順番に選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは、著作物の引用にあたっての翻訳に関する記述です。

著作権法では、引用することができる著作物について、それを翻訳して利用することも認められています(著作権法第47条の6)。

よって、アの記述は適切で、これが正解となります。

参考として、残りの選択肢も見ておきましょう。

選択肢イは、公表されていない著作物の引用に関する記述です。
著作権法では、「公表された著作物は、引用して利用することができる」(著作権法第32条)とされており、引用できるのは公表された著作物とされています。公表されていない著作物の引用は認められておりませんので、イの記述は不適切です。

選択肢ウは、引用における出所の明示に関する記述です。
著作物の引用にあたっては、出所の明記が求められています。著作物の出所は、「その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない」(著作権法第48条)とされています。よって、ウの記述は不適切です。

選択肢エは、著作物の引用の要件に関する記述です。
著作物の引用は正当な範囲内でのみ認められており、「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない」(著作権法第32条)と定められています。よって、エの記述は不適切です。

著作物の引用について、どのような場合に認められるか理解しておきましょう。

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経営法務

 6-3 著作権と不正競争防止法 著作権の効力

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