不正競争防止法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 不正競争防止法第2条第1項第3号に規定するいわゆるデッドコピー規制による保護期間は、日本国内において最初に販売された日から起算して5年を経過するまでである。
イ 不正競争防止法第2条第1項第4号乃至第10号で規定される営業秘密とは営業上の情報のみならず、技術上の情報を含む。
ウ 不正競争防止法第2条第1項第4号乃至第10号で保護される営業秘密となるためには、秘密管理性、有用性、創作性が認められる必要がある。
エ 不正競争防止法第2条第1項第4号乃至第10号で保護される営業秘密は、条件を満たせば不正競争防止法第2条第1項第11号乃至第16号で保護される限定提供データにもなる。
解答:イ
本問は、不正競争防止法に関する問題です。商品形態模倣行為、営業秘密不正行為、限定提供データ不正行為について問われています。複数の選択肢でやや細かい論点も含まれています。
まずは、商品形態模倣行為、営業秘密不正行為、限定提供データ不正行為について、簡単におさらいしておきましょう。
商品形態模倣行為は、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡したり貸し渡しなどをする行為です。
営業秘密不正行為は、企業の内部で秘密として管理されている情報を、不正な手段で取得、使用したり、他人に開示する行為です。ここで、「営業秘密」というのは、秘密として管理されていること(秘密管理性)、有用であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)を満たすものを表します。
限定提供データ不正行為は、営業秘密には当たらないものの、IDとパスワードで管理された相手方を限定して提供されるデータを、不正な手段で取得、使用したり、他人に開示する行為です。
ここまでを押さえた上で、順番に選択肢を見ていきましょう。
選択肢アは、商品形態模倣行為に関する記述です。
不正競争防止法第2条第1項第3号に規定されているのは、商品形態模倣行為です。条項の号数まで覚えていなくても、「デッドコピー規制」とあることから商品形態模倣行為を指していると分かります。
商品形態模倣行為について適用除外が定められており、日本国内において最初に販売された日から「3年」を経過した商品については適用されません。選択肢アでは、保護期間は、日本国内において最初に販売された日から起算して「5年」としています。よって、アの記述は不適切です。
選択肢イは、営業秘密に関する記述です。
不正競争防止法で規定されている営業秘密とは、企業の内部で秘密として管理されている情報であり、生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報とされています。営業上の情報だけでなく技術上の情報を含みます。よって、イの記述は適切であり、これが正解です。
選択肢ウも、営業秘密に関する記述です。
営業秘密は、秘密として管理されていること(秘密管理性)、有用であること(有用性)、公然と知られていないこと(非公知性)を満たすものを表します。創作性は要件として求められておりませんので、ウの記述は不適切です。
選択肢エは、営業秘密と限定提供データ不正行為の関係についての記述です。
限定提供データ不正行為は、営業秘密には当たらないデータ(ID、パスワード等で管理されているもの)について、不正な手段で取得、使用したり、他人に開示する行為です。
不正競争防止法では、限定提供データに関して「秘密として管理されているものを除く」と規定されており、明確に区分されています。そのため、営業秘密は限定提供データにはなりません。よって、エの記述は不適切です。
特に、商品形態模倣行為や営業秘密不正行為については、しっかり復習しておきましょう。
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