看護師の国家試験は近年情報量が多くなり、最後の問題までたどり着けない受験生もいると言います。ただでさえ問題数の多い看護師国家試験を効率よく突破するには、どのように勉強を進めればよいのでしょうか。今回も引き続き、看護師国家試験対策講座 山路未来先生にお話を伺いました。
たくさんの科目かつ広範囲から出題されることが一番の特徴です。合格基準点は、必修科目が80%、一般問題と状況設定問題がだいたい60~70%で推移しています。すべての科目を網羅しておかなければならないので、捨て科目はつくれません。必修問題であれば基礎看護の分野から多く出るという傾向はあります。しかし、だからといって8割取らなければならない必修科目を落とさないためにも、1科目まるまる捨てることは避けたいですね。
最近の傾向としては、状況設定問題で問題文の情報量が増えています。つまり、多くの情報をアセスメントして患者さんへの看護ケアを考える力が問われる問題が増えてきたと言えるでしょう。より実践に近い形での応用力が試されるようになっているなと感じます。
状況設定問題では、その場面の状況を自分で理解して、何が必要かを考えていかなければなりません。長い文章を読んで、どれが大事な情報なのかを判断して取り出す力、その情報をアセスメントする力が試されているところが難しいと思います。
また、身体はつながっているので、一人の患者さんのことを全科目の知識から見ていかなければなりません。総合力や応用力にもつながるそういう力を養うためには、まずは基礎知識をしっかり身に着けることが必要です。知識が蓄積してくると、個々の知識がどんどんつながってきて楽しくなるのですが、そこまでたどり着くのが難しいのかなとも思います。
看護師国家試験は午前・午後とも120問を2時間40分で解かなければなりません。つまり、1問あたり1分半ほどで解かなければならない計算になります。ただ、後半に出てくる状況設定問題を1分半で解くことは難しいでしょう。また、疲れているところに長い文章を読まされるので、文章を読むのがニガテな方は制限時間内に最後の問題までたどりつかないという話も耳にします。
しかし、実は科目ごとに「この情報をつまんで読むととても解きやすくなる」というテクニックがあるので、それのテクニックを習得すれば最後までたどり着けるようになるでしょう。たとえば母性看護学であれば、産褥・出生何日目なのかでバイタルの正常範囲が変わってくるので、産褥・出生の問題が出たら何日目なのかをまず確認して、それを念頭に置きながら解く。そういうテクニックを、スタディングではお伝えしています。
その方が通っている学校によって実習の時期が異なるので、一概には言えません。受験の前年の夏頃に終わる学校もあれば、冬まで実習が入っている学校もあります。
なので、実習が夏頃に終わって余裕をもって国家試験の勉強を始められるパターンでいうと、夏までに基礎講座の「基礎医学」から「看護の統合と実践」まで1周しておくとよいですね。記憶はまだしなくてよいので、まずは理解することに専念しましょう。
理解できないところは理解できるようになるまで何度も講義動画を観る。講義動画を理解した後はスマート問題集も100%解けるようになるまで何度も解く。ここまで取り組んでおくとあとは楽ですね。
あとは秋から冬にかけて講義動画とスマート問題集をもう一周して、今度はセレクト過去問が100%正解できるまで解く。これを年内にできていればいいですね。あとの残り1ヶ月半はそれをずっと繰り返すだけなので。
どんなに時間がなくても、講義動画とスマート問題集の1周目は期間を決めずにとにかく理解することに努めましょう。それが終わったら、セレクト過去問を含めてできる限り多く回します。1~2周めはすごく時間がかかると思いますが、3周めにもなればかかる時間は1~2周めよりも短くなると思います。あとはそれを試験日まで何度でも繰り返すだけですね。
スタディングの看護師国家試験対策講座は、もともとあまり時間のない方でも2ヶ月くらいで仕上げられるように作っています。なので、冬まで実習がつまっていて試験勉強の時間が思うように取れない方でも、本人の努力次第で十分合格できると思います。
集中できる時間に集中する、ダラダラやらないということですね。人間の集中できる時間は決まっていると思うので、たとえば「土曜日に休みが取れるから土曜日に10時間勉強しよう」ではなくて、1時間×2回×5日に分けて勉強するほうがよいでしょう。
たとえば、大学や予備校の講義で90分間や120分間ずっと集中し続けることは不可能ですよね。ダラダラ時間をかけて勉強するよりも、要領をつかみながら30分で勉強するほうが効率も上がります。2時間あれば30分の勉強を4回繰り返せますからね。そのように短い時間で集中して勉強することを繰り返せば、短期合格できると思います。スタディングでは集中して勉強していただくためにひとつの単元を30分程度にしているので、スタディングも大いに活用していただきたいですね。
看護師になった自分を想像しながら勉強することです。決して「患者さんにこういうケアをしたい」というだけではありません。憧れの病院で働く姿や、看護師の仕事をしていただいたお給料で旅行している姿など、「看護師になってしたいこと」「看護師としてなりたい姿」を思い浮かべてみましょう。そうしてワクワクウキウキしながら勉強するのが、モチベーション維持の何よりの秘訣です。
そして、「したいこと」「なりたい姿」を身近に感じられるようにしておくことも重要です。実際に働きたい病院があるならその病院のウェブサイトを毎日チェックするでもいいし、旅行したい場所の写真をスマホの壁紙にするでもいいでしょう。着たいナース服があれば、その写真を常に目に付く場所に貼っておくでもいいですね。とにかくなりたい自分を想像するのが一番心の底から湧き上がってくるモチベーションになるだろうと考えています。
集中して勉強できる場所や時間帯をまずは見つけることです。人によって集中できる場所は異なりますので、カフェや図書館などいろんなところに行ってみて、勉強のはかどる場所を探しましょう。
また集中できる時間帯も人それぞれなので、自分の集中できる時間帯を見つけてください。私の場合、今は午前中ですね。朝8時から走りに行くのですが、9時前に帰宅して9時から12時は絶対集中する時間と決めています。大学院受験をしたときは、仕事が終わるのが17時頃なので、17時半~20時半など、「3時間は絶対集中する時間をつくる」と決めて勉強していました。ただ、最低でも2ヶ月は継続して勉強しなければならないので、どの時間帯を取ったとしても必ず睡眠はしっかりとりましょう。
試験会場にたどり着くまでの時間は、記憶系のものに取り組んだほうがよいですね。スタディングを使うなら、理解があいまいになっている科目の「今日のまとめ」を見直すだけでも、得点アップに結びつくと思います。
ただ、「あと数分で試験が始まる」というタイミングになると、どれだけ詰め込んでも身になりません。なので、試験開始10分前を切ったら「自分はここまで全力でやったんだから大丈夫」と自分に言い聞かせて、本来の自分を取り戻すための時間にしたほうがよいでしょう。
ガイダンスでもお伝えしていますが、実習が身体的にも精神的にも大変だったという方はいっぱいいると思います。まずはそれを乗り越えて受験資格を手に入れた自分のことを誇ってください。
あとはもう試験に受かるだけです。この試験に受かれば看護師になれるんです。それを乗り越えていただくために、全力でこの講座を作りました。これをうまく使って合格して、なりたい自分を実現してほしいですね。みなさんが看護師として多方面で活躍されることを楽しみにしています。
山路 未来(やまじ みく) プロフィール
北里大学看護学部卒。大学病院救命救急センター、地域病院の救急外来勤務を経験。 救急看護領域の経験を生かし、国際NGOで勤務。国際NGOでの災害・緊急支援活動の経験から、大学や専門学校、高校などの教育機関や企業のセミナーで講師を務める。 東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻 母性看護学・助産学分野修了。修士。博士課程中退。 看護師・保健師・助産師資格保有。 2女1男の母。日々子育てに奮闘中。 |