行政書士のQ&A
行政法・国家賠償に関する質問です。 テキストと過去問の解説…
行政法・国家賠償に関する質問です。
テキストと過去問の解説で説明が矛盾しているように読めたため、どのように理解すればよいか分からずご相談です。
■テキスト(行政法2・P7)
通達
法規としての性質を有しない通達の違法性について、判例は、以下のように判示します。
判例 最判平19・11・1
国の担当者が、原爆医療法及び原爆特別措置法の解釈を誤り、原爆医療法に基づき被爆者健康手帳の交付を受けた被爆者が国外に居住地を移した場合には、原爆特別措置法は適用されず、同法に基づく健康管理手当等の受給権は失権の取扱いとなる旨定めた通達を作成、発出し、その後、上記二法を統合する形で被爆者援護法が制定された後も、平成15年3月まで上記通達に従った取扱いを継続したことは、公務員の職務上通常尽くすべき注意義務に違反するものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法なものであり、当該担当者には過失がある。
■過去問(13年分過去問)
問題 4 国家賠償法(1条)【平成29年 第20問】
国家賠償法1条に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。
肢1.通達は、本来、法規としての性質を有しない行政組織内部の命令にすぎず、その違法性を裁判所が独自に判断できるから、国の担当者が、法律の解釈を誤って通達を定め、この通達に従った取扱いを継続したことは、国家賠償法1条1項の適用上も当然に違法なものと評価される。
<解説>
1 妥当でない。最高裁判所は「担当者の発出した通達の定めが法の解釈を誤る違法なものであったとしても、そのことから直ちに同通達を発出し、これに従った取扱いを継続した上告人の担当者の行為に国家賠償法1条1項にいう違法があったと評価されることにはならない。」と判示しています(最判平19・11・1)。「当然に違法なものと評価される」とする本肢は妥当ではありません。
判例 最判平19・11・1
上告人の担当者の発出した通達の定めが法の解釈を誤る違法なものであったとしても、そのことから直ちに同通達を発出し、これに従った取扱いを継続した上告人の担当者の行為に国家賠償法1条1項にいう違法があったと評価されることにはならず、上告人の担当者が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と上記行為をしたと認められるような事情がある場合に限り、上記の評価がされることになるものと解するのが相当である。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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