行政書士試験ピックアップ過去問解説
行政法-行政事件訴訟法(総合) 令和元年第19問

問題

 抗告訴訟に関する次の記述について、正しいものはどれか。


  1. 裁判所は、処分または裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者または当該行政庁の申立てを待たず、当該行政庁を職権で訴訟に参加させることができる。

  2. 処分の取消しの訴えにおいて、裁判所は職権で証拠調べをすることができるが、その対象は、訴訟要件に関するものに限られ、本案に関するものは含まれない。

  3. 取消訴訟の訴訟物は、処分の違法性一般であるから、取消訴訟を提起した原告は、自己の法律上の利益に関係のない違法についても、それを理由として処分の取消しを求めることができる。

  4. 裁判所は、処分の取消しの訴えにおいて、当該処分が違法であっても、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度および方法その他一切の事情を考慮した上、当該処分を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、当該訴えを却下することができる。

  5. 行政庁に対して一定の処分を求める申請を拒否された者が、処分の義務付けの訴えを提起する場合、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、処分の義務付けの訴えのみを単独で提起することができる。

解答・解説

解答:1

1 正しい。
裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもって、その行政庁を訴訟に参加させることができます(23条1項)。

■訴訟参加
 裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときには、当事者若しくはその第三者の申立て又は職権で、決定をもって、その第三者を係属中の訴訟に参加させることができます(22条1項)。
 また、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁も必要な場合に、当事者若しくはその行政庁の申立て又は職権により参加させることができます(23条1項)。

2 誤り。
裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができます(24条本文)。職権証拠調べの対象を訴訟要件に関するものに限っているわけではありません。

3 誤り。
取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができません(10条1項)。

この規定は、原告適格の有無の問題ではなく、原告適格が認められたことを前提として、本案審理において主観訴訟である取消訴訟の性質上、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができないとするものです。

4 誤り。
本肢の事情判決は、裁判所が当該請求を棄却することができるのであり、請求を却下するわけではありません(31条1項前段)。

5 誤り。
申請の拒否をされた場合の義務付けの訴えにおいては、処分に係る取消訴訟又は無効等確認の訴えを併合提起しなければなりません(37条の3第2号)。「処分の義務付けの訴えのみを単独で提起することができる」とする本肢は誤りです。


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