行政書士試験ピックアップ過去問解説
行政法-行政手続法(行政指導) 令和元年第11問

問題

 行政指導についての行政手続法の規定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


  1. 法令に違反する行為の是正を求める行政指導で、その根拠となる規定が法律に置かれているものが当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、何人も、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。

  2. 行政指導は、行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいい、その相手方が特定か不特定かは問わない。

  3. 地方公共団体の機関がする行政指導のうち、その根拠が条例または規則に置かれているものについては、行政手続法の行政指導に関する定めの適用はないが、その根拠が国の法律に置かれているものについては、その適用がある。

  4. 行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨および内容ならびに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。

  5. 行政指導指針を定めるに当たって、行政手続法による意見公募手続をとらなければならないとされているのは、当該行政指導の根拠が法律、条例または規則に基づくものに限られ、それらの根拠なく行われるものについては、意見公募手続に関する定めの適用はない。

解答・解説

解答:4

1 誤り。
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができます(36条の2第1項本文)。「何人も」とする本肢は誤りです。

2 誤り。
行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいいます(2条6号)。「特定か不特定かは問わない」とする本肢は誤りです。

3 誤り。
地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠となる規定が国の法律に置かれていても、行政手続法の行政指導に関する定めの適用はありません3条3項)。

■地方公共団体等がする処分等に関する適用除外事項
地方自治の本旨を尊重することから、地方公共団体の機関がする以下の事項については行政手続法の第1章の総則と第7章の補足の規定しか適用されないこととされています(3条3項)。
・その根拠となる規定が条例又は規則に置かれている処分
・通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれている届出
行政指導
命令等を定める行為


4 正しい。
行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければなりません(35条3項)。

5 誤り。
意見公募手続を必要とする行政指導指針とは、同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときにこれらの行政指導に共通してその内容となるべき事項をいいます(2条8号ニ)。「行政指導の根拠が法律、条例または規則に基づくものに限られ」とする本肢は誤りです。


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