行政書士試験ピックアップ過去問解説
憲法-社会権 平成20年第4問

問題

次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。


  1. 憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講じるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられている。
  2. 国は、子ども自身の利益のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるために、必要かつ相当な範囲で教育の内容について決定する権能を有する。
  3. 労働基本権に関する憲法上の規定は、国の責務を宣言するもので、個々の国民に直接に具体的権利を付与したものではなく、国の立法措置によってはじめて具体的権利が生じる。
  4. 労働基本権は、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであって、それ自体が自己目的ではなく、国民全体の共同利益の見地からの制約を受ける。
  5. 憲法が義務教育を定めるのは、親が本来有している子女を教育する責務をまっとうさせる趣旨によるものであるから、義務教育に要する一切の費用を当然に国が負担しなければならないとは言えない。

解答・解説

解答:3

1 正しい。最高裁判所は、「憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用であるような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない」と判示しています(堀木訴訟上告審。最大判昭57・7・7)。


2 正しい。最高裁判所は、「は、子ども自身の利益の擁護のため、あるいは子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についてもこれを決定する権能を有する」と判示しています(旭川学テ事件。最大判昭51・5・21)。

3 誤り。最高裁判所は、「生存権」については、「憲法25条は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではない」と判示しています(朝日訴訟。最大判昭42・5・24)。しかし、本肢の労働基本権については、上記のように判示しているわけではありません。なお、労働基本権については、憲法28条により直接保障されているとするのが判例です(三井美唄労組事件。最大判昭43・12・4など)。


判例 三井美唄労組事件(最大判昭43・12・4)
憲法28条は、この趣旨において、企業者対労働者、すなわち、使用者対被使用者という関係に立つ者の間において、経済上の弱者である労働者のために、団結権、団体交渉権および団体行動権(いわゆる労働基本権)を保障したものである


4 正しい。最高裁判所は、「労働基本権は、勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであって、それ自体が目的とされる絶対的なものではないから、おのずから勤労者を含めた国民全体の共同利益の見地からする制約を免れない」と判示しています(全農林警職法事件。最大判昭48・4・25)。


判例 全農林警職法事件。最大判昭48・4・25
本判例は、肢4の解説における労働基本権の制約を前提として、公務員の労働基本権の制限について、以下のように述べています。

「公務員は、私企業の労働者と異なり、国民の信託に基づいて国政を担当する政府により任命されるものであるが、憲法15条の示すとおり、実質的には、その使用者は国民全体であり、公務員の労務提供義務は国民全体に対して負うものである。もとよりこのことだけの理由から公務員に対して団結権をはじめその他一切の労働基本権を否定することは許されないのであるが、公務員の地位の特殊性と職務の公共性にかんがみるときは、これを根拠として公務員の労働基本権に対し必要やむをえない限度の制限を加えることは、十分合理的な理由があるというべきである。」


5 正しい。最高裁判所は、「憲法26条2項が規定する義務教育の無償は、授業料を徴収しないことを意味し、教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものではない」と判示しています(教科書費国庫負担請求事件。最大判昭39・2・26)。


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