相続・事業承継‐遺言・遺留分
2019年9月学科第55問

ピックアップ過去問解説

問題

民法上の遺言および遺留分に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.遺言は、満15歳以上で、かつ、遺言をする能力があれば、誰でもすることができる。

2.遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を撤回することができる。

3.被相続人の兄弟姉妹に遺留分は認められない。

4.遺留分権利者は、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に限り、家庭裁判所の許可を受けて遺留分の放棄をすることができる。


解答・解説

解答:4

相続・事業承継から、遺言・遺留分に関する問題です。
遺言とは、被相続人の財産をどのように分割したいかという、最終的な意思表示です。
遺留分とは、民法で保証された法定相続人の最低限の相続分です。
いずれも改正の対象となっているため、基本的な内容は確実におさえておきましょう。


【遺言の主な要件】

遺言には、この意思を法律的に保護し実現させるためにいくつかの要件があります。
主な要件は、つぎのとおりです。

① 遺言者が15歳以上であること。
② 法律で定める形式を満たしていること。

【遺言の方式】

遺言は、民法に定められた方式に従っていない場合、無効になります。
遺言の方式は、大きくわけて普通方式と特別方式の2つに分類され、一般的には、普通方式の遺言が使われます。普通方式の遺言には3つの種類があります。

なお、自筆証書遺言は、原則として、本人が遺言の全文、日付、氏名を記入し、押印する必要があります。ただし、財産目録については、パソコンなどでの作成も可能です。

【遺留分】

遺留分とは、民法で保証された法定相続人の最低限の相続分です。

民法において、相続財産は被相続人の私有財産なので、原則として被相続人は遺言により自己の財産を自由に処分することができますが、この遺留分制度により遺言の自由が一定限度で制限されることになります。この遺留分を保有する人のことを遺留分権利者といいます。

遺留分権利者とは、法定相続人のうち、配偶者と子どもおよびその代襲相続人、並びに直系尊属だけです。

ただし、相続欠格者、相続人を廃除された者、相続を放棄した者は、遺留分権利者とはなりません。子どもが欠格や廃除で相続権を失った場合は、孫が代襲相続人となり、遺留分権利者となります。

ちなみに、胎児についてですが、民法では胎児にも相続分が認められていました。同じように、胎児にも遺留分が認められています。

なお、相続開始前の場合、家庭裁判所の許可を取ることで、遺留分を放棄することができます。

【遺留分の割合】

遺留分は、相続人によってその割合が異なります。

覚え方として、基本は法定相続分の1/2が遺留分ですが、相続人が直系尊属のみの場合は法定相続分の1/3です。


上記を踏まえて、各選択肢を見ていきましょう。


(選択肢1)適切

遺言は、遺言者が満15歳以上で通常の判断能力がある場合に作成することができます。

(選択肢2)適切

遺言者は、遺言の作成後いつでも、遺言の形式にかかわらず、遺言の全部または一部の撤回をすることができます。新旧の遺言がある場合、新しい遺言が有効となります。

(選択肢3)適切

遺留分は、民法で保証された法定相続人の最低限の相続分ですが、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

(選択肢4)不適切

遺留分については、相続の開始前に、家庭裁判所の許可を取ることで放棄することができます。相続の開始後の場合は、特に手続きを取る必要はなく、他の相続人等に対して遺留分を放棄する意思表示を行うことで、遺留分の放棄をすることができます。


この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢4が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

「6-2 遺産分割・遺言」 遺言、遺留分


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