相続・事業承継‐贈与税の計算
2019年5月学科第53問

ピックアップ過去問解説

問題

贈与税の計算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.暦年課税による贈与に係る贈与税額の計算上、基礎控除額は、受贈者が個人である場合には、贈与者1人当たり年間110万円である。

2.暦年課税による贈与に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、超過累進税率である。

3.相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、認められる特別控除額の限度額は、特定贈与者ごとに累計で2,000万円である。

4.相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律10%である。


解答・解説

解答:2

相続・事業承継から、贈与税の計算(暦年課税・相続時精算課税)に関する問題です。
贈与税の計算には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があります。 原則は暦年課税ですが、一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。


【暦年課税】

贈与税の暦年課税とは、暦の1年間(1月1日~12月31日)の間に発生した贈与に対して課税する制度です。1年ごとに計算します。

受贈者1人につき、課税価格から基礎控除額110万円を差し引き、超過累進税率を乗じて税額を算出します。

<贈与税額の計算(暦年課税)>


【相続時精算課税】

相続時精算課税とは、基本的に高齢者世代から若い世代への資金移譲を図るために、一定額までの非課税贈与を認め、相続時まで税金の繰り延べができる制度です。

■適用要件(原則)

・贈与者:60歳以上の父母または祖父母(=特定贈与者)

・受贈者:20歳以上の推定相続人である子(代襲相続人を含む)または20歳以上の孫

■相続時精算課税に係る特別控除額の内容

・特定贈与者1人につき、累計で2,500万円までの特別控除が受けられる。

・贈与を受けた財産の価額が特別控除額2,500万円を超えた部分の金額については、一律20%の贈与税が課税される。

<贈与税額の計算(相続時精算課税)>

・特定贈与者1人当たりの贈与税額

(相続時精算課税に係る課税価格-特別控除額 累計2,500万円)×税率(一律20%)=相続時精算課税に係る贈与税額


贈与税の計算については、上記2種類の課税方法の概要をおさえておけば、スムーズに解答することができます。それでは、各選択肢を見ていきましょう。


(選択肢1)不適切

暦年課税の贈与税の計算上、受贈者1人当たりの基礎控除額が年間110万円と定められています。贈与者が複数人いる場合でも、受贈者1人当たりの基礎控除額は110万円で変わりません。贈与者から贈与を受けた財産の価額の合計額から基礎控除額110万円を差し引き、その残額に対して贈与税の税率を乗じて、贈与税額が算出されます。

(選択肢2)適切

暦年課税の贈与税の税率は、超過累進税率です。つまり、暦年課税の場合、受贈者が贈与を受けた財産の価額が多くなるほど、一般的に贈与税の税率が高くなります。

(選択肢3)不適切

相続時精算課税の場合、贈与税額の計算上、贈与財産の価額から差し引くことができる特別控除額の限度額は、特定贈与者ごとに累計で2,500万円となります。例えば、相続時精算課税の適用を受けられる子が、父と母からそれぞれ相続時精算課税の贈与を受ける場合、父から受けた贈与財産の価額から2,500万円、母から受けた贈与財産の価額からも2,500万円を差し引くことができます。

(選択肢4)不適切

相続時精算課税の贈与の場合、贈与財産の価額から特別控除額を差し引いた後に適用される税率は一律20%です。


この問題は「適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢2が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

「6-4 贈与と贈与税」 贈与税の計算


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