贈与税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.契約者(=保険料負担者)が母、被保険者が父、保険金受取人が子である生命保険契約において、父の死亡により子が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象となり、贈与税の課税対象とならない。
2.扶養義務者から贈与により取得した財産のうち、生活費として通常必要と認められるものは、贈与税の課税対象とならない。
3.離婚による財産分与として取得した財産は、その価額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額等を考慮して社会通念上相当な範囲内である場合、原則として、贈与税の課税対象とならない。
4.死因贈与により取得した財産は、遺贈により取得した財産と同様に、贈与税の課税対象とならない。
解答:1
相続・事業承継から、贈与税の課税財産に関する問題です。
FP試験では、各種の贈与財産について、贈与税が課されるかどうかを問う問題が頻繁に出題されています。
特に贈与税の非課税財産については、以下の代表的な財産をおさえておきましょう。
■贈与税の非課税財産
贈与税の非課税財産とは、財産の性格や社会政策上の見地から、課税対象とされない財産のことです。代表的な非課税財産は以下の通りです。
<代表的な非課税財産>
・法人からの贈与財産
・扶養義務者からの生活費や教育費
・社交上必要であると認められる香典、贈答、見舞金等
・離婚による財産分与
・公共事業用財産
・相続開始の年に受けた贈与で相続税の課税価格に加算されるもの
・心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
・特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
■4つの贈与
なお、贈与については、4つの種類があります。これらの中で、死因贈与だけが贈与者の死亡により効力が発生するため、相続税の課税対象となることをおさえておきましょう。
【贈与の種類】
(選択肢1)不適切
生命保険契約の契約者・被保険者・保険金受取人がそれぞれ異なる場合、死亡保険金は贈与税の課税対象となります。この契約形態では、被保険者が死亡した場合、生存する契約者から、別の保険金受取人に対し、保険契約を通じて財産の移転があったものとみなされ、贈与が発生するためです。
(選択肢2)適切
扶養義務者相互間における贈与により取得した生活費・教育費のうち通常必要と認められるものは、贈与税の非課税財産となります。例えば、夫婦間の生活費のための贈与、親子間の教育費のための贈与は、通常必要と認められる金額であれば、贈与税の課税対象となりません。
(選択肢3)適切
離婚による財産分与として取得した財産は、社会通念上相当な範囲内であれば、原則として、贈与税の課税対象となりません。
(選択肢4)適切
死因贈与により取得した財産は、相続・遺贈により取得した財産と同様に、贈与税の課税対象とならず、相続税の課税対象となります。なお、死因贈与とは、贈与者(財産を渡す人)と受贈者(財産を受け取る人)との間で、「贈与者が死亡した時点で、財産を受贈者に贈与する」という契約を結ぶことをいいます。
この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢1が正解となります。
※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。
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