相続税の計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等は満たしているものとする。
1.すでに死亡している被相続人の子を代襲して相続人となった被相続人の孫は、相続税額の2割加算の対象となる。
2.相続人が被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受け、相続税の課税価格に加算された贈与財産について納付していた贈与税額は、その者の相続税額から控除することができる。
3.相続人が未成年者の場合、その者の相続税額から控除される未成年者控除額は、原則として、その者が20歳に達するまでの年数(年数に1年未満の期間があるときは切上げ)に10万円を乗じた金額である。
4.相続開始時の相続人が被相続人の配偶者のみで、その配偶者がすべての遺産を取得した場合、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受ければ、相続により取得した財産額の多寡にかかわらず、配偶者が納付すべき相続税額は生じない。
解答:1
相続・事業承継から、相続税の計算に関する各種規定に関する問題です。
この問題では、相続税額の2割加算、生前贈与加算・贈与税額控除、配偶者に対する相続税額の軽減、未成年者控除についての基礎知識が問われています。
相続税の計算に関する各種規定については、以下のような基本事項をおさえておきましょう。
■相続税額の2割加算
相続や遺贈で財産を取得した者が、配偶者および1親等の血族以外である場合、相続税額の2割相当額が加算されます。なお、孫が代襲相続により相続した場合は、加算されません。 したがって、兄弟姉妹や代襲相続人でない孫などは2割加算の対象となります。
■生前贈与加算
相続開始前3年以内に贈与された財産は、相続税の課税価格に加算されます。 ただし、「贈与税の配偶者控除(特定贈与財産)」や「住宅取得資金の贈与税の非課税制度の適用を受けた部分」は生前贈与の加算に含まれません。(贈与税の分野で説明)
■贈与税額控除
贈与税額控除とは、生前贈与加算の対象となった財産を取得した場合で、財産取得時に贈与税を納めている場合は、二重課税を防ぐため、支払った贈与税分を相続税から控除します。
■配偶者の税額軽減
配偶者の税額軽減とは、配偶者の法定相続分または1億6千万円までの金額については、相続税が課税されないというものです。ただし、これはあくまで税額控除のため、非課税というわけではありませんので、相続税の申告書の提出など所定の手続きが必要です。
■未成年者控除
相続や遺贈で財産を取得した人が、未成年者の法定相続人の場合、20歳に達するまでの年数1年につき10万円を乗じた金額が控除されます。
(選択肢1)不適切
被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の人が、相続や遺贈で財産を取得した場合、相続税額の計算上、相続税の2割加算の規定が適用されます。一親等の血族とは、父母や子(代襲相続人となった孫などの直系卑属を含む)です。被相続人の孫は、原則として2割加算の対象となります。ただし、被相続人の子がすでに死亡し、孫が代襲相続人となっている場合、その孫は実子とみなされるため、2割加算の対象外となります。
(選択肢2)適切
相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産の価額は、生前贈与加算の規定により、相続税の課税価格に加算されます。ただし、その贈与財産につき贈与税が課せられている場合には、相続税額の計算上、その贈与税額を控除することができます。
(選択肢3)適切
相続または遺贈により財産を取得した者が未成年者の法定相続人である場合、未成年者控除の適用を受けることができます。未成年者控除の額は、原則として「10万円×その者が20歳に達するまでの年数(1年未満切上)」とされています。例えば、相続開始時点で、相続人Aさんが18歳の場合、未成年者控除の額は20万円(=10万円×(20歳-18歳))となります。
(選択肢4)適切
配偶者に対する相続税額の軽減は、配偶者が財産を取得した場合に、法定相続分(相続の放棄があった場合、その放棄がなかったものとしたときの相続分)に相当する金額、または1億6,000万円のいずれか高い方まで、相続税額が0となる規定です。
この選択肢のように、相続人が配偶者のみの場合、配偶者の法定相続分は1(100%)となります。配偶者がすべての遺産を取得した場合には、配偶者に対する相続税額の軽減の規定により、すべての相続財産(法定相続分)について、配偶者が納付すべき相続税額は生じないことになります。
この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢1が正解となります。
※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。
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