相続・事業承継‐相続の承認と放棄
2018年9月学科第55問

ピックアップ過去問解説

問題

民法で規定する相続の承認および放棄に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.相続の放棄をしようとする者が一人でもいる場合は、相続の開始があったことを知った時から原則として3ヵ月以内に、共同相続人全員が、家庭裁判所に対して、相続の放棄をする旨を申述しなければならない。

2.推定相続人が相続の開始前に相続の放棄をしようとする場合は、家庭裁判所に対してその旨を申述して許可を受ける必要がある。

3.限定承認をしようとする場合、相続の開始があったことを知った時から原則として3ヵ月以内に、その旨を家庭裁判所に相続人全員が共同して申述しなければならない。

4.相続人が相続の放棄をした場合、放棄をした者の子が、放棄をした者に代わって相続人となる。


解答・解説

解答:3

相続・事業承継から、相続の承認と放棄に関する問題です。相続の承認・放棄については、民法で定められている基本的なルールを確実におさえておきましょう。

■相続の承認・放棄

 人が死亡すると、その被相続人の全財産は相続人に引き継がれます。

 この被相続人が残した財産には、資産(現金や預金、土地、建物等)と、負債(ローンや借金、あるいは未納となっている税金等)があります。 もし、被相続人の財産のうち、負債の方が多い場合、その債務も相続人が引き継ぐことになります。

 ただし、債務の方が多い場合、相続人は被相続人の財産を引き継がないという選択も可能です。

 そこで民法では、相続人が相続財産を単純承認するか、限定承認するか、あるいは放棄するかを考える期間を与えています。これを熟慮期間といいます。 この熟慮期間は、「相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内」であり、その期間内に「承認」または「放棄」をしなければなりません。

 一般的には、3ヵ月以内に限定承認または放棄をしなければ、単純承認したものとみなされます

 

(選択肢1)不適切

相続の放棄は、それぞれの相続人が単独で行うことができます。相続を放棄する場合、相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所において手続き(申述)を行う必要があります。なお、相続の限定承認については、相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に、相続人全員で家庭裁判所に申述しなければなりません。

(選択肢2)不適切

相続の放棄は、被相続人の生前(相続の開始前)に行うことができません。なお、各相続人が相続の放棄をする場合には、相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所において申述する必要があります。

(選択肢3)適切

相続の限定承認は、相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述する必要があります。

(選択肢4)不適切

代襲相続は、相続人となるべき者が相続前に死亡していた場合に発生します。一方、相続の放棄をした場合には、そもそも相続人とならないものとしてみなされます。そのため、相続放棄者に子がいる場合でも、その子は代襲相続人にはなりません。


この問題は「適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢3が正解となります。

※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。


学習するには

「6-2 遺産分割・遺言」 相続の承認、相続の放棄


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