問題
贈与税の非課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 法人から個人へと財産が贈与された場合、受贈者の一時所得または給与所得として所得税が課され、贈与税は課されない。
- 扶養義務者から生活費という名目で受け取った金銭であっても、これを投資目的の株式の購入代金に充当した場合には、その金銭は贈与税の課税対象となる。
- 相続により財産を取得した者が、その相続開始の年に被相続人から贈与により取得した財産がある場合、その贈与財産は相続税の課税対象とはならず、贈与税の課税対象となる。
- 個人から受ける年末年始の贈答、祝物または見舞い等のための金品であって、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税は課されない。
解答・解説
解答:3
相続・事業承継から、贈与税の非課税財産に関する問題です。
贈与税の非課税財産とは、財産の性格や社会政策上の見地から、課税対象とされない財産のことです。
代表的な非課税財産は次の8つです。
- 法人からの贈与財産
- 扶養義務者からの生活費や教育費
- 社交上必要であると認められる香典、贈答、見舞金等
- 離婚による財産分与
- 公共事業用財産
- 相続開始の年に受けた贈与で相続税の課税価格に加算されるもの
- 心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
- 特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
この中で試験対策上重要なことは、法人からの贈与財産です。法人から個人に対する贈与財産に贈与税は課税されません。ただし、一時所得または給与として所得税および住民税が課税されます。
これを踏まえて問題を見ていきましょう。
(選択肢1)適切
上記の説明の通り、法人から個人への贈与の場合、一時所得(雇用関係にない場合)または給与所得(雇用関係にある場合)として所得税が課税されます。
『贈与税は、原則として個人から個人へ財産を贈与した場合に課税されます。』つまり、贈与者と受贈者の両方が個人である場合に、贈与税が課税されると理解しておけば良いでしょう。
(選択肢2)適切
扶養義務者からの通常必要であると認められる生活費や教育費は非課税です。ただし、生活費や教育費として使用せず預金や株式投資などに使用すると贈与とみなされます。
(選択肢3)不適切
相続開始前3年以内に贈与された財産は、相続税の課税価格に加算されます。この問題では、相続開始の年に贈与を受けているので、「相続開始前3年以内」に該当することから、相続税の課税対象となります。
(選択肢4)適切
社交上必要であると認められる香典、贈答、見舞金等は贈与税がかかりません。ただし、社会通念上相当の金額を超える部分については、贈与税の課税対象財産となります。
この問題は「不適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢3が正解となります。
※正解と解説は、試験実施日の基準で記述しています。その後の法令改正等には対応していませんのでご注意ください。
学習するには
「6‐4 贈与と贈与税」 贈与税の概要