相続・事業承継から、遺産分割に関する問題です。
相続人が複数いた場合、相続財産は複数の相続人による共有財産となります。遺産分割とは、共有になった財産がどの相続人の所有になるのかを決定し移行する手続きのことです。
遺産の分割の種類には、大きく指定分割と協議分割の2つあります。
また、協議分割で意見がまとまらないときは、さらに調停分割や審判分割といって、家庭裁判所の調停や審判によって分割することになります。
◆遺産分割協議書
基本的には相続人同士が全員で話し合って、誰がどの財産を受取るかを決めることになります。この話し合いを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議は、相続人全員が合意すれば成立し、書面で残さなければならないという事ではありません。しかし、書面にしておかないと、その内容が曖昧になったり、後から言った言わないなどの争いが起きる可能性があります。
そこで、こうしたトラブルを防ぐために、相続人全員の署名、押印をした遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は、相続人や第三者が見てその内容が明確にわかれば良いので、特に決まった書式や形式はありません。
遺産分割協議は、全員が遺産分割協議書に異議なく署名、捺印したときに終了します。また、特別な事情がない限り、再分割の請求はできません。
これを踏まえて、選択肢を見ていきましょう。
1)不適切
遺産分割には特別期限はありません。基本的に相続人はいつでも遺産分割をできます。ただし、有効な遺言書がある場合は遺言書が優先されます。
2)不適切
遺産分割協議は、相続人全員が合意すれば成立し、書面で残さなければならないという事ではありません。しかし、書面にしておかないと、その内容が曖昧になったり、後から言った言わないなどの争いが起きる可能性があります。そこで、こうしたトラブルを防ぐために、相続人全員の署名、押印をした遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は、相続人や第三者が見てその内容が明確にわかれば良いので、特に決まった書式や形式はありません。なお、本人の明確な意思を表すために通常は実印を用いますが、実印でないからといって無効になるわけではありません。(ただし、実印と印鑑証明がない場合は、遺産分割協議書で不動産の所有権移転登記などはできないので注意が必要です)
3)適切
遺産分割協議書は、予め相続人の一人が原案を作成し、共同相続人全員が順番に署名・捺印するやり方が認められています。遺産分割協議書は共同相続人全員の合意が必要ですが、必ずしも全員が集まって行う必要はありません。
4)不適切
原則として取消しや解除はできませんが、共同相続人の全員が遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは可能です。
この問題は「適切」なものを選ぶ問題なので、選択肢3が正解となります。